天体観測会 ― 星を見る
星を見る観測会に指定された天体ドームに 集まったのは、たったの5人だった。
興味を持ちそうな投資家への特別な観測会の招待を受けて、送迎までつくというのだから、行かないという選択肢はない。
到着してドーム内に入ると、5台の近未来的なデザインのポッドが並び、それぞれに名札が記されていた。
天体観測用システムの最新型AIモデルなのだそうだ。
僕は、きょろきょろしながら、内部をのぞき込む。
真直ぐに直立した状態で身体が固定され、
頭部も しっかりとホールドされる。
ゴーグルに組み込まれたセンサーが、眼球の動きを読み取り、連動する天体望遠鏡の動きを高速で最適化し、視野に反映するのだそうだ。
と、ウェルカムドリンクを軽く飲みながら装置の説明を受けた。
僕は、アルコールのせいなのか、頭の中が ふわっといい気分になりながら、例の最新鋭の観測用のポッドの中に足を踏み入れた。
稼働中は傾斜がつくため、ポッド内では身体が固定され、頭にゴーグルのついたヘッドセットを装着する。
かなり重厚な作り込みで、宇宙船はこんな風なのかしらと想像して少し気分が高ぶってしまう。
器具の装着を終え、静かにポッドの透明のカバー部分が降りてきて カチリと締まり、身体が 35 度ほど 傾いたところで、静かに動きが止まった。
そして、他の招待客も同様にセットされていく。
ポッド内は、すこぶる快適な温度と湿度で、
過不足のない絶妙な香りのエアで充満されている。
すると、音声案内が流れた。
「皆様。観測会ようこそ。
皆様の人生観に 革新的な変化をもたらす体験を
お約束します。
____それでは、良い旅を」
ポッド内とドームの内部が薄暗くなる。
「いよいよだな。楽しみだ」
と思った刹那、
後頭部に微かな痛みを感じる。
目の前が暗くなり、
赤い文字が視野に現れた。
[ Loading……
記憶をバックアップしています……
まもなく記憶の書き換えを開始します…… ]
「どういうことだ?
何をしてる…..
____な、何を…し….」
[ Overwrite Complete
記憶の書き換えが完了しました ]
"You may live to see man-made horrors beyond your comprehension"
あなたは いつか、人間の手によって生み出された
理解を超える恐怖を 目にすることになるだろう。
— Nikola Tesla (attributed)
少し時間が経っていますが、この記事から「もう、SFの世界の話ではなくなってきているなぁ」というお話を、#シロクマ文芸部 の企画(#星を見る) の お題に寄せてみました。
最後までおつき合いいただき
ありがとうございました。
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