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出来映えは如何程 【W杯2026 グループH 第1節】スペインvsカーボベルデ 2026.6.16

スペインの初戦は初出場のカーボベルデ戦。


あらためまして私、がーすけと申します。普段はアトレティコ・マドリーを中心に見たり書いたりしております。好きなCoCo壱のトッピングは手仕込ささみカツ、好きなバーガーキングのメニューはスモーキーBBQワッパーです。よろしくお願いします。




●カーボベルデとは

さてカーボベルデ。アフリカのどの辺かというとこの辺。

めっちゃ島

思ったよりめっちゃ島でした。大小18個の島からなる国。
ところで調べようと思った国や町が島だった時ってなんかちょっと嬉しくないですか。僕だけですか。マジョルカって島なんだー!とか。これは日本が島国だから湧く親近感なのか、日常で耳にする飛行機で行く島が沖縄や北海道など楽しい場所だからなのか、どっちだと思いますか。このブログはこのペースでいきますよ。


選手名を見てもロペスやモレイラ、ドゥアルテ、メンデスなどスペインorポルトガルに影響を受けている事がよくわかります。今回の代表にはラリーガからローガン・コスタ(ビジャレアル)が選ばれており、コスタだしポルトガル語圏だろ、という予想になります(合ってました)。近年のラリーガファンからすると元ラージョのべべのイメージが強め。
カナリア諸島の南に位置する位置関係から見ても大航海時代には欧州列強国の港として使われていた事はほぼ確実で、ポルトガルの旧植民地だという背景が見えます(合ってました)。ちなみに1975年の独立後はアフリカ有数の民主主義国家らしい(ここまでgoogle mapとwikipediaの情報)


●スタメン

W杯初戦のスタメン。カーボベルデは歴史に残る初めての11人。

・スペイン
ウナイ・シモン
ジョレンテ / クバルシ / ラポルト / ククレジャ
ロドリ / ペドリ / ファビアン・ルイス / ガビ
フェラン・トーレス / オヤルサバル

GKはシモン。最終ラインでは19歳のクバルシが当然のように先発する。ヤマルとニコ・
ウィリアムズはコンディションに問題があり慎重に判断。この日はガビをWGポジションに入れた。

・カーボベルデ
ヴォジーニャ
モレイラ / ピコ・ロペス / ボルジェス / ロペス・カブラル
ラロス・ドゥアルテ / ケビン・ピナ / モンテイロ
メンデス / ジョバネ・カブラル / リヴラメント

左SBのロペス・カブラルはベンフィカの選手。今シーズン途中にエストレラというクラブから引き抜かれてCLマドリー戦にも出場している。transfermarktによると来季はトラブゾンスポル移籍が決まっている様子。



●一番良かった点

前半の良かった点で第一に取り上げるべきは間違いなくカーボベルデのボール保持になる。守備じゃなくて保持。ビルドアップと、それ以上にプレス回避がかなり出来たのでスペインの即時奪回を機能させず、スペインの「ずっと俺のターン」を受ける事を避けた。結局スペイン相手に90分間守り続ける事になるチームというのはボールを奪ってもすぐにまた失う事が原因であり、カーボベルデは一度ボールを保持して敵陣まで運ぶ事が出来たというのはスペインにとってこの試合を難しくした大切な要素だ。前半のボール保持率は29.6%あり、パス成功率は78%あった。割と普通にバルセロナvsアトレティコくらいボールが持てたと考えると善戦なんてレベルじゃない。CB2人と左SBのロペス・カブラルが勇気を持ってボールを動かし、10番のモンテイロが低い位置まで助けに来る事でスペインの1stプレスを外していった。GKヴォジーニャは空いている味方を見つけるのが上手く、そこに正確なロブパスを通す技術があった。サプライズの主役になったのは40歳です。

スペインの前線プレスはオヤルサバルとペドリが担当。フェラン・トーレスとガビは相手SBまで出ていく事はかなり自重してブロックを優先しており、「カーボベルデはボールを持ったらピッチ全体を使って侵入してくるから釣り出されるなよ」という設定は確実にあった。つまりスペインもカーボベルデを別に舐めていたわけではないという事。デラフエンテはそういう男だ。

カーボベルデの保持を可能にしたのは、ボール奪取後に全体でピッチを広く使った事。奪い返された時に危険すぎるので"即時奪回をされない事"への自信が無ければ大きく広がるのは難しく、そもそも疲れるのでやりたくない。前に蹴っておしまいになりがち。両WGは常に背後を狙ってランニングを続けて勇気を持った攻撃を実行した。
さらに、今度はボールを失った瞬間にプレスを掛けなければ簡単に局面をひっくり返されて詰んでしまうが、カーボベルデはここを絶え間なく担保したCHのラロス・ドゥアルテとケビン・ピナ、モンテイロ、トップのリヴラメントの4人が走力と圧力を約束した。


●ぶつ切りになったスペインの攻撃

前半のカーボベルデの守備が上手くいった要因も、保持にある。もちろん守備設定が良かった事は前提だが、高い位置の再奪回を許す事なく一回一回スペインの攻撃を終わらせ、CBからやり直させたのはかなり守りやすさに繋がった。

「守備で大事な事は慣れである」という事が自論なので、毎回守備を成功させて正しい位置に戻り、マーク対象を視界に入れた状態で次のターンに移れる事は集中力継続にも寄与し続けていた。

基本はスペインの両WGを両SBが、両SBを両SHがマンツーマンで監視。特にSBのジョレンテ&ククレジャにはどこまでもマンツーマンでついていく約束で追い回した。トップ下のモンテイロは中央で3CHになる。
追い回す事を前提としているのでCB→SBのルートをほぼ放置して待ち構える体勢になったのは良かった点。欲を捨てて自陣で守る事を最初から決めていたし、6バックの形に押し込まれてもプレス回避で脱出できる自信がこの守備を継続させた。アトレティコ・マドリーを参考にしましたか?したと言ってください。

敵陣に押し込む作業自体には問題が無いスペインだが、ラストサードの打開にかなり苦戦した。キーになるのは後方から隙間に飛び込めるSBになるが、自分のマンツーマンを担当している7番ジョバネ・カブラルが持ち場を離れたタイミングで必ず背後に抜け出すジョレンテの抜け目の無さは流石だった。16分には左SBのロペス・カブラルにイエローを出させ、その直後にフェラン・トーレスとの関係でポケット侵入している。ちなみに7番ジョバネ・カブラルは逆サイドにボールがある時は結構ジョレンテを放置して内側を守る意識を持っていて、ここの取捨選択までしっかり準備されていた感がある。ファイナルサードで止めればいいですよという。

序盤から画面上は割と浮いていたのは左SBのククレジャ。20番メンデスの背中に回り込み視野から外れる事を最優先してとにかく消えようとしていた様子で、そしてメンデスはこのスタメンの中では一番守備に難がある選手に見えた。ただしスピードがあってポジトラに不可欠な選手という印象。ククレジャが29分にガビのアクションと連動して完璧に裏を取ったのが、この試合最初のチャンスシーンになった。


●ペドリの浮遊

マンツーマンでつかれる事に慣れすぎているペドリはライン間を浮遊。主に自分をマークしている6番ケビン・ピナがどこまでついてくるのか、ガビの向こう側まで移動してみたりロドリの隣まで落ちてみたり常に確認していた。

これでマークがついて来ないと突然落ちてボールを引き取ってど真ん中を突っ切ってペナルティエリアまで侵入して破壊してきたりするので、この選手は本当に危険。カーボベルデは持ち場を離れるペドリにはついていかず、それよりもMFが3人ブロックを作って近くにいる誰かが対応する事を優先した。ここはスペインのIHの人選がファビアン・ルイスで助かった箇所。ここにバルサ勢がいてペドリとセットで浮遊し始めるとかなりややこしくなり、混乱する。この点スペインはかなり慎重に試合をしていた印象になる。

それでも流石にスペイン。徐々に深い位置でのコンビネーションチャレンジを増やしていくと39分にククレジャがロドリとタイミングを合わせてメンデスの背中を取りPA内へ飛び込んだ。頭での折り返しにフェラン・トーレスが合わせたがクロスバー直撃。まあこれが決まっていたら試合は簡単だったよねとは思うがGKも上手くコースを消して対応していた。45分には"CBの前に3枚並んでいれば縦パスは通らないな"と見せかけてペドリが奥で引き取ってククレジャ→フェラン・トーレスの決定機。ペドリは無慈悲であり、バグである。それでもカーボベルデは用意した任務を完遂。0-0で前半を終えるに至った。


●前半を終えて

スペインは慎重に試合に入り、カーボベルデのカウンターとの距離感の測り方も入念にコミュニケーションを取っていた印象。特にクバルシは頭を越えるボールを何度も送り込まれやたら走らされた。当たり前だがスピードに晒される事に強いチームなはずは無く、即時奪回が決まらないなら高い位置とはいえしっかりブロック形成を優先しますよというのは当然で、相手を舐めていたら適当にふわふわ守っていたかもしれないがそういう事をやりそうな選手はこのチームにはいない。ちゃんとやる。リスペクトという、いつの間にか便利になってしまった言葉を軽く使うのが苦手なのでまわりくどい表現をするがカーボベルデの特徴を頭に入れ、やりたい攻撃をさせないという最優先をきっちり共有して試合をした。ちなみにカーボベルデはロングカウンターが割と雑だったので本来はもっと敵陣でプレーするチームなのだと思います。案外ウルグアイがちゃんとやられたりしそう。


●ペドリの移動 左サイドのトライアングル

後半。スペインはペドリが左に常駐するようになり、ガビ、ククレジャと繋がってトライアングルで動き始める。

これでガビもようやく味方と近い距離でボールに関与するようになり、ゴール方向へのアクションが増えてきた。ここにボールを渡すのがロドリとラポルトという贅沢さ。
それ以前にカーボベルデに技術的なミスが増え始め、自陣からなかなか出られなくなっていった。ここには逆にスペイン側の守備の慣れもあったように思うが、前半の良い展開を作る事が難しくなってしまった。スペインはこの時間に先制点が欲しかったがシュートが枠に飛ばずモタついている中、61分にカーボベルデが3枚替え。

3枚替え

最前線にムキムキで1人で頑張れるヌーノ・ダコスタを入れ、ペドリ周辺の守備対応をフレッシュな選手に替えるなど現実的な対応をした。
スペインは後半から、「押し込むフェーズではボールが出て来なくても誰か1人裏へのアクションを入れるように」という指示があったはず。

特に両WGを中心に縦にゴール方向へのアクションを増やした。カーボベルデの対応がマンツーマンの風味が強かったので、人の動きを増やして穴を探しましょうという設計に動いた。
この変化で当然大外にスペースが生まれ、そこでボールを持つ機会が増え、サイドの2vs2のアクションで全く突破できそうも無い事が課題として見つかり、その打開策としてハイドレーションブレイク明けについにラミン・ヤマルをピッチに送る。同時にこの日は点になりそうもなかったファビアン・ルイス→メリーノを交代。ヤマルは最初のプレーでいきなり2人の間を割って入り、ジョレンテ→メリーノで決定機。スタジアムの雰囲気を一変させた。カーボベルデは既に左SBのロペス・カブラルがイエローを貰っているので慌てて交代。試合全体がヤマルを中心に渦を巻き始めた。


●交代策の是非

ヤマルの登場で一番変化が発生したのはスペインのラストサードの勝負エリアだった。
具体的には右大外でヤマルの対応にこれまでより1人多く必要になった事で守備者が足りなくなる箇所がある。それが逆サイド。

ここで広いエリアの1vs1の環境が発生した。スペインはククレジャがここに常駐しているがドリブル勝負できるタイプではなく、選択肢としてニコ・ウィリアムズ、ジェレミー・ピノ、あるいはビクトル・ムニョスをここに置く事が想像された。

しかし、スペインの選手交代はもう一つ内側のフェラン・トーレス→ダニ・オルモ。この位置も、右からのクロスに合わせる役割と手薄なエリアで縦パスを受ける役割を期待したのはわかるが、それであればガビを残せば良かった話でもある。何よりこの交代は81分とやや遅く、結局ニコ・ウィリアムズの投入は87分となった。ククレジャに内側を走らせてサイドを打開するなどニコも得意のプレーを披露したが、この日の覚悟ガンギマリのカーボベルデを切り崩すには至らず初戦は0-0の引き分けスタート。カーボベルデは歴史に残る1ポイントを獲得した。


●試合結果

カーボベルデは身体を張って良く守り、きっちりと準備された作戦を90分間やり切った。世界から称賛される試合をした。最後はちょっと応援してしまうくらいの気迫で共感を作り出した試合は勇気を与えてくれる内容だった。大きな拍手。

スペインに関して、この試合で感じた最大のポイントはやはりピッチに置かれた11人が、個々の特徴に基づいて相互に連携し勝利に迫る事ができる仕組みを、選手を入れ替えながら遂行し続ける事ができるチームだという事。この日点が取れなかった事それ自体への失望はあまり無い。というかカーボベルデがこの先の試合でも躍動する可能性さえあると思う。

この日の確認事項は第一にWG、第二にストライカー、最後にペドリの相棒の考え方と捉える。見ていこう。


・WGの人選

ヤマルとニコ・ウィリアムズはコンディション都合で途中出場だったと理解しているので、プレーできた事がそもそもポジティブで、あまり危機感は無い。この2人がピッチに立てばこの試合の終盤のように主導権を握る事ができる。問題はジェレミー・ピノとビクトル・ムニョスはこの試合で使わないならいつ使うんだという事で、ガビのプレータイムを確認するにしてももう少し適材があったように感じる。ここは次の試合を見ないと何とも言えない。

・ストライカー

試合を見る前、スタッツだけ確認すると「圧倒的にボールを持って攻め込んでいたのなら最後はボルハ・イグレシアスじゃないのか」と思ったが、試合を見る限りハイクロスが有効な試合展開には見えなかったし、特にヤマルが入って以降はゴール前のコンビネーションに依存したい気持ちも理解できたのでイグレシアスの出場無しは問題ではない。こういう展開ではやはりダニ・オルモが狭いところでヤマルからボールを引き取る形が有効になる。まあ点はどこかで誰かが取るでしょう。

・ペドリの相棒

ファビアン・ルイスはあまりボールが足に付かず、シュートも狙ったコースに飛んでいる様子が無かった。メリーノは怪我明けながらスムーズに試合に参加できていたので、今後プレータイムを伸ばしそう。また、終盤に得点が必要なタイミングでロドリを下げてペドリに中央で配球役をやらせた形は今後も再登場する可能性があり、その際に異常な運動量で行って帰ってを繰り返せるジョレンテ&ククレジャをピッチに残すのも既定路線に感じる。


不勉強なものでこのグループはスペインとウルグアイの2強と見ていたがどちらも引き分けスタート。スペインが次サウジアラビアに苦戦するとはあまり思っていないが、むしろウルグアイvsカーボベルデは興味が湧いた。良い試合を期待したい。


6/16
アトランタ・スタジアム
スペイン 0-0 カーボベルデ


●ピックアップ選手

ペドリ(スペイン)
スペースが無くてもほぼ関係なくボールを受けとりゴール方向に進んだ。彼を90分相手したカーボベルデが凄い。

ラミン・ヤマル(スペイン)
W杯デビュー。コンディションも問題なさそうで、狭いエリアでこの日は縦方向の選択が多め。本領発揮はもう少し先。

ピコ・ロペス(カーボベルデ)
ゴール前で身体を張り最後まで集中していた。生命線だった。

ライアン・メンデス(カーボベルデ)
怪しい守備対応と、カウンターの主役と。36歳だそうです。一花咲かせよう。

ヴォジーニャ(カーボベルデ)
ゴールを守り抜き、物語を完遂させた40歳。軽やかかつ冷静だった。最高の舞台で最高に仕事。

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