おばあちゃんと摘んだ記憶 〜野草と暮らしの知恵袋〜
おばあちゃんに教わった食べられる野草について。今も心に残る味と思い出を勝手に思い出補正しつつ(笑)振り返ってみました。(読了8分)
おばあちゃんと野草採りの思い出
「ほれ、あの緑っこいの、ヨモギだよ。採っておでよ」
子どものころ、春休みになると必ず訪れていた田舎のおばあちゃんの家。あの頃は、スーパーで買い物をするよりも、畦道や裏山で食べものを探す方が楽しかったんです。
おばあちゃんは足腰が悪くなってからも、杖をつきながら私を連れて野草採りに出かけました。「この草はな、おいしいだけでなく、体にも良いんだよ。昔はな、お金がなくても、山さ入れば食べるもんはいくらでもあったもんだに」と教えてくれました。
都会育ちの私の目には、ただの雑草に見えていたものが、おばあちゃんの手にかかると、どれも宝物のようにキラキラと輝いて見えたのです。
季節別の食べられる野草・雑草
春の野草
ヨモギ
時期:3~4月(若芽)
場所:日当たりの良い原っぱや道端
「ヨモギは若けりゃ若いほどいいんだよ。古くなるとニガくなっちまうから」とおばあちゃんは言いました。ある春の日、私とおばあちゃんは家の裏手の土手でヨモギを摘みました。
「ほら、もんでみな。いい匂いがするべ?」とおばあちゃんがヨモギの葉を揉むと、ふわっと爽やかな香りが広がりました。その日の午後、おばあちゃんはそのヨモギで草餅を作ってくれました。「うちの草餅は、ヨモギをしっかり刻むのがコツなんだに」と言いながら、包丁で細かく刻む姿は今でも目に焼き付いています。
あの草餅のほんのり苦い香りと、あんこの甘さの絶妙なバランスは、今も忘れられない味です。
つくし
時期:3月中旬~4月(本州)、5月(北海道)
場所:湿地の多い土壌、畑地
「つくしはな、田んぼの畦に出るとうまいんだよ。あんたもカゴ持って、こっちさ来い」
春の訪れを告げるつくし。私は毎年、おばあちゃんとつくし採りに行くのを楽しみにしていました。コートの袖をまくって、腰をかがめながら田んぼの畦道を歩き、「あった!」と見つけたときの喜びといったら、宝探しのようでした。
「そのつくし、まだ若くていいな。柔らかいつくしは、あく抜きが簡単だからね」と言って、おばあちゃんはその日の夕食に、つくしのお浸しとつくしの卵とじを作ってくれました。「卵とじは、うちの秘伝だよ。おばあちゃんのおばあちゃんから教わったんだに」と自慢そうに話す姿が懐かしいです。
タンポポ
時期:春(西洋タンポポは一年中見かけます)
部位:若葉、花、根も利用できます
「このタンポポの根っこはな、乾かしてから煎じると、コーヒーみてぇなもんになるんだよ」
おばあちゃんの特製タンポポコーヒーは、苦味がありながらも不思議と飲みやすく、「体の毒を出す」と言って、風邪をひいたときにもよく飲ませてくれました。葉っぱは「あくが強いから、三回くらい水を変えてゆでるんだよ」と、丁寧に下処理をしてから、おひたしにしてくれました。
夏の野草
シソ
時期:7月~8月
調理法:青紫蘇は天ぷらや薬味、赤紫蘇は梅干しやふりかけに
「シソの葉っぱは手でちぎっちゃダメだに。包丁で切るんだよ。そうすっと、いい香りがするだろ?」
夏になると、おばあちゃんの家の裏庭には赤紫蘇と青紫蘇がもりもりと育ちました。梅仕事の季節には、私も一緒に赤紫蘇を洗って、梅干し用の塩漬けを手伝いました。「ちゃんとシソを入れると、梅干しがきれいな色になるんだがね」と言いながら、大きなかめに層になるように梅とシソを交互に敷き詰めていったのを覚えています。
食べられる野草を見分けるためのツール
「昔はな、祖気な便利なもんなかったから、親や年寄りから教えてもらうしかなかったんだよ。今の若い人は便利になったねぇ」
おばあちゃんが生きていたら、スマホで植物を判別できるアプリに驚いただろうなと思います。でも、きっとこう言うでしょう。「機械だけじゃダメだに。自分の目と手と鼻で覚えないと、本物の知恵にはならないよ」と。
おすすめのアプリ
でも文明の利器には頼っちゃいます。
GreenSnap:花を撮影するだけで名前を調べられるアプリ
PictureThis:「撮ったら、判る-1秒植物図鑑」というキャッチコピーの植物識別アプリ
おすすめの本
おいしく食べられる 身近な野草・雑草図鑑(岩槻秀明著)
食べる野草図鑑(岡田恭子著)
うまい雑草、ヤバイ野草:日本人が食べてきた山菜と危険な毒草の見分け方まで解説
ベランダで育てられる食べられる野草
今思えば、おばあちゃんは先見の明があったと思います。
今は都会の狭いベランダでも、野草や山菜を育てられる時代になりました。
初心者におすすめの種類
ノビル(野生のネギ)
プランター栽培に最適で、一人暮らしの方でもチャレンジしやすい
「ノビルはな、土の中に隠れてるから、見つけるのが楽しいんだよ。畑を掘ってると、ひょっこり出てくるでしょ?あれは宝物探しみたいなもんだに」と、おばあちゃんは笑っていました。
これ、市販のねぎを植えるだけでもいいと思ってます(笑)
ベランダで育てやすいハーブ系野草
「ヨモギは生命力が強いから、鉢に植えたら、あっという間に大きくなるよ。摘んだら摘んだで、また生えてくるから心配ないだに」
おばあちゃんの家には、ヨモギ、シソ、ハコベなどが庭の一角にあり、必要なときに摘んで使っていました。「草は生きものだから、話しかけながら育てるとよく育つんだよ」と、植物に語りかけていたのも懐かしい思い出です。
種子の入手方法と自家採取のコツ
「種は、一番いい実をつけた株から取るんだよ。そうすると、来年もいい実がなるからね」
おばあちゃんは、毎年自分の畑の野菜や庭の花から種を採り、小さな紙袋に入れて大切に保管していました。「この種は、あんたのおかあからのものだよ」と見せてくれた朝顔の種は、代々受け継がれてきた家族の宝物でした。
自分で種子を採集する方法
「種を採るときは、天気のいい日がいいんだに。湿ってると、あとで腐っちまうからね」
おばあちゃんは、晴れた日に枯れかけた植物の種を集め、日陰でしっかり乾燥させていました。「紙袋に入れて、名前と採った日を書いておくと、来年植えるときに迷わないよ」という知恵も教えてくれました。
まとめ
身近な野草・雑草には食べられるものがたくさんあり、季節ごとに様々な種類を楽しめます
野草を料理するには適切な下処理が大切で、天ぷらやおひたしなど様々な調理法があります
最近はアプリや図鑑で野草の判別ができますが、実際に触れて覚えることも大切です
ベランダでも食べられる野草や雑草を育てることができ、自然の恵みを身近に感じられます
種子は購入するだけでなく、自分で採取して次の世代に繋げることができます
「あんた、覚えておくんだよ。自然の恵みを大事にする心を忘れたら、人間は生きていけないんだ(ざっくり)」というおばあちゃんの言葉は、今も私の心に深く刻まれています。
秘伝レシピたち(ネットで補完)
特製ヨモギ団子
上新粉 200g
ヨモギ(茹でて水気を絞ったもの) 100g
砂糖 大さじ1
水 適量
あんこ(市販品でも可) 適量
ヨモギは茹でて冷水にさらし、水気をよく絞って細かく刻む
ボウルに上新粉と砂糖を入れ、刻んだヨモギを加えて混ぜる
少しずつ水を加えながら、耳たぶくらいの固さになるまでこねる
一口大に丸め、中央をへこませてあんこを入れ、再び丸める
沸騰したお湯に入れ、浮き上がってきたらさらに2〜3分茹でる
氷水にとって冷やし、水気を切って完成
つくしの卵とじ
つくし(あく抜きしたもの) 100g
卵 2個
だし汁 100ml
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1
砂糖 小さじ1/2
油 適量
つくしはあく抜きして3cmほどの長さに切る
フライパンに油を熱し、つくしを炒める
だし汁、醤油、みりんを加えて煮立たせる
つくしがやわらかくなったら、溶き卵を回し入れる
半熟状態になったら砂糖を加え、軽く混ぜて火を止める
タンポポコーヒーの作り方
タンポポの根(洗って乾燥させたもの) 30g
水 500ml
乾燥させたタンポポの根をフライパンで香ばしく焦げ目がつくまで炒る
炒めた根をミルで粉砕する
鍋に水と粉砕した根を入れ、弱火で20分ほど煮出す
ざるでこして、お好みで蜂蜜や牛乳を加えて飲む
野草を見分ける昔ながらの方法
おばあちゃんは図鑑を見なくても、野草の名前をすらすらと言い当てていました。優しく笑ったおばあちゃんの顔が、今も目に浮かびます。
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