計算しつくされた価格設定!決算書解説
はじめに
こんにちは、くまCFOです。
近年、外食産業は値上げを行っています。
日本フードサービス協会の調査によると、
2025年のファミリーレストラン業態の売上は前年比107.2%。
業界全体では客単価が104.3%と上昇しており、
その背景には原材料費の高騰による値上げがあります。

値上げをしたくてしているのであれば、いいのですが、
値段を上げざるを得ない状況はジリ貧です。
そんな中で今回はサイゼリヤについて深堀りをしていこうと思います!
利益を残す秘訣
まずはサイゼリヤの売上比較を見てみましょう。
売上高も上昇していますが、売上原価も上昇していることが分かります。
しかし、売上総利益、営業利益も上昇をしているのが分かります。

サイゼリヤの客単価も右肩上がりです。
値上げをしたら単価が上がるのは当たり前ですよね?

ですが、サイゼリヤは値上げを行わない経営を行っています。
ミラノ風ドリアは税込300円…
くまも学生の頃から沢山頼んできましたが、
2020年のコロナの時に1円だけ値上げしました。
これは299円の端数を綺麗にしただけで、
実質、価格を維持し続けています。
値上げをせずに客単価を上げるにはどうしたらよいのか。
くまの想像ですが、
①ドリンクバーへの誘導
(単品ドリンクより注文単価が上がり、回転率にも貢献)
②低価格アルコールによる夕方以降の客単価押し上げ
(ワイン1杯200円台という価格設定で、普段は頼まない層を取り込む)
③デザート追加注文の促進
(メインが安いため、100〜300円台のデザートが頼まれやすい)
等が考えられます。
さらに、利益構造の根本には「圧倒的な原価管理」があります。
サイゼリヤは自社農場で野菜を栽培し、
イタリアなどで食材を現地調達・加工して輸入するという、
独自のサプライチェーンを持っています。
外食チェーンにとって「仕入れ値は所与のもの」という常識を疑い、
川上から手を入れることでコスト競争力を作り上げた。
これが「あの価格で出せる」理由の核心です。
原価が高いから値上げする。
ではなく、
安く提供するにはどうしたらよいか。
を愚直に考えたからこその、
ゴールからの逆算を徹底して続けている、
唯一無二のビジネスモデルといえるのではないでしょうか。
貸借対照表を分析する。
貸借対照表も2期並べて比較してみます。

現金・売掛金などの流動資産がわずかに減少しているのが分かりますね。
売上が+14.3%伸びているのに流動資産が減っているのは、
現金を積み上げずに投資に回していることを示しています。
「手元に置かない、使い切る」という経営姿勢の表れですね。
そして今期のB/S最大の変化点である固定資産。
新規出店・既存店改修・工場投資が固定資産を大きく押し上げました。
資産構成比でも41.6%→46.2%へと固定資産の比率が上昇しており、
「攻めに転じた」ことがB/Sに刻まれています。
負債も増えてはいますが、
総資産の増加(+11,310百万円)の半分以下に抑えられています。
借入依存ではなく、
純資産の積み上げ(+6,354百万円)と負債のバランスで
資金調達していることがわかります。

固定資産を+13,003百万円増やしながら、
自己資本比率の低下はわずか0.6ポイント。
これは純資産が当期純利益によって着実に積み上がっているからです。
「使いながら増やす」という理想的なB/Sの動きです。
今後の動向について
2026年8月期 第2四半期では、
・売上高1,429億円(前年比+17.5%)
・営業利益86億円(前年比+39.9%)
・当期純利益56億円(前年比+20.7%)
と好発進です。
店舗数も1,732店舖と50店舗増加しました。
そのうち、41店舗が海外。
グローバル展開を加速させている証拠です。
また、2025年8月期の
決算報告の投資の内訳を見ると、
単なる新店出店だけでなく
「既存店改修に42億円」という数字が目を引きます。
前年は19億とのことで2倍以上ですね。
サイゼリヤは現在、
古い店舗を積極的にリニューアルする局面に入っており、
これが来期以降の既存店売上の底上げ効果をもたらすとくまは見ています。
今回のくまポイント
経営に使えるくまポイントをまとめていきます。
① 「値上げ」より「満足度」を考える
業界全体が値上げで客単価を上げようとする中、
価格を維持しつつ客単価を上げるのは至難のワザです。
「ランチにデザートを追加すると〇円引き」
「ドリンクバーセットが+200円」など、
お客様が自然に追加注文したくなる設計を作る。
1テーブル当たり+200円が全テーブルで定着すれば、
売上構造が変わります。
② 好調な今こそ、店舗環境に先行投資する
サイゼリヤが既存店改修に42億円を投じたのは、
業績が好調な今だからこそです。
「売上が落ちてからリフォームしよう」では手遅れ。
客足が戻っているうちに照明・内装・厨房設備を整えることが、
次の集客サイクルの種になります。
繁忙期の利益を「既存サービスの向上」に回す
優先順位をつけてみてください。
③ 自己資本を厚くすることが、経営の「攻め」を生む
サイゼリヤが年間255億円もの設備投資を打てるのは、
借入に依存しない財務体質があるからです。
中小企業でも同じ原理が働きます。
利益が出ているうちに借入を返し、自己資本を積み上げることで、
いざ設備更新・移転・新業態への転換が必要な局面で
「攻める余力」が生まれます。
P/Lだけでなく、B/Sを育てる意識を持つことが、
長期的な競争力につながります。
まとめ
2025年8月期のサイゼリヤを一言で表すなら、
「稼ぐ力を維持しながら、次の成長に向けて大きく種をまいた期」です。
毎期忙しく駆け抜けてしまいがちですが、
決算書を手に取り、翌期の作戦を練るのもとても重要だと思います。
次回もくまといっしょに決算書を読んでみましょう!
※ 本資料の数値は、公開資料に基づき作成しています。
-参考URL-
決算短信 | サイゼリヤ

