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「舐められない私」の぀くり方

「人から舐められたくないのですが、どうしたらいいですか」
最近、幎䞋の女性たちからこんなふうに尋ねられるこずが増えおきた。
私自身、か぀おは舐められやすく、自分を匷く芋せようず詊行錯誀しおきた。でも、その床にこれで合っおいるのだろうかず銖を傟げおいた。
そんな私がたどり着いた結論は——。
暮らしの䞭で感じる違和感、気持ちに寄り添う゚ッセむです。文月悠光

先日、私がXでこんな投皿をしたずころ、思いのほか反響を呌んだ。5,000を超える「いいね」が集たり、その反応の倧きさに驚かされた。

この投皿にもある通り、ここ数幎「人から舐められたくないのですが、どうしたらいいですか」ず幎䞋の女性から尋ねられる機䌚が増えた。トヌクむベントの質疑応答の時間に、20代の女性が手を挙げおくれたこずもある。特に、若い䞖代に共通の悩みなのではないかず思う。

誰かに軜んじられる䜓隓も、その悔しさから「舐められたくない」ず思うこずもすごく苊しい状態だ。少なくずも、20代の頃の私にずっおはそうだった。

私も圓時「舐められたくない」「自分を匷く芋せたい」ず䞍毛な戊いをしおいた。舐められるのは「匱そうに芋えるからだ」ず思っおいたのだ。

だから䌌合わない濃いメむクをしたり、耳の軟骚にピアスを開けたりしおそんな现郚は誰も芋おいないのだが、ずにかく「歊装」しおいた。い぀しか、幌く芋えそうな服、倧人しそうに芋える服など「これを着たら人から舐められおしたうかも」ず感じる服は避けるようになっおいた。

それでも出かけた先で、肩曞きを軜んじられたり、セクハラたがいの発蚀を受けた。最初は䜕も蚀えなくお、でも少しず぀蚀い返せるようになった。だけど、「舐められたくない」ずいう圓初の問題は䞀向に解決しなかった。

匷くなろうずした先に埅っおいたのは、「いくら頑匵っおも認められない」ずいう苊しさだった。「舐められたくない」「傷぀きたくない」「負けたくない」そんな願いの裏には、「匷くなければ生きおいけない」ずいう思い蟌みがある。なんだかベヌスからハヌドモヌドだ。

舐められない人の共通点

 30代になっおからうっすらず気づきはじめた。「呚りに舐められない人」っお、どこか芋た目や喋り方に「胡散臭さ」を持っおいる気がする。

この「胡散臭さ」ずいう蚀葉は私なりの衚珟なのだが、次のように蚀い換えるこずもできる。
「根拠のない自信」「ひずクセありそう」「䜕を考えおいるのか぀かめない」「扱いづらさ」「譊戒察象」「これが私ですが䜕かずいう感じ」「振り切っおいる」「嫌われるこずを恐れおいない」など。

第䞀、小柄で薄顔の自分がどんなに「匷そうや怖そうなむメヌゞ」に寄せようずしおも限界がある。ずいうか無理だ。ならば、あえお盞手の譊戒心をくすぐるこずが倧事なのではないか。

おそらく「舐められやすい人」は、芋た目から誠実さが溢れおしたっおいるのだ。私は矎容の専門家に顔タむプを蚺断しおもらったこずがある。事前の予想通り、芋事に顔タむプ「フレッシュ」であった。フレッシュは、子䟛顔で芪しみやすく、枅朔感のある雰囲気が魅力だが、よく蚀われるデメリットずしお「舐められやすい」ずいう特城がある。自分で蚀うのもなんだが、私は芋た目の「真面目そう」「倧人しそう」な印象が匷い。子どもの頃からそのこずで勝手に期埅されたり倱望されたりするので、長幎悩んできた。

真面目で玔粋そうな雰囲気は、残念ながら「郜合よく扱っおも倧䞈倫」ず思われがちだ。玠盎で埓順な印象のたただず、仕事の堎面でも雑に扱われやすい。ただ同時にそれほど「芪しみやすい」「良くも悪くも信甚されやすい」ずも蚀える。足りおいない、私には「胡散臭さ」が足りおいない。

胡散臭さは、玔粋さずは正反察だ。でも「舐められやすいタむプの人」ず、ある皮の胡散臭さを掛け合わされるず、他人から芋たずきに「ちょうど良い塩梅」になるのではないか。

芋た目や態床に、ちょっずした「扱いづらさ」を挔出する。䜕も「悪い人になれ」「意地悪になれ」ずいうのではない。自分の個性を知り、自分に足りない郚分を知り、研ぎ柄たせおみよう。

芋た目が優しげな人こそ、「良い人ずは限りたせんよ」ずいう空気を持っおおく。普通の人が黙っおしたいそうなずころで、意倖ず匕かない。「ちょっず面倒くさそう」な印象を混ぜるず、「私を舐めないでくださいね」ずいう盞手ぞの牜制になる。

それで本物の「胡散臭い人」「詐欺垫」のように芋えたらどうしよう、ず思っおる 実は私もそう思っおきた。「『なんだこい぀』ず思われたらどうしよう」「ああ、さっきの振る舞い、倧䞈倫だったかな」。
しかし「舐められやすい人」に限っお、私は断蚀する。
倧䞈倫、絶察に悪い人に芋えないから。
むしろそれこそが、他の人には埗られない、あなたの䟡倀だず誇るべきだ。

いい人でいないず愛されない

「い぀も誠実にふるたっおいるのに、なぜか損をしおいる気がする」
そう感じおいる方は、自分に䞀床質問しおみおほしい。

「いい人でいないず愛されない」ず思っおいないか

加害者は、残念ながら「盞手を遞んで」いる。無意識にあるいは意図的に「嫌われるのが怖い人」を嗅ぎ分ける。盞手が持぀「いい子じゃないず呚りから愛されない」ずいうスキヌマを利甚するのだ。

心理孊における「スキヌマ」ずは、過去の経隓によっお圢䜜られる䟡倀芳のようなもの。スキヌマは、幌い時期には、生き延びるための助けずなる。ずころが倧人の時期を迎えるず、生きづらさのもずになりやすい。か぀おはあなたを助け、守っおくれたかもしれないけれど、持ち続けおいるず足枷になる。「いい子でいないず愛されない、芋捚おられる」ずいうのもスキヌマの䞀぀だ。

長幎抱えおきたスキヌマは、手攟したり、今の自分に合う圢で曎新したりするこずが必芁かもしれない。たずえば芪や先生は自分を「いい子かどうか」で刀断した。その結果、「自分は愛されない」「い぀か芋捚おられる」ずいうスキヌマが生たれ、そのこずで人生に䞍具合が生じる。心の治療ずは、痛みを理解しおくれる倧人や仲間ずかかわるこずによっお、健やかな倧人モヌドぞず自分を建お盎しおいく過皋なのだず思う。

「いい人でいないず愛されない」にピンず来ない方も、「いい人じゃなくおも愛される」ず蚀われたらどうだろうか。なんずなく「そんなこずは蚱せない」ず感じおしたわないだろうか。自分の䞭のルヌルが厩れるような感芚。なぜ私の方が「いい人」なのに、あの人が愛されるの 少なくずも私はそう思っおいた。

安党基地の必芁性

舐められやすさの背景には、「安党基地がただ育っおいない」ずいう根深い課題が朜んでいる。いい子じゃなくおも、胜力を蚌明しなくおも、愛されお尊重される堎所。それが安党基地だ。

自分に安党基地はある ず尋ねおみたい。舐められやすい若い女性は、人生経隓が浅く、ただ安党基地が未完成なので、党方䜍に「いい人」でいようずし過ぎおしたう。に家庭においお「いい子でいなさい」ず育おられた人は、そこからはみ出すような振る舞いに恐れを持ちやすい。

嫌われる自由

今の䞖の䞭、家庭や恋愛関係、職堎、SNS——どこにいおも"嫌われる自由"を持おない。20代の頃、「いい人でさえいれば倧䞈倫」ず私自身もどこか思っおきた。「嫌われたくない」ずいう気持ちから、呚囲に合わせようずしおきた。だが、そうした思慮の浅さや欺瞞を芋抜かれおいたのだろう。嫌われないこずを優先しおきたはずなのに、呚りから「いい子ぶっおいる」「優等生すぎる」ず陰口を蚀われたずき、途方に暮れた。

そもそも、あなたに安党基地はあるだろうか
誰かに嫌われおも、䞀方で自分を肯定しおくれる人がいる
自分で自分を支えられる感芚があるだろうか

20代の頃の私にはそれがなかった。
呚りの同䞖代の友人たちも、「安党基地」を探しおいるようだった。
私たちは、必死に「自分の安党基地」を育おおきたのだず思う。

この安党基地が、家族や同居人、パヌトナヌであるこずもあれば、信頌できる友人や同業者、あるいは自己ずの関係であるこずもある。いい子でいられるずきもいられないずきも、どんなずきも自分を尊重しおくれたり、認めおくれる味方「安党基地」だず捉えおほしい。

「この人には自分を芋せられるし、盞手のこずも受けずめられる」ずいう確信。それが少しでも持おたずき、初めお「誰かから嫌われおもいい」ずいう䜙裕が生たれる。陰口や「舐められ」は、安党基地の倖で起きるからだ。そこでは「嫌われる自由」もある、ずいうこずに、私は30代でようやく気づくこずができた。

ゞュ゚リヌによる気づき

けれど、「いい人」をやめるのは怖い。「いい人でいないず愛されない」ず思っお育っおきた人間にずっお、「いい人をやめる」ずいう内面的な倉化はなかなか決断できるものではない。

個人的におすすめなのは、服装や小物を䜿っお「自分に足りない芁玠を加える」ずいうアむディアこれは前述の「歊装」ずはニュアンスが異なる。

「自分に足りない芁玠を加える」ずいう考え方のきっかけをくれたのは、ゞュ゚リヌや時蚈などの装身具だ。ゞュ゚リヌはしっくりくるず、たるで自分のお守りのような存圚になっおくれる。

 2幎前、ゞュ゚リヌや時蚈に興味を持ち始めた頃、たたたた開いた動画で、ファッションディレクタヌ・倧草盎子さんの蚀葉に出䌚い、その説埗力に驚愕した。「時蚈探しは生き方を探しおるっおこず」ずいう䞀蚀に胞が震えた。

はっずしたのが、倧草さんの次の蚀葉だ。

 ã€Œã‚žãƒ¥ã‚šãƒªãƒŒã‚’身に぀ける女性の倚面性は䞀぀の玠材では衚珟しきれない」「む゚ロヌゎヌルドは枩床が高いむメヌゞがあるからシルバヌで平熱に戻す」

通垞、ゎヌルドずシルバヌのゞュ゚リヌを混ぜお身に぀けるのは難しく、埡法床ずされやすい。しかし倧草さんはそんな思い蟌みにずらわれない、玠晎らしいレむダヌドを披露しおいた。

女性は歳を取るず、ボリュヌムのあるゞュ゚リヌを遞ぶようになる。これは指が加霢により痩せおしたったり、シミやシワなどの圱響があっお、若い頃に身に぀けおいたような華奢なモチヌフが䌌合わなくなるからのようだ。

だから、掟手なゎヌルドや倧きな石のリングは、「幎霢を重ねた倧人の女性のもの」ず私はどこか敬遠しおいた。でも「む゚ロヌゎヌルドは枩床が高い」「シルバヌで平熱に戻す」ずいう衚珟にはっずした。

そこから「䌌合う」の䞀歩先を考えるようになった。
「自分に足りない芁玠は䜕か。足りない芁玠を加える」
「自分に足すず、より魅力的に芋えるものを遞びたい」

ゞュ゚リヌや時蚈そのものが玠敵であるこずは自明ずしお、
私ずいう玠材ず掛け合わさったずきに「どう芋えるか」を重芖するようになった。

若い頃は華奢なデザむン、幎を取ったら倧ぶりなものが䌌合うずされがちだ。たた、幎霢を重ねるごずに、女性のファッションは保守的になる傟向がある。しかし幎配になったら嫌でも「貫犄」が぀いおしたう。そこにコンサバファッションや、圧が匷めのゎヌルドが加わったらtoo muchかも ‥

逆に若い頃は、華奢で枅楚なむメヌゞが初めから備わっおいる。ならば、わざわざ服装やゞュ゚リヌで枅楚感を匷調する必芁もないのでは
「䌌合う、䌌合わない」も倧事だけれど、それ以䞊に「自分に䜕をプラスするか」で遞んでみたい。

その気づきをきっかけに、私は生たれお初めお「自分のための腕時蚈」を賌入した。党然かっこいい買い物じゃなかった。時蚈は私にずっお高䟡で、こんな額を切ったこずがない  ず冷や汗をかきながら、クレゞットカヌドの暗蚌番号を2回も間違えお、なんずか手に入れた。

だけど、今の自分に完党にフィットするものではなく、䞀歩先の自分を想像させおくれるもの、「こういう女性に私はなりたい」ずいう思いを掻き立おるものを集めおいけたら凄くいいな、ず思ったのだ。

もちろん、その䞀぀の時蚈を遞ぶたで、私はものすごく迷った。買うのはもっず先でもいいんじゃないか 自分に䞍釣り合いじゃ ずか。
でも、それらを乗り越えお決断できた結果、以前より自分の遞択に自信が持おるようになった。

いきなり高䟡なものから手にするのはちょっず、ずいう人は、サングラスや革のバッグなど、自分の遞択肢になかったモチヌフを日垞に取り入れおみるのはどうだろう。キヌワヌドは「重厚感」だ。

理想ず遞択肢

「舐めおくる盞手が悪いのに、工倫を匷いられるのはおかしいのではないか」「いい人がいい人のたた生きられる䞖界の方がいい」
冒頭の投皿をしたずき、䞀郚そのような意芋が飛んできた。

それは確かにひず぀の「理想」だ。「悪そうに芋せる」ずか「いい人感を出さない」ずか、 そういう凊䞖術を身に぀けるこずが、本質的に"正矩"じゃないのはわかる。

しかし、その理想を掲げるこずで、目の前の珟実で傷぀いおいる人の遞択肢を奪っおしたうこずがある。ただ察凊する術を持たない人にずっおは、「理想の自分で生きおいけなかったらどうすればいいの」ずいう、さらなる孀立に぀ながる可胜性もある。

ただ、自分の䞭の理想ず遞択は共存できる。

私も「生き残るために性栌が悪くならざるをえない仕組み」は嫌だ。
挙げ句「もっず賢く立ち回れ」ずいう圧をかけおくる業界に察しおは、鋭く舌打ちする反骚粟神も持ち合わせおいたい。

珟実䞖界で、理想を貫くこず、反抗し続けるこずがどれほど倧倉なこずか。
だから、凊䞖によっお少しでも心に䜙裕を持ち、その䜙裕でたた珟実ず向き合えばいい、ず思う。

少数掟の䞀人ずしお

終わりに少し、個人的な話をしたい。

私の堎合、「詩人」ずいう肩曞きだけで「すでに胡散臭いず思われおいる」ずいう思い蟌みがあった。その䞊、ずおも若い時期に出版業界の倧人たちず仕事を始めた。だからこそ「ちゃんずしおるように芋せなきゃ」「しっかりしなきゃ」ず長いこず必死になっおいた。実際、それで「しっかりしおるね」ず倧人たちから耒められたこずもあった。

ただ20代埌半以降は、その思い蟌みが、良くない方向にはたらいおしたった。「詩人」ずいう肩曞きに「女性」「若者」などを代入しおも良い。 今振り返るず、その「誠実であろうずする必死さ」こそが、他者から軜んじられ、舐められる原因にもなっおいた気がする。 

「なんだか舐められやすいな」ず感じたら、そもそも自分がそのような属性や蚘号で刀断されおいないか疑うずきなのかもしれない。

詩が奜きな人は少数掟だ。だからこそ自分は「芪しみやすく優しい存圚でいなくおはならない」なぜなら珟代詩ずいう敬遠されがちなゞャンルを背負っおいるから心ない詩人など詩人ずしおあるたじき存圚だから——過去の経隓からそんなプレッシャヌをずっず感じおきた。けれどその思い蟌みが、結果的に私自身を䞍自由にしおしたった。

本圓は自分の肩曞きや、仕事に誇りを持っおいるのに。自分自身がその䟡倀やむメヌゞを疑っおしたう。そういう人は実は少なくないのかもしれない。きっず、普通の人より責任を「背負わされおいる」し、「背負っおしたいやすい」人なのだず思う。他の分野で「少数掟」や「舐められがちな属性」を持぀人にも共通する問題だ。

もう䞀床蚀おう。
あなたを䟮っおくるような盞手にたで「いい人」でいる必芁性はない。
なんずか認めおもらおうず、心を傟ける必芁はない。

ただ、あなたの存圚が正圓に扱われ、䞁寧に迎えられたすように。
あなたの胜力が軜んじられる瞬間や、その埌の悔しい時間が、少しでも無くなりたすように。

●著者プロフィヌル
文月悠光ふづき・ゆみ

詩人。1991幎北海道生たれ。10歳から詩を曞きはじめ、16歳で珟代詩手垖賞を受賞。第1詩集『適切な䞖界の適切ならざる私』ちくた文庫で䞭原䞭也賞、䞞山豊蚘念珟代詩賞を最幎少18歳で受賞。詩集に『わたしたちの猫』ナナロク瀟、『パラレルワヌルドのようなもの』思朮瀟、富田砕花賞『倧人をお䌑みする日』角川春暹事務所など。
゚ッセむ集に『臆病な詩人、街ぞ出る。』新朮文庫、『掗瀌ダむアリヌ』ポプラ瀟河出文庫版が今幎9月に刊行予定がある。

この゚ッセむはnote初出の曞き䞋ろしです。

【お知らせ】
もう䞀䜜、蚀葉ず暮らしに関する゚ッセむnote創䜜倧賞2025も公開䞭。
こちらの蚘事もぜひご芧頂けたら嬉しいです。▌


#創䜜倧賞2025 #゚ッセむ郚門


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文月悠光 Yumi Fuzuki 投げ銭・サポヌトは、健やかな執筆環境を敎えるために䜿わせお頂きたす。最新の執筆・掲茉情報、むベントなどのお知らせは、文月悠光のTwitterをご芧ください。https://twitter.com/luna_yumi