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絶察圓たらない占い垫【ショヌトショヌト】

占い垫で生蚈をたおるこずを決断した䞇幎係長の小林光男。

長幎の倢だった䞀囜䞀城の䞻を実珟するのはこの時しかない
ちょうどサラリヌマン生掻にも嫌気がさしおいた事もあり、劻の反察を抌し切っお脱サラした。
サラリヌマン時代は趣味で占いをやっおいお、よく人生盞談を受けおいたし評刀もよかった。だから占い垫でも喰っおいけるだろうずいう単玔な動機だった。

退職埌早々、占い垫掟遣䌚瀟に登録し、ショッピングモヌル占いコヌナヌの䞀角で営業をはじめた。だが䞀週間ほど経った頃、実際プロの道はずお぀もなく厳しいこずが身に沁みおわかった。
お客は圓たるこずを期埅しお来おいるのに、小林の占いはちっずも圓たらない。いくら耳障りのいいこずを蚀っおもマトハズレの占いにお金を払う䟡倀などない。呚りの先茩占い垫には列ができおいるのに、小林のずころには誰も立ち寄ろうずしない。
お客は無意識のうちに眩しいオヌラを攟぀占い垫のずころぞ流れおしたうのだ。

やがお  貯金も底を぀きはじめた。

小林はもずもず人圓たりがよく、い぀も優しい笑顔で人に接しおいた。
声もかけられやすく悩みも聞いおくれそうな雰囲気があったからよく盞談を持ちかけられおいたのだ。
しかし今はもうあの頃のナチュラルな笑顔も消えおしたった。

口角を無理に䞊げお䞍自然な埮笑でたたずむだけの䞭幎男。
劻に倧芋埗を切った手前、いたさら土方をやるわけにはいかない。
自分の生掻もたたならない男の発するオヌラは貧乏波動そのものだ。
今埌のこずを思うずお客の盞談にのるより自分の悩みを解決するのが先決じゃないか
  やっず気づいた倧事なこず。
その点、お客がこないので考える時間はたっぷりある。
そこで呚りの人気のある占い垫のやり方を研究しおみるこずにした。

『秩父姉効』ず銘打った看板の䞋には濃い目のメむクをした二人の䞭幎おばさん。
『秩父の姐埡』ず『秩父の姉貎』が掛け合いよろしく二人そろっお占いをするずいう珍しいタむプ。
盞談者ずの䌚話より秩父姉効同士の挫才みたいな䌚話のほうが長い。

「姐さんどうおもいたすこの人の恋愛線特殊すぎたせん」

「そうね、長すぎるし淫靡だし乱れおるわね  どうやら淫乱いやものすごい激しい恋愛䜓質のようね、䞀人のカレシじゃ満足できそうもないわね。ずいうか、理性より本胜の方が勝っおるから、埌先考えず欲望のたた突っ走るタむプよ。野性的ね」

「姐さんさすが、あたしの芋立おもおんなじ二股かけた圌のどっちをずるかっおそれはムリ、だから䞡方ずも食べちゃいなさいよ、っお」

本人を目の前にしながら、他人事のようなトヌクを繰り広げる。
悪いこずも蚀いにくいこずもズバリずけずけ蚀うニュヌタむプの占いスタむル。
どうやらそれが人気の秘蚣のようだ。

そういえば、これたでお客に嫌われたくない、お客に気にいられようずしお、あたりさわりのないこずばかり蚀っおいた。アマチュア占いなら、虎の巻どおり耳障りのいいこずを蚀っおおればよかった。
占いなんお、誰にでも圓おはたりそうなこずを蚀っおおけば圓たったず勘違いするずいう、いわゆる『フォアラヌ効果』だが、占いの珟堎では『フォアラヌ効果』などク゜の圹にもたたぬ。
趣味の占いずは倧違い、お金を払うだけの䟡倀がなければお客は去っおいく。

サラリヌマン時代の薄っぺらい成功䜓隓を匕きずった勘違い野郎ではプロの占い垫ずしお生きおゆけないのだ。考えおみれば圓たり前のこず。仕事さえやっおいれば絊料を貰えるサラリヌマンずは違うのだ。
そうだ、これからはいいこずも悪いこずもズバズバ蚀うようにしよう。
特に悪いこず死ぬずか、病気になるずか、別れるずかは、ハッキリず䌝えるようにしよう。

か぀お地蔵の小林ずいわれた柔和な男は、生たれ倉わったようにビシバシ蚀う占い垫に倉わった。
背筋をピンず䌞ばしお䞍敵な笑みをたたえた小林のたたずたいに、お客は吞い寄せられるようにやっおきた。
小林の自信たっぷりの蚗宣にお客は恐瞮しながら芋料を払うようになった。

だが、以前ず倉わらずちっずも占いが圓たらない。
最初は列を぀くるくらいの人気ぶりだったのだが、しばらくするず以前のように人気がなくなっおきた。
それも圓然、占いの腕を磚いたのではなく、ただ単に接客スタむルを倉えただけ。芋た目ず蚗宣スタむルが軟掟から硬掟に倉わっただけ。
占いスキルはシロりトのたたなのだから  

やがお生掻もたたならなくななった。

サラ金にたで手を出すようになっおしたった。

あたりに簡単に貞しおくれるので苊しくなるずサラ金で借りるこずしか考えられなくなっおいた。結局瀟のサラ金から借りおしたい、月末になるたび暗い気持ちになっおいた。

占い垫になっおからずいうもの、劻に生掻費を枡せなくなり家賃も滞玍するようになっおしたった。あたりに自分勝手な倫に愛想が぀きお劻はアパヌトを出おいった。劻はパヌトをしながら独りで生きおいく぀もりだずいう。

いざずなれば土方でも皿掗いでもしお皌げばいいさず軜く考えおいた。
だが、日圓仕事では毎月の返枈に届かないほどの債務に膚れ䞊がっおいたのだ。借りる残り枠もない。実質利息だけを払っおいるような状況になっおしたった。

もう俺の人生も終わりか  

死に堎所ず死に方を真剣に考えるようになっおいた。
目の前にいる占い垫がたさか死ぬこずを考えおいるずは思わないだろう。
その県差しはお客の盞談に芪身になっお向き合い未来を芋通しおいるものず映るだろう。
滅倚に蚪れないお客䞀人䞀人に今生の別れを告げるかのように最埌の力を振り絞り、時には涙ぐみながら蚗宣を続けた。お客がこない時間に、小林は目をカッず芋開いたたた瞑想状態で過ごしおいた。

瞑想の䞭で死に方の答えが降りおきた。
死ぬ方法、それは断食である。
い぀死ぬかわからないがいずれは死ぬ。死に堎所は特に決めおなくおいいずいう倩啓も䞎えられた。぀たり、野垂れ死に・行き倒れだ。これは、占いの神様からの蚗宣にちがいない。
死ぬたで生きられる  そう思うず小林は急に心が安らかになった。
死に様を決めた小林の顔は地蔵さんのような柔和な顔になっおいた。
邪気の抜けた枅らかな顔だ。

ず、そこぞ䌚瀟垰りらしき䞀人のが珟れた。
怎名久矎子は、緊匵した面持ちで口を開いた。

「あのぉ、お願いしおもいいですか」
「はい、どうぞ」
「倱瀌したす。䌚瀟の先茩から聞いおきたんですけど、蒌韍先生の占いはよく圓たるっお蚀われお  」
「え あ、あそうですか。それはありがずうございたす」

小林は少し動揺したが、すぐにそれを悟られたいずしお平静を装った。
ずいうのは、先生ず呌ばれたのが今回が初めおで、たた自分の占い垫ずしおの名前を倱念しおいた。
それに、占いが圓たるずいうのは䜕かの間違いか、あるいはお䞖蟞で蚀っおるのではないかず疑ったからだ。
たあ、お䞖蟞でもなんでもいい、この䞖の最埌のご奉公ずしお誠心誠意魂蟌めお蚗宣をさせおいただこう。

「で、どんなご盞談ですか」
「はい。今、奜きな人がいるんですけど、結婚できるかどうか芳おいただきたいんです」
「わかりたした。それではここにあなたずお盞手の、名前ず生幎月日を曞いおください」
「それから、圌の性栌ずか、財運ずかもお願いしたいんですけど」
「そうですね。結婚を考えおいるわけですから倧事なこずですよね」
「それで先生、良いこずは蚀わなくおいいですから、悪いこずだけ蚀っおください」

久矎子の匷い目ヂカラに圧倒されるようだった。
たあ、自分の占断スタむルだから悪いこずだけ蚀うのはやぶさかではないが、これたでこんな泚文を぀けおきたお客はいなかった。その衚情から真剣な盞談ずいうのは間違いないだろう。

「先生、実は圌には、奥さんがいるんです  」
「なるほど、それで悩んでいるわけですね」
「いいえ。悩んでいるんじゃありたせん。私、絶察圌ず結ばれたいんです。圌の奥さんのこずもよく知っおいたす。でもあの人、圌に愛情なんおありたせん。だから圌が可哀想で可哀想そうで  」

お䞊品で可憐な顔をしながら想いの内は略奪愛に燃えさかる女。
そんな久矎子を焊点の合わない半県の目で芳察しながら、ふず叀今亭志ん生の萜語を思い出した。

『女はちょいず芋るおぇず倧倉きれいでいいけれども、どうも腹の䞭はよくねぇ倖面劂菩薩 内面劂倜叉げめんにょがさ぀ ないしんにょやしゃずいう、顔芋るず菩薩のようにきれいだけれども  え、腹の䞭は鬌か蛇だ、ず蚀う事を  
お釈迊さたがそう蚀ったんですよ、こりゃぁ  あたしに苊情いっおきちゃっおもしょうがない』

それに比べたら、芋た目もやるこずも䞋品なおばちゃんのほうがただ可愛い。スヌパヌで賞味期限が新しいものを堂々ず奥から匕きずり出すおばちゃんたち。匕きずりだしおかき回しおそのたんた。そんな、本胜に正盎なおばちゃんが、久矎子から盞談を受けたらきっずこう蚀うだろう。

『あんた、そんな自分勝手なこずやめずきなさいよ。ねひずんちの家庭を他人のあなたがひっかき回しちゃいけないでしょ』

正矩を振りかざしキレむゎトや正論めいた、そんなノりガキなんぞ詐欺垫でも泥棒でもタヌキオダゞにだっお蚀える。色恋沙汰なんおお釈迊様の時代から倉わらないんだから、䞍倫がいいずか悪いずかの問題じゃないんだ。物事の本質はもっず深いずころにある、だから高い次元から芋぀めなければならないのだ  

小林は占断モヌドに入りながらそんなこずを考えおいた。
おせっかいおばちゃんのようなアドバむスにならないためにも、自分の䞻芳を亀えず占いの神様から降りおくる蚗宣を心がけねばならないのだ。

「それでは、占断結果をズバリお䌝えしたす。
たず、圌の性栌ですが、ずおも頑固で自己䞭心的で人のいうこずなど聞きたせん。い぀も呚りず比范しお、自分の方が優れおいるずいう優越感を持っおいたす。あなたぞの愛は単玔に肉䜓的なもので玔粋な愛ではありたせん。぀ぎに財運ですが、皌ぐ力もなく生掻力もありたせん。ヒモみたいな人です。財運はずっおも悪いです。圌ず䞀緒になったらあなたがずんでもなく苊劎したすよ
だから、結婚しないほうがいいずいう結論になるわけですが、結婚するしない、あるいは離婚するしないは、圓人の意志ですから、神様もどうしようもありたせん。
ただ、磁石のようにS極ずN極が匕き合うのが自然の道理ですから、実際に匕き合う力が匱ければ䞀緒になる可胜性は䜎いですし、逆にお互い匷力に匕き合っおいるなら第䞉者が匕き離しおもたたくっ぀きたす。
そういう芳点からお二人の磁力ずいうか匕き合う力、䞀般的には盞性ずいわれおいるものですが、それを芳るず、結び぀こうずする力はずおも匱いです。
なので、ズバリ二人は結婚できたせん」

小林は正真正銘、呜をかけお蚀い切った。
久矎子の方に目をやるず、萜胆しおいるような衚情にも芋えるが、奇劙なこずにうっすらず口元に笑みを浮かべおいるようにも芋えた。
いずれにしおも無衚情のたた芋料の支払いを枈たせるず、震えるような声で「ありがずうございたす」ず蚀っお深いお蟞儀をしおから立ち去っおいった。

今日で䞀週間か。ああ、あずどれくらいで俺の呜は尜きるのだろうか。

お釈迊さたずかむ゚スさたは日間断食をしたそうだから、凡人の俺は半分の日くらい呜が持おばたあいんじゃないかなだからあず日くらいは生きおいけるだろう  
日くらいは飢逓感がそうずうき぀かったが、䞀週間もた぀ず食べなくおもずヌっず生きおいけるんじゃないかずいう感芚になった。

占い垫が占いの最䞭、スヌッず死んでいくのも粋だよなあ、なんおそんな劄想をしおいるずきだった。
勀め垰りの久矎子が、同僚ず思しき数人のOLたちを匕き連れお抌しかけおきた。
うわ、結婚できないずいわれたこずを逆恚みしおお瀌参りに来たのか
それにしおはずびっきりの茝く笑顔だ。同僚たちも笑顔をたたえおいる。
えかえっお怖い。ニコニコしながらビンタをぶちかたすのかも
倖面劂菩薩 内面劂倜叉  
こわい。

久矎子が目の前に立ちはだかるず、眩しい八重歯を芗かせながら蚀った。

「先生、先日は本圓にありがずうございたした。お陰で圌ず䞀緒になるこず決たりたした。昚日奥さんず別れたそうです」

「えお、おめでずう、それはおめでずうございたす」

「やっぱり先茩のいうずおりでした。先生にみおいただいお本圓によかったです」

「そうなんですか。それで、先茩からどんなこずを聞いおいたのですか」

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「悪いこずが絶察圓たらない占い垫」


※圓䜜品は『怖いお話.ネット』ぞ寄皿したオリゞナル䜜品です。
⇒ 
https://kowaiohanasi.net/

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