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フルノの技術で、もっと豊かな海の未来を。「ブルーカーボンプロジェクト」

2025年4月に始動したブルーカーボンプロジェクト。「海運DX」「水産DX」「研究」「開発」「航空防衛」「ブランド」など多彩なメンバー7名が集結し、部署の垣根を超えてフルノの技術で海を守り、海を豊かにするためのプロジェクトに挑戦しています。活動の楽しさや乗り越えるべき課題、そして今後の可能性について語り合いました。

ブルーカーボンとは…海洋や沿岸域の生態系(藻場、海草、マングローブなど)が大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収し、炭素として海中に固定する仕組みを指します。これらの生態系は、地球温暖化の緩和に貢献する重要な役割も担っており、気候変動対策としても世界的に注目されています。

海と共存共栄する未来社会
「Ocean 5.0」に向けてプロジェクトが始動

Q. ブルーカーボンプロジェクトが始まった背景を教えてください。

舶用機器事業部 DX推進部 海運DX課 
プロジェクトリーダー  藤本 倫子(ともこ)

【趣味】子供服のリサーチ(目に入ると、つい手を伸ばしてしまいます。)
【好きな言葉】健康第一

藤本:ある海運会社様が藻場再生に取り組んでいると聞いたことがきっかけです。船が排出するCO2の削減に少しでも貢献できないか、という想いで取り組んでおられるとのこと。そこで、海に育てられたフルノとしても何かお手伝いできないかと社内で話していた時に、全社横断的な活動である「未来技術デザイン委員会」※でも同様の構想を立てていると聞き、当時委員会のメンバーだった長岡さんに相談しました。

長岡:委員会では「フルノの技術を未来にどう活かせるか?」「未来に向けてどのような技術を獲得していくべきか?」などを話し合っていました。そこで検討されていた技術の一つに、魚群探知機(以下、魚探)による藻場のモニタリングがありました。これが藤本さんのイメージしていた活動ともつながり、現在のブルーカーボンプロジェクトが始動しました。

航空・防衛事業部 開発部 
長岡 瞭太(りょうた)

【趣味】グルメ、スキンダイビング、水族館
【好きな言葉】陰徳あれば陽報あり

野口:超音波を通じて“海の中を見える化”する技術を持つフルノだからこそ挑戦できるプロジェクトだと考えています。フルノは2048年に100周年を迎えますが、2024年にはその節目を見据えて「100年企業ビジョン:海の恩恵をすべての生きるものへ」を発表しました。ブルーカーボンプロジェクトは、2050年時点の未来社会「Ocean 5.0-海との共存共栄-」※の実現につながる取り組みでもあり、その第一歩として非常に意義深いものと捉えています。

海洋の未来や社会環境をテーマにした論文や書籍など、様々な文献をもとに
2050年に到来するであろう世界を当社が予測して描いた未来社会コンセプト
経営企画部 ブランドコミュニケーション課 
野口 竜太郎(りゅうたろう)

【趣味】朝活、旅行(週末は癒しを求め、海や山へ)
【好きな言葉】できっこないを やらなくちゃ

藤本:そうですね。社会課題の解決だけでなく、漁業や商船、プレジャーボートなど海に関わる方々に対して製品を提供しているフルノの技術のさらなる進化や事業成長にも直結する活動でもあります。

岩佐:今は全国5か所で進められている藻場再生の取り組みに参画しています。漁業者さんや海藻の養殖業者さん、行政機関などさまざまな団体が全国各地で藻場再生に取り組んでいるものの、まだ確立した手法がある分野ではないので、最初は「何か一緒にできませんか?」と手探りからスタートしました。話し合う中で見えてきたニーズが「藻場の見える化」です。

舶用機器事業部 DX 推進部 水産 DX 推進課
岩佐 晃(あきら)

【趣味】スポーツ観戦(特に野球好き。千葉ロッテ推し)
【好きな言葉】明日は明日の風が吹く

飯塚:これまではダイバーさんが潜水して藻場の育成状況を確認する方法が主流でしたが、目視ではどれだけ育っているかを把握するにも限度があります。ここにフルノの超音波技術を活用すれば、藻場をより広範囲に測定でき、さらに生育変化も捉えられると考えたのです。ただ、基本的に魚探で捉える対象は魚です。藻を見ることを想定して作った機器ではないので、技術面では苦労しますし、今後さらなる工夫が必要ですね。

海の中を「見る」だけではなく「守る」技術に

Q.「藻場の見える化」にはどんな苦労がありましたか?

岩佐:最初は何から手をつけていいのかも分かりませんでした。魚探で藻を映すことができるとは分かっていましたが、どう映るかは未知数です。まずは藻場再生の現場に出向いて、漁業者さんや行政などパートナーの皆さんと話し合い、「どのようなデータが欲しいか」「どんなふうに測定するか」を決めるなど実験段階からスタートしました。

海上にて、魚探を用いて藻場調査を行う様子

飯塚:今は魚探が搭載されている船や、簡易に船に魚探を取り付けて藻場再生に取り組んでいるエリアを走行し、取得データの解析を進めています。

舶用機器事業部 開発設計統括部 機構開発課
飯塚 みなみ

【趣味】キックボクシング。楽しく続けるのがモットー
【好きな言葉】腹が減っては戦ができぬ

喜屋武:データ解析では、藻の種類の判別に挑戦しています。ただ、これが本当に難しいんです…エコーで撮ったデータと実際の藻のデータを照らし合わせることで「この高さならワカメだろう」と推測していますが、間違いないとは言い切れません。

岩佐:現地のパートナーさんから聞いた話とも合わせ、「推測が正しそうだ」と確認して、再び検証する…という地道で気の長い作業ですね。でも、フルノの魚探は映像だけでなく数値を通して藻場の育成状況を捉えることができるので、技術を確立できれば広範囲かつ正確な測定が可能になり、活動自体のスピードも加速していけると思います。

音響信号で海底上の海藻や海草のエコーを検出
須磨沖の藻場調査で取得した藻高さ分布イメージ

喜屋武:実は、受信信号の周波数特性やエコー振幅の空間分布といった、まだ十分に活用できていない情報が数多く存在します。これらは、ターゲットである藻類の種類や繁茂状況を反映している可能性が高いと考えられます。今後も測定・解析の観点からアプローチできる余地は大きく、こうした情報を駆使してアルゴリズムを開発することで、新たな判別手法を創出できる可能性があります。さらに、その成果はソナーをはじめとする音響計測技術の発展にも寄与すると期待されます。

第1研究部 養殖支援技術研究室 
喜屋武 弥(わたる)

【趣味】ハイキング、キャッチボール
【好きな言葉】①温故知新 ②努力してはいけません。楽しみましょう。
③今日できることは明日もできる.次の日に備えてゆっくり休みましょう。

長岡:魚探の技術を応用し、藻場の再生状況を客観的なデータとして可視化できれば、その環境価値を定量的に示すことが可能になります。ブルーカーボンを定量化し、カーボンクレジットとして取引可能になる「ブルーカーボン・クレジット」に認定されれば、取り組みは一過性ではなく、継続可能な仕組みとして成立します。フルノの技術によって“見えない海の価値”を数値化し、その意義を広く発信することで、「自社でも取り組んでみよう」と考える企業や地域が次々と生まれる。そんな好循環を生み出したいですね。

事業性か社会貢献かではなく、その両立を。
パートナーとの共創で実現へ

Q.皆さんは、活動にどのような気持ちで取り組んでいますか?

飯塚:現場で測定を行う合間に漁業者の皆さんとお話しする中で、普段の製品開発業務だけでは見えてこない、海のリアルな現状を知ることができました。中でも、「地球温暖化の影響で藻場や魚が年々減っている」というお話は多くの方から何度も伺い、とても印象に残っています。現場の声に触れるほど、フルノの技術を通じて少しでも海の未来に貢献したいという想いがより強くなっています。

舶用機器事業部 DX推進部 海運DX課
豊福 修(しゅう)

【趣味】立ち飲み、漫画、No No Girls
【好きな言葉】人生万事塞翁が馬

豊福:漁業者さんをはじめ、企業も行政も未来の地球のため、海を子どもたちに引き継ぐためには自分たちがやらなければいけない、と本気で藻場再生に取り組まれています。だからこそ、私たちも何かお手伝いをしなければという気持ちに駆られます。しかし、持続可能な取り組みにするためには、この活動を事業として成立させることも重要です。

喜屋武:技術的な面から考えても同感です。いくら高度な装置を作ることができても、実用性がなければ意味がありません。どこまでの精度を求められているのか、本当に必要とされる技術は何かを見極める必要があります。
 
豊福:私たちもお客様も、最初から明確な正解が見えているわけではありません。だからこそ、丁寧に対話を重ねながらニーズをくみ取り、必要に応じて軌道修正しつつ進めていくことが大切ですね。
 
藤本:事業性と環境への取り組みをどう両立させるかは、多くの企業が直面している課題です。フルノだけで答えを出せる問題ではないからこそ、今後もさまざまな分野のパートナーと共創することが大切だと改めて感じます。

野口:多様なメンバーが集まっているので、今後もこれまでなかった発想やアイデアを提案して一つずつ形にしていきたいですね。互いの知識や学びを持ち寄ることで、プロジェクトの可能性は無限に広がっていくと感じています。実際に活動内容を知って、社内からも「協力したい」という声があがるなど、専門性と熱い思いをもった仲間が広がっている実感があります。

社内で開催された研究技術発表会での「ブルーカーボンプロジェクト」の活動紹介の様子
(この場でのプレゼンテーションが、新メンバーの参画につながった)

楽しみながら技術の追求を続け、
未来の海を豊かに 

Q.活動を通じてやり遂げたいことや叶えたい夢はありますか?

 喜屋武:まずは測定技術を確立することが直近の目標ですが、将来的には環境をより良くする側にまでアプローチできると面白いと思いませんか?例えば、水をきれいにするとか、植物の成長を支えるとか。実現には多くの壁があると思いますが、興味を持って挑戦した結果が、地球や誰かの役に立つのであれば、これ以上うれしいことはないですね。

長岡:同感です。「何かを我慢して環境を守る」のではなく、海や魚への感度が高いフルノの強みを生かしながら、自分自身も楽しんで海を豊かにしていきたいですね。その第一歩が、今まさに取り組んでいるブルーカーボンプロジェクトだと感じています。

岩佐:私は、今まさにこの活動を楽しんでいますよ。多くの謎が隠されている海を、魚探の技術で解き明かすことが大学時代からの夢でした。だからこそ今の仕事は天職です。魚を探すだけではなく、海底環境の把握や海洋資源を守る方向に、魚探の可能性をさらに広げていきたいですね。

プロジェクトメンバーで「アマモの種まき」に参加
左から、岩佐、飯塚、舶用機器事業部長 兼 プロジェクトオーナー 矮松 一磨(かずま)

飯塚:先日、岩佐さんと一緒に、海洋環境保護に取り組む「Suma豊かな海ネットワーク」さん主催の「アマモの種まき」に参加しました。藻場調査の起点は、測定する相手を知ること。この時初めて、アマモが根付くまでには長い期間がかかるということを初めて実感しました。製品開発もこのプロジェクトも「価値を創り、未来につなぐ」という点では同じだと思います。

野口:そうですね。この活動は「海を未来にプロジェクト」の延長線上にもあります。「海を好きになってほしい」という想いにフルノの技術を掛け合わせ、海をより豊かな場所にしていく。それこそが海に育まれてきたフルノらしい価値創造の形だと思っています。だからこそ一過性で終わらせず、多くのパートナーと共に楽しみながら続けていくことが重要です。

子ども食堂と共同で開催した「ブルーカーボン・ワークショップ」の様子
(フルノの研究開発棟内で開催し、100名を超える地域の方が参加した)

豊福:期待してくださっているお客さまのためにも、環境貢献、技術革新、そして事業性の3つの柱を成立させ、この活動を持続可能なものとしてやり遂げたいですね。

藤本:藻場再生は測定が難しく、継続的なモニタリングのハードルが高いと一般的に言われています。だからこそ、「フルノの魚探を使えば、藻場の状態を簡単に把握できる」と感じてもらえるような技術を提供できれば、活動の裾野が広がるはずです。これからも現場の声にしっかり耳を傾け、挑戦を続けていきましょう!

ブルーカーボンプロジェクトメンバー

- 海を未来にプロジェクト -