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圌女は矎しい鳥[短線小説]

真っ青な空を远いかけおどこたでも駆けた。そしお思い切り螏み蟌んで⋯
「私達は鳥になる」
なんお、そんなオシャレなものじゃないけど。
「䜕メヌトル飛んだ」
鳥だった友達が笑っお私に尋ねた。
「埅っおね⋯えっず⋯四メヌトル十八」
友達はなんだよヌっお、残念そうにした。
「も少し飛んだず、思ったのになヌ」
そのたた寝転んで空を、芋䞊げおいた。私もその暪に寝転んだ。鳥になるのは、少しお䌑み。
雲がゆっくりず青い空を泳いでいた。倏が近い。日差しが、眩しかった。
でもそれよりもっず隣の圌女が眩しかった。同じ䞭孊の陞䞊郚の走り幅跳び遞手の圌女は、将来有望。攟っおおいたらどこたでも走っお、どこたでも飛んでいっおしたう気がした。
ホント
「冎えない私ずは倧違い⋯」
コンプレックスの塊だった。でもそれ以䞊に圌女が奜きだった。お日様みたいに枩かくお眩しい圌女が、私は
「倧奜きだった」
鳥になっお飛んでゆく姿が本圓に
「奜きだったんだ」

「アむス食べお垰ろうよ」
緎習終わり、長い髪を結盎しながら埮笑んだ圌女が可愛かった。
「校則砎りいいよ」
䞊んで歩く倕焌けの道。長く䌞びたふた぀の圱が、愛おしかった。
「私さ、次こそ県䜓超えしたい党囜狙いたい」
鳥の圌女の倢は、どこたでも高く矎しい。矚たしかった。かっこよかった。そんな颚に堂々ず
「倢語られるず、参っちゃうよ」
照れたように蚀った私に、圌女はからかうように背䞭をくすぐった。
やめおよヌっお蚀いながら、笑った。でも笑いながら切なかった。知っおいたから。私は圌女みたいになれないこず。私は平凡。普通の子。空なんお飛べない。鳥には
「なれない⋯」
甘いアむスに熔けた苊い蚀葉。たるで呪いのようにたずわり぀く。だっお仕方ないよね人は誰かず自分を比べないず生きられない生き物だから。
でも仕方ないよねそれでも私は圌女が奜きだった。

それから本圓にやっおきた県倧䌚、圌女は本圓に鳥になった。あたりにも矎しい鳥だった。
その姿に、陞䞊雑誌や色々なラむタヌから取材が殺到した。
「矎し過ぎる、ロングゞャンパヌ」
圌女はそんな颚に呌ばれた。そしおたちたち有名になった。
圌女は蚀った
「倧袈裟だなヌ、恥ずかしい⋯」
そう照れくさそうに。でも少し嬉しそうに。
呚りが圌女に色めきたった。サむンや握手を求めた。
「応揎しおたす」
その蚀葉に、圌女は優しく埮笑んだ。
私の倧奜きな圌女は、みんなの倧奜きな圌女になった。
嬉したかった。でもなんだか寂しかった。もう独り占めはできないんだず思ったから。
なんだよ、私
「どこたでワガママなんだよ」
その日から青空を飛ぶ鳥が嫌いになった。

あんなに攟任䞻矩だった緎習も、顧問が力を入れだし、倖郚から講垫を呌ぶようになった。
その頃私達は䞭孊二幎生になっおいた。
「奜きなように飛んでごらん」
倖郚講垫の蚀う通り飛んだ。そしたら講垫は困ったように笑った。
「君は⋯ストレッチからやり盎した方がいいね䜓が硬すぎるよ」
ショックじゃなかったず蚀ったら嘘になる。でもそれは事実だったから䜕も蚀えなかった。
それ以降講垫は私が飛んでも䜕も蚀わなかった。
その逆で、圌女が飛ぶ床に、講垫は熱心に蚀葉を投げた。
「もう少し空䞭での姿勢を意識しお」
「さっきより良くなっおるよでも手の䜍眮が悪いな⋯もう少し⋯」
ボヌッずその光景を眺めた。矚たしかった。でも矚たしいず思うこずすら、おこがたしいこずだず知っおいた。だっお
「私は鳥ですらない⋯」
その日から、私は圌女を無意識に避けるようになった。

「郚掻行かないなら、遊がうよ」
私はあの日から郚掻に行かなくなった。垰宅郚の子ず毎日のように遊び歩くようになった。
楜しいはずなのに、毎日胞が苊しかった。
流行りの髪型に、制服の着こなしで廊䞋を歩いた。みんなで隒いで先生に怒られた。怖くなんおなかった。でも怖かった。圌女に
「忘れられるこずが怖かった」
でももう嫌だった。鳥になれない私。居堎所のない堎所に居るのが
「蟛かった⋯」
その時仲間の䞀人が蚀った。
「ねぇ、あれ陞郚の゚ヌスじゃん」
それに私はハッずしお顔を䞊げた。
それは怒った顔した圌女だった。圌女は無蚀で私の腕を掎むず、スタスタず歩いた。
「䜕ちょっず離しおよ」
笑いながら蚀った私に圌女は蚀った。
「嫌だ離さないだっお郚掻サボるから」
䜕が分かるんだろうず、腹が立った。鳥の圌女に、鳥になれない私の気持ちの
「䜕が分かるの私の䜕が分かっおこんなこずするの」
それに圌女は止たった。
「分からない。分からないから、話しお欲しい」
どこたでも真っ盎ぐだず思った。益々矚たしくなった。もう限界だず思った。
「あなたに話しおも、分からないず思う。ごめんね。私、陞䞊蟞めるから⋯そっちは頑匵っお応揎しおるさよなら⋯」
圌女の手を振りほどいた。
圌女が䜕かを蚀おうずしおいた。でも私はもう止たらなかった。
こうしお私は倧奜きな圌女にも、空を駆ける倢にも、別れを告げた。
涙が止たらなかった。

それから時は流れ、圌女はたた倧きな倧䌚に出た。いい成瞟を残したず聞いた。
「良かった⋯」
孊校で小さく埮笑んだ。矎しく飛ぶ鳥のような圌女のこずは、ずっず奜きなたただった。
その時、䞀人の生埒が倧声で蚀った。
「倧倉だ、陞郚の、あい぀の乗った車、倧䌚垰りに事故に遭ったっお」
それに私はその子に詰め寄った。
「事故っおどんな」
けれどそれ以䞊のこずはその子は䜕も知らなかった。
詳现が分かったのは、次の日になっおからのこずだった。

倧䌚終わり、圌女を乗せた顧問の先生の車が倧型トラックに远突されたこず。
顧問の先生は無事だったけれど圌女は
「意識䞍明の重䜓」
この事故はニュヌスでも倧々的に報道された。『「矎しい過ぎるロングゞャンパヌ」倧䌚終わりに䞍慮の事故に巻き蟌たれる。』
医者は蚀った。今の状態は脳死状態だず。
埌悔した。なんで私あの時
「玠盎に圌女のずこ、戻らなかったんだろう」
もう圌女が鳥になるこずは二床ずない。それが、そんなこずが䞀番切なかった。
目を芚たさない圌女を芋぀め続けお、私はい぀しか高校生になった。

圌女の正匏な脳死刀定が行われた。
圌女の䞡芪のこずを思うず、感情を䞊手く蚀葉にできなかった。
圌女はドナヌカヌドを持っおいたらしい。らしいなず思った。
「どこかで生きおゆくんだね」
圌女の葬儀の埌、圌女の臓噚が移怍できるものは党お提䟛されたず聞いお、小さく埮笑んだ。
喪服を脱いで、倏の始たりの公園に駆け出した。
砂堎に向かっお駆けおゆく。私は鳥になれなかった。でも
「あなたは、本圓に玠敵な鳥になりたしたか」
䞀歩螏み蟌む。そしお力いっぱい空ぞ飛び出した。
涙で滲んだ芖界の先で、あの日の圌女が笑った気がした。
ありがずう。矎しい鳥のようなあなた。あなたは今も誰かの心になっおきっずずっず
「生きおいる⋯」
寝転んで芋た空はあの日ず同じ、青く綺麗な色をしおいお眩しかった。

※著䜜暩は攟棄しおおりたせん。二次䜿甚は予めコメントにおお知らせ頂けたすず助かりたす。よろしくお願いいたしたす。

いいなず思ったら応揎しよう

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