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常識の外側から文化は生まれるのか――草間彌生さんが残したもの

水玉や網目、カボチャなど独自の表現で世界的に知られた前衛芸術家、草間彌生さんが97歳で亡くなった。幼いころから体験していた幻覚や幻聴を絵にすることから創作を始め、やがてニューヨークへ渡り、既存の美術の枠に収まらぬ作品を次々と生み出したのじゃ。晩年まで制作を続け、文化勲章も受章するなど、日本を代表する現代芸術家の一人となった。(テレ朝NEWS⁠)

幻覚や幻聴という言葉から統合失調症などを連想することはあるが、それだけで医学的な診断を推し量ることはできん。ただ、精神障害や知的障害のある人々の中から、既存の美術教育や価値観とは異なる独特の作品が生まれ、いわゆるアウトサイダー・アートとして評価されてきた例があるのも事実じゃ。草間さん自身も、苦しい体験を単に抱え込むのではなく、それを水玉や反復、無限という独自の造形言語へと変えていったのじゃろう。

もちろん、精神的な苦痛そのものを「才能の源」と美化するべきではあるまい。しかし歴史を振り返れば、名だたる芸術家には、当時の常識から見れば風変わりな思考や行動をした者も少なくない。皆と同じように考えることだけから、新しい文化が生まれるわけではないのじゃ。「普通」の外側にある感覚を作品へ昇華し、多くの人にこれまで見えなかった世界を見せる――そこに芸術の大きな役割の一つがあるのかもしれんのう。草間彌生さんのご冥福を、静かにお祈りしたい。

https://www.sankei.com/article/20260827-5MQPRV72JNMQBLU6ZOXOZSBY3Y/

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