見出し画像

🌺ウメばあちゃんのひとり語り「急須のふたが、ちょこんと語りかけてくる」(repost)

—— 小さな“ふた”にも、ええ仕事があるんや


このあいだな、朝の台所でお茶を淹れとったんよ。
いつもの急須に、いつもの茶葉。
そしたらな、ふたがちょっと傾いてのってしもうたみたいやって、
お湯を注いだとたん、カタン…と音をたてて落ちたんよ。

「あらまぁ、まだ寝とったんか?」て、ふたに声かけてしもてな。
誰もおらん台所で、うちは一人、ふたに話しかけとる。
けど、なんやろなぁ……
そのふたが、こっちを見上げて「ごめんな、うちもちょっと油断しとったわ」
言うてるような気がしてな、笑ろてしもうたんよ。

うちの急須、この家に来てもう何十年やろ。
柄のとこ、ちょっと欠けてしもうたけど、まだまだ現役。
ふたの裏っかわには、うっすら茶渋の輪っか。
毎日こうして、お湯を包んで、香りを閉じこめて、
そっと“ええお茶”に仕上げてくれとるんよな。

急須のふたちゅうのは、目立たんけど大事な存在や。
ちょこんと乗っかってるだけに見えて、実は、
湯気の逃げ道をふさぎ、茶葉が踊るのを見守っとる。
まるで、口うるさないい母ちゃんみたいにな。
「ちゃんと蓋しとかな、ええ味でぇへんで」言うて。

せやけど、ふたがちょっとズレとるだけで、味が違う気ぃするんも不思議やねぇ。
きっちり閉じて、じんわり蒸して、待つ時間。
そんなんもぜんぶ、ふたの仕事のうちなんやろなぁ。

ほら、うちらの暮らしでもそうやろ?
見えんとこで、黙って“ふた”してくれとる人、おるんよ。
余計なこと言わず、出しゃばらず、
そっとそばにいて、温もり守ってくれる人な。

急須のふたを見て、そんな人のこと思い出した朝やったんよ。


🌸フォロー・スキのお願い
こうしてひとりでポツポツしゃべっとるけど、
読んでくれるあんたがいてくれて、うちはほんまに嬉しいんよ。

よかったら、「スキ」と「フォロー」、ぽちっとしてってな。
また会える日を、楽しみにしとるけんね。



いいなと思ったら応援しよう!

風369 🌿チップでの応援、ほんの少しでも嬉しいです。いただいたご支援は、新しい記事づくりの糧にします。