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高校野球怪談から考えるワンルーム投資と人生設計

高校野球怪談から考えるワンルーム投資と人生設計

夜のグラウンドに、誰もいないはずのバットの音が響く。

カーン……カーン……。

時計を見ると、午前2時。

当然、校門は閉まっている。部員も帰っている。それなのに、毎晩同じ時間になると、誰もいない打席からバットの音が聞こえるという。

高校野球には、そんな怪談がいくつもある。

「甲子園に行けなかった選手の無念が残っている」

そんなふうに語られることもあるけれど、本当に怖いのは幽霊ではないのかもしれない。

人生には、もっと静かに近づいてくる「怪談」がある。

たとえば、ワンルーム投資。

購入したときは何も問題がなかった。

毎月家賃も入っている。

ローンの返済もできている。

「これなら将来の資産形成も安心だ」

そう思っていた。

ところが、ある日届いた通知を見て、背筋が冷たくなる。

修繕積立金の値上げ。

家賃の下落。

そして、売却査定の金額。

「買ったときより、こんなに安くなっているの?」

不動産投資の怖さは、突然やってくるとは限らない。

気づかないうちに、少しずつ近づいてくる。

誰もいない部屋から聞こえる「家賃が下がる音」

不動産投資の怪談で、いちばん怖いのは「空室」かもしれない。

昨日まで入居者がいた。

毎月9万円の家賃が入っていた。

ところが退去。

次の入居者がなかなか決まらない。

1か月。

2か月。

3か月。

家賃収入はゼロなのに、ローン返済や管理費などの支払いは続いていく。

まるで、誰も住んでいない部屋から毎月お金だけが消えていくような感覚だ。

しかも怖いのは、空室だけではない。

「家賃を下げれば入居者が決まりますよ」

そう言われて家賃を1万円下げたとする。

月9万円だった家賃が8万円になれば、年間では12万円の差になる。

さらに物件価格2,500万円、家賃9万円なら単純な表面利回りは約4.3%。

家賃が8万円になれば年間96万円なので、単純計算の表面利回りは約3.8%まで下がる。

たった1万円の家賃差でも、長期間で考えると無視できない。

そして、これはまだ「見える怪談」だ。

本当に怖いのは、数字に表れにくい未来の変化だったりする。

「そのローン、本当に最後まで払えますか?」

不動産投資を始めた30歳の会社員。

年収500万円。

独身。

毎月の収入にも余裕がある。

営業担当から「将来の年金代わりになりますよ」と説明され、ワンルームマンションを購入した。

ここまでは、よくある話だ。

ところが35歳。

結婚した。

37歳。

子どもが生まれた。

40歳。

「そろそろマイホームが欲しい」と考えるようになった。

そこで住宅ローンの相談をする。

すると、金融機関から現在の借入状況について確認される。

「投資用マンションのローンがありますね」

その瞬間、少し空気が変わる。

もちろん、不動産投資ローンがあるから住宅ローンを必ず組めないという単純な話ではない。

ただし、既存の借入は審査や返済計画を考えるうえで無視できない要素になる。

つまり、30歳の自分にとっては「問題ないローン」だったものが、35歳、40歳の自分にとっても同じように問題ないとは限らない。

人生は、購入ボタンを押した瞬間から止まってくれるわけではない。

ここが、ワンルーム投資の怖いところだ。

午前2時の通知

ある投資家が、夜中にスマートフォンを見ていた。

午前2時。

不動産管理会社からメールが届いている。

「入居者退去のお知らせ」

寝ぼけながら画面を開く。

退去理由は、転勤。

仕方がない。

次の入居者が決まれば問題ない。

そう思って眠った。

ところが、数週間後。

「現在のお家賃では入居が決まりにくいため、募集条件を見直してはいかがでしょうか」

さらに数週間後。

「設備交換が必要です」

そして、数か月後。

「修繕積立金の改定についてのお知らせ」

ひとつひとつは、決して珍しい話ではない。

でも、それが重なったときに初めて気づく。

「こんなにお金が出ていく予定だったっけ?」

不動産投資は、買った瞬間がゴールではない。

むしろ、買った後から本当の物語が始まる。

だからこそ、物件価格だけを見て判断するのは危険だ。

購入価格、ローン返済額、家賃、管理費、修繕積立金、固定資産税、空室リスク、将来の売却価格。

これらを全部並べてみる。

すると、それまで見えていなかった「もうひとつの顔」が物件から浮かび上がってくる。

幽霊より怖い「人生設計のズレ」

高校野球の怪談では、最後に「だから夜のグラウンドには行ってはいけない」と語られる。

では、不動産投資ではどうだろう。

「だからワンルーム投資はやめたほうがいい」

……とは限らない。

むしろ大切なのは、怖い部分を知ったうえで、自分に合っているかを考えることだと思う。

たとえば、30歳で購入するなら、35歳、40歳、50歳になったときの生活まで想像してみる。

結婚するかもしれない。

子どもが生まれるかもしれない。

マイホームが欲しくなるかもしれない。

転職するかもしれない。

収入が下がるかもしれない。

逆に、収入が大きく増えるかもしれない。

未来は誰にも分からない。

だからこそ、「もしこうなったら、この投資はどうなる?」を先に考えておく。

それが人生設計としての不動産投資なのだと思う。

本当に怖いのは、夜中のグラウンドに誰かがいることではない。

10年前の自分が決めたことを、10年後の自分が背負うことになる。

「あのとき、もう少し調べておけばよかった」

そう思ったときには、時間を巻き戻すことはできない。

だから、ワンルーム投資を検討しているなら、購入するかどうかを決める前に、自分の人生と数字を一度並べてみてほしい。

月々の返済はいくらなのか。

空室になったらどうなるのか。

家賃が下がったらどうなるのか。

修繕積立金が上がったらどうなるのか。

そして、10年後の自分はその物件をどうしたいのか。

夜中に届く「退去のお知らせ」に怯える前に、昼間のうちに確認できることは意外と多い。

怖い話は、知らないから怖い。

不動産投資も、知らないまま始めるから怖い。

もし今、少しでも「自分の場合はどうなんだろう」と思ったなら、購入を決める前に一度、数字だけでも整理してみてください。

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