LIZARD(リザード) / SA・KA・NA(サ・カ・ナ)
戦後最悪の公害と言われる水俣病が今年で公式確認から70年だそうです。私が生まれる前に起きた公害の解決が未だにされていないという事実に驚きます。患者認定を受けておらず損害賠償などの戦いを強いられている多くの方が出口の見えない毎日を過ごされているという。
リザードが1980年に自主制作盤としてリリースされたSA・KA・NAは、想定したバンドサウンドとは全く違う、加工された素材に音響を過剰に乗せたサウンドで度肝を抜かれた。痛々しいまでに突き刺さるハイハット、不自然にひしゃげたギター、深海から確実に響かせるベース、細かい太陽の光を反射する海面のようなキーボードの上を感情を押し殺したかのようなヴォーカルが歌う。なぜかやさしく聞こえるその声。一枚の紙を折り畳んだジャケットの中には、チッソの工場を背景にひび割れた海の写真の上に水俣病に関連する写真とバンド楽器の写真がポラロイド風のフレームでデザインされて散りばめられており、右側に水俣病に関する書籍などの資料一覧などが記載されている。当時は、これだけ見ると水俣病に関する曲だと単純に思った。
しかし、歌詞をそのまま飲み込むのではなく、その言葉を聴いた人が夫々解釈することで様々な意味になる。地引雄一氏の解釈も作者本人のセルフライナーも直接的な意味も含めて、別のメタファーの余白も充分理解できるような、奥の深い歌詞だと改めて思う。
観てないので分からないが、東京ロッカーズの映画「ストリート•キングダム」でも流れたのだろうか。映画紹介記事で男女三人がこのレコードを持って和かに笑っている画像をみかけるが、絶対に笑えないと思うんだけど、どんなシーンなんだろう。もし劇中で流れたなら、聴いた人は何を感じて、何を持って帰ったのだろうか?
音源は様々な形で再発され続けているようなので、改めて水俣病に関して、はるか昔に小学校の社会科の授業から思い出して、そして考えるキッカケになるとよいと思う。他人事で済まさないように、私たちが出来る事は忘れない事。
