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「使えない上司」のほうが、部下は育つって本当か?

管理職になる前に知りたかった経営の話 #7




はじめに

気づいたら、人によって対応を変えていた

管理職になって、しばらく経った頃の話です。
ふと気づいたことがありました。
新人には細かく指示を出している。
ベテランには「あとはよろしく」と任せている。
悩んでいるメンバーには一緒に考える。
自信があるメンバーには、あまり口を出さない。
意識してやっていたわけじゃない。
気づいたら、そうなっていた。


それには名前がついていた

診断士の勉強をしていた時に、ある理論に出会いました。
SL理論(状況対応型リーダーシップ)
「部下の成熟度に応じて、リーダーシップのスタイルを変える」という考え方です。
4つのスタイルがあります。
S1 指示型 — 細かく指示を出す
S2 コーチ型 — 指示しながら、理由や背景も伝える
S3 支援型 — 意見を聞きながらサポートする
S4 委任型 — 基本的に任せる
読んだ瞬間、思いました。
あ、自分がやっていたのはこれか。
無意識にやっていたことに、ちゃんと名前がついていた。
こういう気づきが、経営学を学ぶ面白さだと思っています。


でも、委任型だけは違った

S1からS3は、わりと自然にできます。
相手を見て、対応を変える。経験を積めばある程度身につく。
でもS4の委任型だけは、意識しないとできない。
なぜか。
「使えない上司」に見えるからです。
任せるということは、口を出さないということ。
指示も出さない。アドバイスもしない。ただ見ている。
傍から見ると、「あの上司、何もしていないな」と映る。
それが怖くて、つい手を出してしまう。
私もそうでした。
黙って見ていられなくて、「こうしたほうがいいよ」と口を出す。
結果、部下は「指示待ち」になっていく。


使えない上司のほうが、部下は育つ

以前、「使えない上司のもとで部下は育つ」という趣旨の話を読んだことがあります。
最初は「そんなわけない」と思いました。
でも、経験学習理論という考え方を知って、腑に落ちました。
人は「自分でやってみる」ことで最も成長する。
教えてもらうことより、実際にやってみること。
失敗して、考えて、また試すこと。
そのサイクルが、本当の成長につながる。
逆に言うと、上司がすぐ答えを出してしまうと、そのサイクルが止まる。
部下が考える前に、上司が解決してしまう。
部下が失敗する前に、上司が手を打ってしまう。
これでは、部下は育たない。
「使えない上司」とは、意図的に手を引いた上司のことかもしれません。

図 成長のサイクル


ただ、手を引くだけではない。

それで終わると本当に使えない上司でおわる。
できる上司とできない上司の決定的な違いがある。
使えない上司を演じているできる上司は、実際にやっていることがある。
それは、

その業務に必要な人を集めて、リソースを渡す。
そして「後はよろしく」と任せる。
これが、責任と権限の移譲だと思っています。


委任型には、覚悟がいる

エンパワーメントという考え方があります。
権限と責任を部下に渡すことで、やる気と成長を引き出す、というものです。
でも現実には、これが難しい。
なぜなら、渡した責任の結果も、上司が背負うからです。
部下が失敗したら、その責任は上司にある。
だから怖くて任せられない。
でも、任せないと部下は育たない。
これが委任型の難しさだと思います。
SL理論は「部下の成熟度に合わせてスタイルを変えろ」と言います。
でも私はもう一歩踏み込んで、こう思っています。
部下をS4に向けて育てることが、マネージャーの本当の仕事なんじゃないか。
S1から始まって、少しずつ手を離していく。
そのゴールが委任型だとしたら、最終的に「使えない上司」になることがゴールになる。
なんか、おもしろいなと思っています。
経営学がこういう気づきになるときすごくおもしろいです。


「使えない上司」になる覚悟できていますか?


SL理論を知って気づいたのは、「スタイルを変える」ことより「委任型を目指す」ことの方が大事かもしれない、ということ。
使えない上司になることを、一緒に目指してみませんか。
その覚悟できていますか?


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