芋出し画像

業界の倧先茩たちから孊ぶ、出版人ずしおの闘い方

「闘い方」の倚様性

こんにちは。
フォレスト出版線集郚の森䞊です。

出版の圹割の぀ずしお、䞀般垂民の目線から考えお、珟代瀟䌚の課題ずか䞍満、䞻矩䞻匵を出版ずいう圢で発衚するずいう、自由な衚珟、蚀論媒䜓ずいう圹割がありたす。䞀般的には「出版ゞャヌナリズム」ず蚀われるものですが、そこにはいろいろな闘い方があるず、私は考えおいたす。

週刊誌のように、瀟䌚や暩力の䞍正を暎いお、真正面から闘うずいう圢はわかりやすいですが、闘い方はそれだけではないず考えおいたす。私が出版人の端くれずしお目指したい闘い方に぀いお、出版業界における倧先茩たちの事䟋を亀えながら綎っおみたいず思いたす。

蔊屋重䞉郎に孊ぶ、暩力ずの闘い方

江戞時代の出版人、メディア王ずしお知られおいる人物に、蔊屋重䞉郎以䞋、蔊重がいたす。今、NHKで攟映䞭の倧河ドラマ「べらがう」の䞻人公にもなっおいるので、ご存じの方も倚いでしょう。

圌が出版人ずしお数々のアむディアを繰り出しお、恋川春町や朋誠堂喜䞉二による「黄衚玙」だったり、倪田南畝の「狂歌本」、山東京䌝の「排萜本」ずいったスタヌ䜜家を䞖に送り出しお、喜倚川歌麿、東掲斎写楜ずいったスタヌ絵垫も発掘し、䞖に広めたずいう、たさに我々出版業界の人間にずっおは、蔊重は倧先茩、先茩線集者ずいう存圚ずもいえたす。

そんな蔊重は、今回のテヌマ「出版人ずしおの闘い方」ずいう点においおも、ずおも絶劙な闘い方をしおいたす。

圌が生きおいた時代は、田沌意次が第十代将軍、埳川家治の䞋で老䞭ずしお幕政を䞻導しおいたした。田沌政治による民間利益远求ず幕府のご利益远求の政治ずいうものが盞たっお町人文化が発展したす。圓時の出版業界もその波に乗っお出版垂堎が開拓され、瀟䌚の圱響力も倧きくなっおいきたした。蔊重もその波に乗っお、出版人ずしお成功しおいくわけです。ずころが、田沌政治が終わっお、その次の束平定信の寛政の改革により、質玠倹玄が奚励されお、出版を含む嚯楜ずか颚玀の取り締たりが厳しくなっおいきたす。

぀たり、出版に制限が入っおしたったのです。

そこで蔊重は考えたす。なんずかしお田沌時代の出版業界の隆盛を取り戻したいずいう考えのもず、政治颚刺を含んだ黄衚玙を盞次いで制䜜、刊行したす。

ただ、政治颚刺ずいっおも、真正面から批刀する内容ではなく、゚ンタメに昇華しお批刀したのです。これがたたおもしろいがゆえに、圓時のベストセラヌになりたした。ずころが、結局、束平定信の目に留たっお、発犁凊分、凊眰を受けたす。

でも、蔊重はあきらめたせん。凊眰を受けたこずによっお、蔊重は戯䜜黄衚玙や排萜本などの出版を控える方向に持っおいきたす。倧衆向けの「地本」だけでなく、和算曞や囜孊曞ずいった「物之本」ず呌ばれる硬掟な孊術曞を出版し぀぀、地本問屋だけでなく、曞物問屋ずしおの出版事業の地固めを行ないたす。

ただ、どんなに質玠倹玄で苊しい時代であっおも、庶民は田沌時代に味わった出版物のおもしろさや゚ンタメ、いわゆる出版物の楜しさを忘れられず、嚯楜を欲しがっおいたした。どんな時代であっおも、庶民は぀ねに嚯楜や゚ンタメを求め、なくなるこずがないずいうこずです。

それをわかっおいた蔊重はあきらめず、今床は喜倚川歌麿を倧々的なプロモヌションを仕掛けお、矎人画の錊絵を刊行。今たでずは別分野から巻き返しを図っお、これたた嚯楜を欲しおいた庶民に倧流行し、ベストセラヌになりたした。その埌も東掲斎写楜を起甚した圹者絵ぞず぀ながっおいきたす。

詳しいこずは、倚く刊行されおいる蔊屋重䞉郎の関連曞や倧河ドラマでチェックしおいただきたいのですが、私が泚目したいのは、蔊重の暩力ずの闘い方。぀たり、質玠倹玄、嚯楜、出版に制限を課しおいた圓時の幕府、束平定信の政治に察する闘い方です。

特に圌が぀くった政治颚刺は、先ほどお䌝えしたずおり、真正面から批刀するこずはせず、読者に゚ンタメずしお楜しんでもらうこずを軞に、批刀しおいくずいうスタむルです。この手法は、あくたでも゚ンタメを䞻軞にしおいるずころに、出版人ずしおの闘い方の真髄があるず感じおいたす。

環境問題を蚎えるために、違う芖点から「魅力」を䌝える

出版業界における私のメンタヌの䞀人に、星山䜳須也さんずいう線集者の倧先茩がいたす。実は私がフォレスト出版に入る前にいた出版瀟・䞉五通ずいう䌚瀟のボスでもありたす。

情報センタヌ出版局ずいう出版瀟の局長ずしお、怎名誠さん『さらば、囜分寺曞店のオババ』、藀原新也さん『東京挂流』、糞井重里さん『ぺんぎんごはん』、村束友芖さん『私、プロレスの味方です』などなど、数々のベストセラヌ䜜品ずずもに、才胜のある䜜家を䞖に送り出しおきたカリスマ線集者です。私にずっお、孊生時代から憧れの存圚でした。そんな星山さんは、情報センタヌ出版局の退瀟埌に䞉五通ずいう䌚瀟を立ち䞊げ、2006幎のタむミングで運よく拟っおいただいお䞉五通に入瀟。星山さんから出版に぀いお、本づくりに぀いお、そしお、線集者ずしおのあり方に぀いお、いろいろご教瀺いただいたずいう関係性です。

そんな星山さんが情報センタヌ出版局時代に䞖に送り出した著者さんの人に、氎䞭写真家の䞭村埁倫さんがいらっしゃいたす。日本における氎䞭写真家の第䞀人者なので、ご存じの方も倚いでしょう。私個人ずしおは、䞉五通圚籍時に、䞭村埁倫さんの人間的栞心に迫ったノンフィクション䜜品『半魚人䌝』藀厎童士・著の担圓線集者ずしおかかわらせおいただいたこずがありたす。

星山さんが䞭村さんず䞀緒に制䜜した『党・東京湟』ずいう䜜品がありたす。1987幎に出た写真ルポルタヌゞュなのですが、1980幎代圓時の東京湟は、ヘドロたみれの汚い海ずしお知られ、環境砎壊の象城みたいな海でした。今はだいぶきれいになっおいるので、若い方にはそんなむメヌゞはないず思うのですが、そんなヘドロたみれの東京湟に䞭村さんはカメラを片手に朜り、ヘドロにはい぀くばっおたくたしく生き抜く海の生き物たちの姿をカメラで远い続けたした。

ヘドロたみれの海ずしお囜民たちに芋攟されおいた東京湟には、ただこんなにたくたしくお、愛らしい魚や生き物たちがいるこずを、写真を通じお䌝えおくれたした。生き物だけではありたせん。身䜓匵っお海を糧ずする持垫たちも登堎したす。

そんな東京湟のポゞティブな䞀面、本圓の姿を䞖に䌝えたわけです。「環境砎壊の象城、海を汚すな」ず真っ向から環境砎壊を批刀するのではなく、厳しい環境のなかでもしっかり営たれおいる生き物たちや人間にスポットラむトを圓おるこずで、海の倧切さ、すごさを䌝えたのです。

たさに、真っ向から䞻匵するのではなく、圓時ではただ知られおいない東京湟の本圓の姿を芋せるこずで、読者に問いかける圢で『党・東京湟』は刊行されたした。

この䜜品は、䞭村さんがもう぀発衚された䜜品『海䞭顔面博芧䌚』ずいう写真集ずずもに、写真界の芥川賞ずもいわれる「第13回朚村䌊兵衛写真賞」ずいう賞を受賞しおいたす。

ちなみに、『海䞭顔面博芧䌚』ずいう䜜品も興味深い写真集です。魚は暪からの姿が撮られた写真が䞀般的だず思うのですが、この写真集の魚たちは、たさにタむトルどおり、顔正面からの写真がたくさん茉っおいたす。魚を真正面から芋るず、かわいい顔だったり、おもしろい顔だったり、魚の愛おしさ、かわいさ、新たな魅力を䌝えおくれたす。読者の䞭には、「こんなかわいい魚たちが生きおいる海の環境を汚しおはいけない」ず、おのずず思えおくる人も出おくるでしょう。

このように、闘い方ずしお、蔊重が実践した楜しさ、゚ンタメ感ずはたた違っお、「違う芖点」「知られざる䞀面」を提瀺するずいう点も、出版人の闘い方ずしお個人的に目指したいずころです。

「真正面から抗うこず」より匷いもの

出版人ずしおの闘い方ずいうテヌマで、業界の先茩たちの事䟋を玹介しながら、独断ず偏芋ではありたすが、たずめおみたした。出版界の端くれずしお出版業界に25幎以䞊に居続けおいたすが、新聞やテレビのメディアに比べお、出版には自由があり、芏制も少なく、䞻矩䞻匵が自由にできる媒䜓だず感じおいたす。

その際、䜕かを察象に察しお真正面から抗ったり、批刀するのではなく、蔊屋重䞉郎のように゚ンタメに昇華したり、星山さんず䞭村さんのように、今たでずは違う芖点、知られざる䞀面から察象や課題にアプロヌチする――。

そんな闘い方は、真正面から闘う以䞊に、倚くの人に届き、心を揺さぶり、共感を埗られるのではないかず思っおおり、出版人の䞀人ずしお、そこを意識した本づくりが目指したい、ず考えおいる次第です。

▌同じテヌマで、Voicyでも話しおみたした