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田んぼとカエルとホタル

2000年代の初め、住んでいた地域の田畑が次々と宅地に変わっていった。

それでも我が家の周りの水田は残っていたので、いろんな生き物に触れることができた。


田植えの時期になると、豆粒ほどの小さなアマガエルが大発生する。
そして、おびただしい数のカエルが、我が家の庭にまで侵入した。

息子達は豆粒ガエルを捕まえるのに夢中になり、捕まえた大量のカエルをジャムのビンに詰めている。
なんとも残酷な光景だ。

そして、

「じゃぁ、いくよー」

と、カエルを詰めたビンの蓋を開けた。

するとビンからウジャウジャと、無数のちっこいカエルが飛び出して来る。
もつれ絡まりながら出て来る様は、まるでホラーだった。


しばらくすると、ホタルの季節になる。
日曜日の夕方、子ども達と『ちびまるこちゃん』を観ながら夕飯を済ませた後、外に出た。

家の裏側に回ると、隣の家の換気扇から石鹸の匂いの湯気が流れ、賑やかな子どもの声が聞こえてくる。
隣の兄弟が、入浴中のようだ。

7時を過ぎてもまだ明るかったが、水田の脇の用水路にホタルがちらほら飛び始める。

そのうちに日も暮れて、ホタルの数がどんどん増えてくる。


「うわぁ、すご〜い!

「いっぱい、いるねぇ〜!」


その年は、例年よりもホタルが多かった。

我々の声を聞きつけたのか、隣の家の兄弟が髪が濡れたままパジャマ姿で、家から飛び出して来る。

「わぁ、ホタルだ〜」


本物のホタルの美しさには、どんなゴージャスなイルミネーションも敵わない。

そのうち、ご近所さんが20 人ほど集まり、その圧倒的な美しさに興奮した。


眩いばかりの無数のホタル。
その恋のダンスに、大人も子供も息を飲み酔いしれる。

けれども子供たちが追いかけて捕まえようとすると、ホタルは葉っぱの陰に隠れて光らなくなる。

1時間もしないうちに、殆どのホタルは眠りについてしまった。


「さあ、ホタルも寝たから帰って寝ようか」


急遽始まったホタル鑑賞会は、お開きになった。



風もさほどない気持ちのいい夜、用水路を流れる水の音とカエルの鳴き声が聞こえる。

あの夜観たホタルの光、聞こえてくるカエルの歌と水の音。

その全ての風景が、忘れられない宝物になっている。


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