筆記具収集について
僕が初めて「筆記具」という存在に興味を抱いたのは、6年前のことです。
当時はまだシャーペンの存在すら知らず自分が使う筆記具に何の拘りもありませんでした。

6年前の夏休み、新しいノートを買いに近所の文房具屋に訪れた日でした。
ショーケースに飾られた数々のペン。その中の一本に、一目惚れしてしまいました。
手に入れたい一心で、当時の全財産だった3,000円を握りしめ、親に内緒で衝動的に購入しました。
今思えば僕の筆記具収集という趣味はすべてこの一本のペンから始まったんだな〜と不思議な気持ちになります。

五十音ミミック 第1世代 / 信頼文具舗
MARS-PAN-TECHNICO 787 / STAEDTLER
CAPLESS 多面体 FC-18SR-BM / PILOT
字が汚いのは見逃してください🙏
拘り抜いたペンを使うことによって実感できる「書くこと」の楽しさ。
それは僕が筆記具を集める理由の1つでもあり、使うためだけでなく、日々至高の一本との出会いを追い求め、集める、ということ自体に単なる物欲を満たす以上の深い意味があると僕は思っています。
そこには使うことで美しい装飾や計算されたフォルム、素材感を愛でる愉しみがあり、そして集めることによって感じられる達成感、愛着など様々な魅力があります。

特に、筆記具の素材、銀、金張り、真鍮、樹脂、木材など様々な選択肢から自分好みのモノを選ぶことで書く時間はより特別なものに変わります。
中でも銀製のペン(スターリングシルバーなど)は重厚感や、華やかですが落ち着きのある光沢と味わい深い経年変化が別格で、輝きの上品さ、美しさという点で比肩するものがありません。

ECRIDOR Grain d'Orge 1.18mm silver800 / Caran d'Ache
ECRIDOR short model 1.18mm柄名不明 silver800 / Caran d'Ache
ECRIDOR Ammonite silver925 / Caran d'Ache
Pix-O-mat 4coler silver935 / MONTBLANC
スイスの筆記具ブランドであるカランダッシュの傑作であるECRIDOR。1953年に誕生した、六角形の真鍮ボディに繊細な彫刻(ギロシェ)が施されたシリーズで上の物は1950〜70年代のsv800が使われたモデルです。

no.52 4coler silver935 / MONTBLANC
友人の物ですPix-O-matの前身となるモデルですね。
やっぱりかっこいいです…
Pix-O-mat 4coler silver935 / MONTBLANC

s20 1.3mm改造品 / PILOT
Pix-O-mat 4coler silver935 / MONTBLANC
銀製のペンは革製品や、木軸ペン、エボナイト製ペンなどのペンとの相性が最高です。
また、銀は古くから魔除けや浄化の力があるとされ、ハレの日の贈り物や装飾品としても世界中で深く定着しています。

拘れば拘るほど、書くことで感じる「楽しさ」と共に内面的で満足感のある「愉しさ」を心で感じることができます。
また、シャープペンシル、万年筆、ボールペン、その中でも美しい限定色や、希少価値の高い廃番品、ご当地ペンなどのように、筆記具は種類が非常に幅広いため、人によって独自のテーマを持って集められる、というのも一つの魅力かもしれません。

エヴァンゲリオンとコラボした2016年の限定色です


僕は数年前収集方針を変え、現在までビンテージ、いわゆる廃番と言われる筆記具、その他文具を中心に収集しています。



ビンテージの筆記具には現行品にはない唯一無二のクラシックなデザインと独特な味わい、手に馴染む素材の経年変化など数え切れないほどの魅力があり、
時代を超えて受け継がれたクラフトマンシップと製造された時代の背景や職人たちの技術が詰まっています。

上からTikky Special 1.3mm改造、
Rapidograph 旧型、altro、rotring1305
魅力も多いですが勿論欠点があるのも事実です。
(プレミアがついてしまい入手しづらい、機構が複雑で故障が起きやすい、操作感を楽しめるが手順が多く実用には向かない、古いため軸が割れやすい など)

ノック部分のカム機構が摩耗しやすく一本壊してしまったことがあります。
PIX-O-MAT no.101 / MONTBLANC
1960〜80と年代物で機構がとても複雑なので壊れやすいです。
しかし、その欠点を差し引いても変わらない魅力があり、愛着が湧けば欠点すら一つの個性であるのかもしれません。

リトラクタブル機構というノックすることでペン先が2段階にせり出す特殊なギミックを搭載しています。
大半の筆記具は時代とともに改良されて現在では古き良きデザインや、現代では見られない珍しい機構などが失われつつあり、良い意味でも悪い意味でも変化し続けています。
しかし、20世紀から姿形を変えずにそのままの姿で現在も愛されているペンもあります。

ドイツの筆記具ブランドであるLAMYのLAMY2000は「西暦2000年になっても色褪せないデザイン」というコンセプトで有名ですよね。
また、ぺんてるのGRAPH1000も1986年の発売以来ずっと同じ姿で製図用シャープペンシルの最高峰の一つとしてプロや愛好家から絶大な支持を集めています。
形あるものは必ずいつか変わります。ですが、先代からの拘りや筆記具にかける情熱は確かに現代へと受け継がれています。
昔の筆記具に興味があるという方はまずこれらのペンから触ってみるのも良い選択かもしれません。

僕は筆記具だけでなく、その周辺の小物や芯研器などもゆるく集めています。
話し出すとキリがないですが…
筆記具をより使いやすくするための単なる引き立て役。
そうではなく、僕の筆記具人生をもっと彩りよくしてくれる素晴らしいモノ、そんな風に考えています。


筆記具小物は文字を消す、芯を削る、紙を切る、などの手先で行う行為を充実したものにしてくれ、
ペンケースに収まるコンパクトな鋏や、削りカスが散らばらない携帯用の芯研器など、あるだけで作業が効率的かつ心地良い時間となります。

いつか小物についての記事を書いてみるのもいいかもしれません。

長々と綴ってしまいましたが、
結局は、
洗練された筆記具を見て「カッコいい」と思う気持ち

これが僕の趣味である筆記具収集の源になっていると思います。

至高の一本を探し求める、勉強のモチベーションを上げる、実用品として筆記具を楽しむ、原動力は人それぞれですが、正解なんてありません。
なので、
生産性なんてものは気にせず、純粋に自分の好きなモノを全力で楽しむ。
趣味だからこそ、このくらいの心持ちがちょうどよく楽しめる。僕はそう思います。

