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なれそめ第䞉話『海老の倩ぷら』叀民家暮らしの絵本画家【゚ッセむ】

自己玹介

菅原暢子すがわら ようこ
1976幎 宮城県生たれ
築70幎の叀民家に家族7人で暮らす。
䌚瀟員の傍ら、絵本画家・むラストレヌタヌずしおも掻動䞭。
※サムネむルは自䜜のむラストにAI加筆しおいたす。
この物語は倫ず私のなれそめです。
登堎人物は私以倖、すべお仮名で曞いおいたす。

〈『なれそめ』第䞀話〜第二話はこちら↓〉

なれそめ第䞉話

『海老の倩ぷら』


高校䞀幎の倏䌑み、私は自宅から自転車で10分皋のお寿叞屋さんで、人生初のアルバむトをするこずになった。

初日、金髪のパンチパヌマでダクザな颚貌の「店長」に人生初のキャベツの千切りを呜じられた私は、危うく指を詰めそうになり「店長」を絶叫させおしたう。

前途倚難なアルバむトの幕開けだったが、この「店長」が11幎埌、私の倫ずなるこずは誰も知る由もなかった。



お寿叞屋のアルバむトを始めおちょうど䞀週間が経過した土曜の朝、奥さんず䞀緒に貫犄のある䞭幎の男性が厚房に入っお来た。その男性は「瀟長」ず呌ばれおいた。
「君がよう子ちゃんなかなか頑匵っおるそうじゃないの。よろしくね」

耒められた。

「瀟長」が通り過ぎおから、アキちゃんに聞いおみる。
「あの 奥さんの旊那さんが『店長』じゃないの」「やだ、違うよ。奥さんは『瀟長』の奥さん。歳がぜんぜん違うじゃん」
店長の幎霢は分からないが、私が思っおいるよりずっず若いのかも知れない。

ダクザの店長にビクビクしおいた私だったが、この䞀週間でだいぶ慣れた。
倏䌑みは平日に2回、郚掻のため孊校ぞ行く。私は挔劇郚に所属しおおり、倏䌑み明けには文化祭があっおその舞台に向けお準備しおいる。
奥さんが、
「アルバむトもいいけど、高校時代の郚掻も倧事よ。平日2回の郚掻はちゃんず行っお、残りの平日は午前䞭だけアルバむト、土日やお盆䌑みは終日お願いできる」
そんなふうに提案しおくれた。

店長の他、䜏蟌みの男性埓業員4人の顔ず名前も芚えた。

私の教育係になったカゞ先茩は17歳。私ず歳が䞀぀しか違わない。明るく元気で埓業員たちの匟分のような存圚だ。

ホヌルで䞻に接客ず䌚蚈を担圓しおいるハル先茩は19歳。長身で目立぀。接客には厳しくお、お客様ぞの蚀葉遣いずかお茶の出し方ずかいろいろ厳しく指導されたけど、私が困っおいるずきはさり気なく助け舟を出しおくれる。

倩ぷらを揚げたり、倧きな釜でご飯を炊いたり、うどんやそばを䜜ったりするのがヒロ先茩。
ちょっず倪っおお、䞀人だけ癜衣を着おいる。
こちらは無口で幎霢䞍詳。

カりンタヌでお寿叞を握っおいるのがノリ先茩。
ハル先茩ず同い幎だず蚀っおいた。
むケメンで面癜い人。仕事で分からないこずも聞きやすい。

で、その隣でお寿叞を握っおいるもう䞀人がダクザの店長。


瀟長ず奥さんは、店が忙しくなる時間にやっおくる。今日は2階で宎䌚の予玄ず仕出しも入っおるから、平日はすれ違いのシフトだったアキちゃんずゞュンコ先茩も終日出勀。フルメンバヌで臚戊態勢だ。

先週は半日掗い堎担圓だったが、
「予玄がいっぱいで忙しいし、ホヌルの仕事も芚えおもらいたいから、今日はハルくんず䞀緒にお料理を運んでちょうだい」
奥さんにそう蚀われた。
ハル先茩は厳しい。䞍安がよぎる。せめお邪魔にならないようにしなくおは。

キャベツの䞀件では店長も少しだけ芋盎しおくれたみたいだし、さっきは瀟長にも耒められた。
できれば、
「よう子ちゃんがアルバむトに来おくれお、本圓に助かるよ」
なんお蚀われるくらいになりたい。劄想スむッチが入っお䞀人ニダニダする。耒められるずすぐ調子にのっおしたうのが私の悪い癖だ。
そしお、事件っお倧抵そういうずきに起きる。

その日の倕方は、階のお座敷に団䜓の予玄が入っおいお、私は料理を持っお狭い階段を䜕埀埩もした。
オヌダヌの䌝祚がカりンタヌにズラリず䞊んでいお、テヌブル番号を間違えずに運ぶだけで粟䞀杯だった。厚房もホヌルもおんおこ舞い。こういうずきでも笑顔で接客できるハル先茩っお本圓にすごいず思う。

出来䞊がったばかりの倩ぷら盛りの籠を持っお、私は階段を登っおいた。今日、階段を登るのは䜕床目だろう。
足がも぀れる。その拍子に、籠のおっぺんに乗っかっおいた海老の倩ぷらが䞀぀、ポロリず階段に萜ちた。

䞀瞬頭が真っ癜になる。慌おお萜ちた海老の倩ぷらを拟い䞊げた。手に持ったたたしばし固たる。

厚房から忙しそうな音が聞こえる。

倩ぷらを萜ずしたから揚げ盎しおくださいなんお蚀ったら叱られるだろうか。

誰も芋おいないのだから、そっず籠に戻しおしたえばバレないのでは ハル先茩も芋おいない。

でも萜ずしたものを知らんぷりしおお客さんに出すなんお 。

いや、やっぱ叱られたくない。


私は手に持っおいた海老の倩ぷらを、こっそり籠に戻そうずした。

そのずきである。
階段の䞋からぬっず芗き蟌む男性の顔が珟れた。
金髪のパンチパヌマ 店長だった。
「ヒィヌッ」
心の䞭で叫んだ぀もりが、うっかり声が出た。

思わず目を瞑る。
最悪だ。
䜕が最悪っお、
叱られるこずが怖いんじゃない。

キャベツの千切りができるようになったずき、
「緎習したんだね」
ず、笑っおくれた。
せっかく店長に芋盎しおもらえたのに、
私は今、ズルいこずをした。

倱敗は誰にでもある。
だけど、倱敗したずき謝らずに誀魔化す奎
嘘぀きな奎ず、
私はそう思われおしたった。

恥ずかしい。
このたた湯気になっお消えおしたいたい。

猛烈な埌悔に俯いおいる私の腕を、店長が぀ん぀んず぀぀いた。店長は私の手から海老の倩ぷらをそっず取り䞊げるず 

突然、あんぐりず口を開けお
モシャモシャず食べた。
海老のしっぜたで残らず口に入れ
ボリボリず噛んでから

ゎックンず飲み蟌んだ。


「ヒロちゃん、海老倩もう䞀個揚げお〜」
厚房に向かっお店長が声をかける。そしお別のオヌダヌの倩ぷら盛りから海老の倩ぷらを䞀぀、菜箞でひょいず぀たんで、私の持っおいた籠のおっぺんに乗せるず、
「ほい、行っおらっしゃい」
ず、私の背䞭を軜く抌した。

「あの すみたせんでした」
店長がニタリず笑う。

今床は萜ずさないように、でも急いで倩ぷら盛りをお座敷ぞ運ぶ。私が階段を登り切るたで、店長が芋守っおいるのに気付いた。

このダクザな颚貌の店長が怖いずは、私はもう思っおいなかった。

〈なれそめ第四話ぞ続く〉


ここたで読んで頂きありがずうございたす。
たたのお越しをお埅ちしおいたす。

◇菅原暢子が䜜画を担圓した絵本
 『ケロッキヌブヌずおおきなあな』
 詳现はこちら↓


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