「く」の6周目 2027/09/07
「く」という事で「空気」の話題を。
空気とは、私たちが呼吸している地球を取り巻く気体のことです。
目には見えませんが、生命を支え、燃焼や産業にも深く関わっています。
その中身は一種類ではありません。
窒素や酸素、アルゴンなど、異なる気体が混ざり合っています。
一方で「空気を読む」と言えば、周囲の雰囲気や人の気持ちを察し、その場に合わせることを意味します。
今回は、この二つの意味での「空気」を象徴する二人を紹介します。
一人目は、ドイツの技術者カール・フォン・リンデです。
リンデは冷凍技術を研究し、1895年には空気を液化する方法を開発しました。
そして1902年、液体空気から酸素を取り出す工業的な空気分離を実現。
さらに1910年には、酸素と窒素を同時に取り出せる二重精留塔の基礎を築きました。
私たちが「ただの空気」と呼ぶものの中に、産業に役立つ重要な物質が隠れていると考えたのです。
もう一人は、イギリスの天文学者ジョスリン・ベル・バーネルです。
1967年。ケンブリッジ大学の大学院生だった彼女は、クエーサーを調べるための電波望遠鏡の記録を分析していました。
その膨大な記録の中に、奇妙なほど規則正しい電波信号を発見します。
当初は人工的なノイズの可能性も考えられ、周囲の意見に流されて見過ごしそうなものでしたが、彼女は異常を疑い調べ続け、後に中性子星が発する「パルサー」の発見へと繋がったのです。
1974年のノーベル物理学賞は指導教員アントニー・ヒューイッシュらに贈られ、彼女自身は受賞者に含まれませんでした。
しかし2018年、パルサー発見への貢献と科学界での活動を評価され、特別ブレークスルー賞を受賞しています。
二人に共通するのは、「当たり前」をそのまま受け取らなかったことです。
二人とも最初から大発見を目指していたわけではありません。
リンデは冷凍技術の研究から空気の成分へ進み、ベル・バーネルは望遠鏡の記録を丁寧に追う中で、周囲の目を気にせず異常を見つけました。
私たちも、人間関係では空気を読むことで助かることがあります。
しかし、誰もが気にしない小さな違和感に気づき、あえて立ち止まることが、未来の大きな発見につながる場合もあります。
突然やってくるチャンスだけを求めるでのはなく、たまたま目にした・体験したものを「何か変だ」と感じ、周囲の空気に流されず見過ごさないこともまた、運をつかむ一つの形なのです。
