山行日記「表銀座縦走~すれ違う人たち~」Epi1 うそつき、まだあるじゃないか
蝶ヶ岳から眺めた夕日に染まる槍ヶ岳を見て、いつか登ってみたいと思っていた。
そしてどうせなら多くの登山者の憧れである表銀座を縦走して、その締めくくりとしてチャレンジしたい。
これが達成できたら、登山者として1ランクアップだと勝手に自分を認定してあげよう。
幸いにも、今年は就業20年の節目でリフレッシュ休暇が使える。それを使い切ってでもおつりがくる山旅を計画した。
東京の竹橋駅を23時に出発する夜行バスを予約した。登山口である中房温泉には5時に到着する予定だ。
この登山バスは登山口まで直接連れて行ってくれるのでとても便利だが、自分はしっかり眠れたことが無い。
今回もそういうものだと割り切り、バスに乗った。
そして、予定通り朝5時に到着した。
準備をしながら朝食のおにぎりを食べる。
これから北アルプス三大急登のひとつ合戦尾根を登る。
しっかりと寝不足だが、気にしないことにする。
実は2年前に、同じルートで燕岳には登っている。
合戦尾根も特に辛かった記憶はないが、今回は確実に足に疲労を感じた。
2年分歳を取ったからなのか、暑さのためなのか、普段のトレーニングをさぼったからなのかは不明だが、燕山荘に着いた時には特に前腿が重かった。
今回は大天井ヒュッテまでと先が長いため、燕岳は登らずに眺めるだけにした。
早朝の晴れた天気の中、燕山荘から見た燕岳は女王の貫禄で色白の美しい山だった。
森林限界を超えている尾根道を進む。
ハイマツが絨毯のように生い茂っている。ライチョウに会いたかったが、幸か不幸か早朝から晴れているため、見かけることは無かった。
いよいよ、大天荘までもう少しというところに差し掛かった。
ここから長い登りが続く。
残り400mとの表示を過ぎた。
ゆっくりと一歩また一歩進んでいると、軽快にヒョイヒョイ歩いてきたお兄さんに抜かれる。
「足が重くてつらいです」と泣きごとを言うと、「あと少しですよ。100mぐらいです。頑張りましょう」と励ましてくれる。
もう少しだと、ゆっくり進んでいくと残り200mとの表示があった。
「うそつき!まだあるじゃないか!」と心の中で八つ当たりしながらもやっとのことで、大天荘に到着した。
ここでしばし休憩だ。補給食を食べ体力の回復を待った。
しばらく様子を伺うと、ここにザックをデポして大天井岳に向かう人が多い。
なるほど、少しでも身軽になってピークに向かいたい気持ちはよく分かる。
大天井岳山頂をスルーするか正直迷ったが、今行っておかなければ次いつ来れるのか、果たして次があるのかと考え、行っとくしかないなと思い至り、荷物を置いて山頂に向かった。
ウジウジ悩む必要などなく、意外とすんなりピークに到着。
周囲はガスっており眺望はよくなかったが、一つピークハントできて満足だ。
ここから、今日の宿泊場所である大天井ヒュッテまでは約30分の道のりとなる。
疲労感はあるが、時間はまだ午前中だ。昼頃には到着できるだろう。
そして、冷たいビールを飲んでお昼ご飯を食べよう。
で昼寝しようと決めた。
