見出し画像

理屈じゃなくて、ピンと来た? ― 松岡清次郎さんが『呼ばれた』モノたち (Myフォトコレクション@博物館・美術館その8)

「こんなにいい美術館があったなんて!」
2019年の春、「まもなくリニューアルスタート!」とはつゆ知らず、松岡美術館(港区白金台)を初めて訪れた私。
「もっと早く来れば良かった~。でもリニューアルしたら、絶対すぐ来る~!」

…そう思ったはずなのに、再訪したのはやっと先日のこと。
しかもリニューアルオープンは2022年1月。
「え、3年……?ってかもうすぐ4年?…?…?😅」
時の流れが、私の周りではときどきゆがむんです‥‥(違)😊


“好きなもん集めました”系

先日訪れた静嘉堂@丸の内 ↓ に続き、

今回の松岡美術館も、いわゆる「創設者が好きなもん集めました」系の美術館。
この美術館のスタイル、やっぱり面白いです~。

私は東京国立博物館(トーハク)が好きすぎる(笑)せいか、展示を「歴史の大きな連続性」の中で捉えようとしがち…という自覚があります。
でもそのためか、トーハクにはない、個人の「好き💕」がそのまま形になった美術館に出会うと、集めた人のワクワク感がダイレクトに伝わってきて、本当に楽しいんです。

80歳まで集め続けた人、松岡清次郎さん

創立者の松岡清次郎さんは、80歳まで、情熱のままに蒐集を続けた人でした。
1975年、港区新橋に美術館を開館。その後、美術館メインの新ビル建設を計画しますが、完成を見ることなく他界。
しかし遺族がその想いを継ぎ、2000年、現在の港区白金台に新たな美術館が完成しました。
館内に展示されている作品は、清次郎さんの「私立美術館というものは、創立者個人の美に対する審美眼や鑑識眼を訴えるべき場所である」という、はっきりしたポリシーに沿って、すべて清次郎さんが一代で集めたものです。

清次郎さんが「呼ばれ」たモノたち

さて、今回の展覧会のタイトルは
わたしを呼ぶART 古代エジプトの棺からシャガールまで
  ──あ、呼ばれた気がする──松岡清次郎を呼んだアートに』。

正直、このタイトルを最初に見たときは「???🙄」でした。
でも作品を見ているうちに、これは説明する言葉じゃなくて、見終わったあとに残る「感じ」をそのまま表しているのかもしれない…と思うように。

会場に並んでいたのは、清次郎さんがその美しさに「呼ばれて」手元に置いた名品たち。
古代エジプトの棺から現代のシャガールまで、ジャンルも時代もバラバラなのに、不思議と一本、筋が通った「松岡コレクション」としてつながって目の前に並びます。

見て回るうちに、清次郎さんは理屈や分類よりも
ピンとくるかどうか
という直感を何より大事にしていたんだろうな…と感じました。

この展示は、見る側も直感で楽しんでいい 。
「これは好き」「これはあんまり刺さってこない」と、私自身もいつもより正直に作品と向き合えた気がします。

そして清次郎さん。
集めることそのものが、きっと本当に楽しかったんでしょうね。
お金💰のことはさておき、それでもこれだけ自由に、好きなモノを集められたのは、ちょっと羨ましいです。

ここから写真を少し

さてここからは写真をいくつかご紹介。

[展示室1] 古代オリエント美術 

さりげなく展示されてますが、実はここに並んでいるのはすべて「紀元前」のモノ😮!
ちなみに、いちばん左は「馬頭部 ヘレニズム期 前3世紀頃 東部トルコより出土」です。
よくぞ、ここまで時間も距離も飛び越えて、お越しくださいました…

[展示室3] 古代東洋彫刻

中国仏教彫刻、ガンダーラ彫刻、インド彫刻、クメール彫刻…
なんだかとにかく
部屋の空気が濃厚で、濃密!😁
思わず接写📷。
なんというかこの何とも言えない肉厚ぶり。
トーハク本館ではあまり見ないタイプだけに、すごく新鮮。

[展示室4] 

紀元前のものなのに、妙にシュっとしてスッとしている。
どこか現代的で、ちょっとびっくり。

①バステト女神 
時代:紀元前945~紀元前332頃
地域:エジプト
サイズ:高さ24.9 幅10.2cm
素材:ブロンズ

猫と深い関係がある古代エジプトで信仰された女神の像。
紀元…😯。当時の人も、この女神を見て何かを感じていたのかしら…と思うと、時間の厚みに気が遠くなります。

「日曜日のお父さん」

②横たわるシーレーノス 
時代:紀元前6世紀後半頃
地域:エトルリア
サイズ:高さ3.8 長さ7.9cm
素材:ブロンズ

古代ギリシャ神話に出てくる
年配でお酒が大好き、ふだんは酔っぱらっているけど、
本当は世界の真理を知る賢者超インテリ、シーレーノス。
でも私にはどうしても、日曜午後のくつろぐお父さんにしか見えませんでした(笑)。

「なぜそこに顔・・・?」

③色絵人物図飾深鉢
時代:19世紀後半
地域:イタリア ナポリ
サイズ:高さ40.3 幅49.4cm
素材:マジョルカ陶器

「顔」が付いてる陶器って、美術館や博物館でよく見かけますよね。
でも毎回「なぜそこに顔・・・?」って思ってしまう(笑)。

ちょっと調べてみたところ、「顔」に決まった意味があるわけではなく、時代や場所、用途によって解釈はさまざまらしいです。
ただルネサンス期以降はユーモラス/寓意的な装飾として流行したそうなので、この「人」はこの系統かな😆。

お、重いです…

④青磁崑崙奴燭台(せいじ こんろんど しょくだい)
時代:6世紀末
地域:越州窯(中国・浙江省あたり)
サイズ:高さ23.5 口径4.8cm
越州窯の燭台。支え部分にいるのは崑崙奴という人物。
東南アジアやアフリカ系をモデルにした想像上のキャラクターらしいです。
でも崑崙奴さん、なにゆえこの体勢なんでしょう…😆

こうして振り返ると、私が足を止めたのは、どれも少しユーモラスで、どこかチャーミングな作品ばかりですね(笑)。

開催は 2026年2月8日まで
気になった方は足を運んでみるのも悪くないかもしれません🙂


いいなと思ったら応援しよう!

智羽(さわ) よろしければ応援をお願いします!いただいたチップは、京都旅や歌舞伎観劇、東京国立博物館の探索など、もっともっと楽しい話題を深掘りするための大切な軍資金として使わせていただきます!✨