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終わってほしいこと、終わらないでほしいこと

「このトンネルの先に、光は見えるのかな」

駅まで続く長い坂道を歩きながら、僕はそんなことを考えていた。

最近、何をしていても思う。
早く終わればいいのに。

この疲れも。
この不安も。

何事にも終わりはある。
嫌なことも、苦しいことも、いつかは終わる。

そうわかっているのに。

その「いつか」が見えなくて、今日もため息をついてしまう。

でも、不思議なことに。
君といる時間だけは違った。

一緒に笑う時間も。
何気なく手をつないで歩く帰り道も。

ずっと終わらなければいいのにと思う。

人って不思議だ。

終わってほしいことと。
終わらないでほしいこと。

その間を行ったり来たりしながら、生きている。

「止まない雨はない」

よく聞く言葉だ。

きっと本当なんだろう。
だから悩みも、苦しみも、いつか晴れる。

でも、その言葉をそのまま恋に当てはめると、少しだけ寂しくなる。

雨が止むように。
いつか、この恋にも終わりが来るのかもしれない。

そんな未来を考えてしまう自分がいた。

「何考えてるの?」

隣から声がした。
顔を上げると、君が不思議そうに笑っている。

「いや……」

少し迷ってから、僕は口にした。

「いつか終わっちゃうのかなって。何もかも」

言った瞬間、後悔した。

せっかく一緒にいる時間なのに。
つまらない話をしてしまった。

君は少しだけ黙って。
それから僕の袖を、ちょん、とつまんだ。

「じゃあさ」

「終わる日のことは、そのときに考えよ?」

「え?」

「今日はまだ終わってないでしょ」

そう言って、君は僕の手を握る。

温かかった。

さっきまで冷たく感じていた夜の風が、少しだけ優しくなった気がした。

「それにね」

君はぎゅっと力を込めて笑った。

「私はずっと一緒にいたいって思ってるよ」

その一言だけで。

長かったトンネルの先に、小さな光が見えた気がした。

未来は誰にもわからない。
だからこそ、不安になる。

明日何が起こるかなんて、誰にも決められない。

でも。

まだ来ていない終わりを考えて、今日を曇らせるより。

今、隣にいる大切な人との時間を大事にしたい。

「また明日ね」

その小さな約束を、一つずつ積み重ねていけばいい。
永遠なんて約束できなくても。

「また明日」と言える今日を、重ねていけばいい。

君となら。

そんな明日を信じられるから。


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