【凍結】承認の教科書|実践編|「この場面、何て言う?」5段階×分岐トーク集(下巻)
はじめに
「分かった」から、「言える」へ
上巻では、「承認とは何か」、そして「承認には5つの段階がある」という話をしました。
結果承認。プロセス承認。行動承認。意識承認。存在承認。
そして、その土台があって初めて、「褒める」「叱る」が機能する。ここまでが、上巻の話です。
では、実際の家庭ではどうでしょう。
理屈が分かっても、
「で、何て言えばいいの?」
となります。
宿題をやっていない。ゲームをやめない。テストの点数が下がった。「別に」としか言わない。嘘をついた。学校に行きたくないと言った。
そんな場面で、「これは意識承認です」と分かったところで、実際の言葉が出てこなければ使えません。
だから、この下巻では、「この場面で、何と言えばいいのか」をできるだけ具体的に書きました。
この本は、最初から順番に読まなくてもいい
もちろん、第1章から読んでいただければ、承認の使い方を順番に理解できます。
でも、「今、まさに宿題で困っている」「ゲームのことで毎日揉めている」という方は、悩んでいる場面から読んでも構いません。
特に第7章は、保護者の悩みから引けるトーク集として作っています。
子どもの返答によって、結果承認からプロセス承認へ。行動承認から意識承認へ。あるいは、承認から傾聴へ。会話は動きます。
決まったセリフを最後まで言い切るのではありません。相手の返答を見ながら、次の言葉を変えていく。
これが、この下巻の大きなテーマです。
文の長短はありますが、
いろいろなケースを取り上げたので目次からジャンプしてください。
第1章 承認を使うための4ステップ
承認を実際の会話で使うとき、私は大きく4つのステップで考えています。難しい技術ではありません。

STEP1 まず、見る
STEP2 今、どの段階にいるかを探す
STEP3 その段階の「事実」を口にする
STEP4 相手の返答を見て、次へ移る
STEP1 まず、見る
最初にすることは、話すことではありません。見ることです。
たとえば、宿題が終わっていない。その瞬間、「またやってない」だけで終わらせない。少し細かく見ます。
テキストは出したのか。ページは開いたのか。一問はやったのか。分からなくて止まったのか。そもそも宿題があることは覚えていたのか。「やろう」とは思っていたのか。
同じ、「宿題が終わっていない」でも、中身はまったく違います。
承認は、まずその違いを見つけるところから始まります。
STEP2 今、どの段階にいるかを探す
見えた事実を、5段階に当てはめてみます。
結果が出ているなら、結果承認。結果には届いていないけれど、取り組んできた過程があるなら、プロセス承認。途中まででも実際に動いているなら、行動承認。
まだ動いていなくても、「やろうと思った」「分かっている」「言おうとは思っている」があるなら、意識承認。それも見えないときは、存在承認まで降りる。
大事なのは、無理に上の段階を探さないことです。
結果がないのに、結果を褒めようとしなくていい。頑張った過程が見えないのに、「頑張ったね」と言わなくていい。
今あるものを見る。それだけです。
STEP3 その段階の「事実」を口にする
段階が見つかったら、事実を返します。
「90点取ったんだね」
「今週は毎日やってたんだね」
「テキストは開いたんだね」
「やろうとは思ってたんだね」
「今日はここには来てくれたんだね」
これでいいんです。
気の利いた言葉を言おうとしなくて構いません。
承認は、評価を足すことより、事実を拾うことの方が大切です。
「〜てくれた」も使いやすい言葉の一つですが、毎回使う必要はありません。「〜たんだね」でも構いません。
STEP4 相手の返答を見て、次へ移る
ここが、下巻で最も大切なところです。
あなた:「90点取ったんだね」
子ども:「うん! めっちゃ嬉しい」
なら、褒めてもいい。
一方で、
子ども:「別に。たまたま」
なら、
「たまたまだと思ってるんだね。今回、何か前と変えたことあった?」
と、プロセスを見ることができます。
また、
あなた:「やろうとは思ってたんだね」
子ども:「うん。でも、なんか今日はめんどくさくて」
と理由が出てきたなら、そこから先は承認だけで解決しようとせず、話を聞きます。
→ 傾聴へ
逆に、「うるさい」となれば、その場では追わない。会話を終えて、また別のタイミングを探す。
承認は、言って終わりではありません。 相手の返答を見て、次にどこへ行くかを決める。これが実際の会話です。
承認と改善を、一度にやらない
ここで、一つだけ強く覚えておいてほしいことがあります。
承認と改善を、できるだけ切り離してください。
「テキスト開いてたんだね。でも最後までやらないと意味ないよ」
前半では承認しています。でも、子どもに残りやすいのは「最後までやらないと意味がない」の方です。
ほかにも、
「覚えてたんだね。でも忘れたら一緒でしょ」
「途中までやったんだね。でも約束は守ってないよね」
これも同じです。
まず、
「テキスト開いてたんだね」
で一度終える。相手の返答を見る。そして必要なら、そのあとに「次はどこまでならできそう?」と考える。
もちろん、危険な行動や、その場ですぐ止めなければならないことまで後回しにする必要はありません。
ただ、日常の多くの場面では、認めることと、直すことを一度分ける。
4ステップは、これだけです
見る。→ 今いる段階を探す。→ 事実を返す。→ 返答を見て、次へ移る。
最初から完璧に判定できなくても構いません。
大切なのは、分類を正解することではありません。結果だけで相手を見ないこと。 そして、今その人の中に何が残っているのかを探すことです。
第2章 結果承認

結果が出たとき、何を見るか
結果承認は、5段階の中では一番分かりやすい承認です。
テストで点数が上がった。試合で勝った。目標を達成した。作品が完成した。
そうした「見える結果」を、そのまま言葉にします
「90点取ったんだね」
「合格したんだね」
「最後まで完成させたんだね」
まずは、それだけで構いません。
ケース1 テストの点数が上がった
あなた:「90点取ったんだね」
子ども:「うん!」
あなた:「嬉しそうだね。私も嬉しいよ」
ここでは、結果承認 → 褒めると進んでいます。
少しだけ過程にも触れたいなら、「今回は何が良かったと思う?」と聞いてみてもいい。
子ども:「計算ミス減った」
あなた:「そこ意識してたんだね」
こうして、プロセス承認へ移ることもできます。
ケース2 前回と同じ点数だった
あなた:「今回も80点だったんだね」
これも結果承認です。
もし今回のテストが前回より難しかったなど背景があるなら、「今回難しかったって言ってたけど、同じ点数だったんだね」と事実を具体的にしてもいい。
ケース3 「できた!」と見せに来た
あなた:「できたんだね!」
子ども:「うん!」
あなた:「見せに来てくれたんだね。嬉しかった?」
子ども:「うん!」
ここでは、そのまま一緒に喜んでいい。「すごいね」「よかったね」と褒めてもいい。
承認は、褒めることを禁止する技術ではありません。結果が出て、本人も喜んでいるなら、褒める。
「別に」と返ってきたら
あなた:「90点取ったんだね」
子ども:「別に」
あなた:「そっか」
ここで、「90点なんだからもっと喜びなよ」と感情まで決めない。
本人にとっては、思ったより取れなかった、もっと取れると思っていた、たまたまだと思っている、周りがもっと高かった、など別の受け止め方があるかもしれません。
少し聞けそうなら、「今回、何か前と変えたことあった?」と結果の奥にあるプロセスを見ます。
「別に」が出たら、無理に褒めず、プロセスへ。
結果承認まとめ
• 本人が嬉しそうなら → 褒める
• 少し過程を振り返れそうなら → プロセス承認へ
• 「別に」「たまたま」と返ってきたら → 無理に褒めず、プロセスへ
• 自分の気持ちを伝えたいなら → I(アイ)メッセージ
第3章 プロセス承認

結果の奥を見る
結果には、その前があります。
勉強した。練習した。失敗した。やり直した。続けた。工夫した。
結果承認が「出たもの」を見るなら、プロセス承認は、そこに至るまでに何をしてきたかを見る承認です。
ケース1 結果が出た。その過程を振り返る
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