ねお・義賊『玄狐』〜「縁」
「縁」
都心の赤い寺。
男が賽銭を投げた。
「ボンドロは、全部私が買う。転売だ。」
御朱印帳が、脇に挟まれている。
開いた頁に、ひとつだけ異様に静かな墨。
――顕の真名
鳥居の陰から、聞こえた。
「荼吉尼は、一生を賭す者を見る…」
男は笑った。
玄狐は何もしない。
ただ、縁起銭を一枚、足元に転がした。
からん。
男はそれを拾い、寺を出る。
御朱印帳が落ちる。
――開く。
あの頁だけ、白い。
墨は、消えていた。
からん…
守りは無い。
縁だけが残った。
―了

都心の赤い寺。
男が賽銭を投げた。
「ボンドロは、全部私が買う。転売だ。」
御朱印帳が、脇に挟まれている。
開いた頁に、ひとつだけ異様に静かな墨。
――顕の真名
鳥居の陰から、聞こえた。
「荼吉尼は、一生を賭す者を見る…」
男は笑った。
玄狐は何もしない。
ただ、縁起銭を一枚、足元に転がした。
からん。
男はそれを拾い、寺を出る。
御朱印帳が落ちる。
――開く。
あの頁だけ、白い。
墨は、消えていた。
からん…
守りは無い。
縁だけが残った。
―了
