メロンパンから人糞臭
韓国のSNSで、コンビニで購入したメロンパンから「下水や人糞の臭いがして食べられない」などの投稿が相次いだことから、メーカーが回収する騒ぎになっているようです。

メロンパン
製造メーカーの発表によると、パン工場でメロン香料ではなく誤ってドリアン香料が使用されたということで、すでに全出荷量2万個のほとんどを回収したそうです。
気になるのは、回収したメロンパンをどうするつもりなのかということです。やはり廃棄するしかないのでしょうか? 「 ドリアン・メロンパン」とか、「悪魔のメロンパン」とか、ネーミング次第で売れるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?

ドリアン
ドリアンの強烈な臭いの正体は、主に成熟過程で生成される「揮発性硫黄化合物(VSC)」です。巷ではタマネギや腐った卵、生ゴミのような臭いと表現されます。
ドリアンがその独特な臭いをまとうのは、動物を引き寄せて、食べられることで種を遠くへ運ばせるためです。それなら甘い香りでいいと思うのですが、熱帯域では豊潤な甘い香りの果物がたくさんあります。その中で動物に選んでもらうために、あえて甘いだけではなく、強烈な刺激臭をブレンドしたと考えられます。
人も臭いものに興味を示します。 臭いのなら近寄らなければいいのに、「臭い!」「なにこれ?!」「何の臭い?!」と言いながら臭いの元を探します。それは悪臭の元が自分の生命を脅かす恐れがあるからです。つまり、悪臭に引き寄せられるのは動物の本能なのです。
それにしても、なぜパンメーカーはドリアン香料を持っていたのでしょうか? それは強烈に臭いドリアンパンを作るためです。
嘘ですよ😅

なぜドリアン香料?
ドリアンの香りは40種類以上の揮発性成分の混合物ですが、フルーティーな甘い香りと強烈な腐敗臭の2系統に分けられます。
▶ドリアンに含まれるエステル類は、高濃度では強烈ですが薄めるとリンゴやパイナップルのような、非常にフルーティーで華やかな甘い香りとして感知されます。
▶ドリアンの悪臭の主因である硫黄化合物も、適度に薄まると「ローストした玉ねぎ」や「揚げたエシャロット」のような香ばしい風味になります。
この特性を利用して、バニラカスタード、キャラメル、アーモンドのような濃厚で甘美な香りを作ることができます。そのためにドリアン香料が必用なのでした。
ドリアン香料だけでなく、食品業界では様々な悪臭香料が使われています。想像しにくいとは思いますが想像してみてください。

深臭い香り
◆スカトール(インドール)
名称からしてそうなのですが、スカトールは原液なら 完全に糞便臭、つまり う○ちの臭いです。ところが、ものすごく薄めると華やかな「ジャスミン」や「オレンジフラワー」の香りになります。また、高級な花の香料には この「微量の汚臭」が深みとして不可欠なんだそうです。それって、人にもあてはまると思いませんか?

◆ギ酸エチル
原液はツンと鼻を突く、接着剤や除光液のような溶剤臭ですが、ごく少量なら完熟した「イチゴ」や「ラズベリー」、あるいは「ラム酒」のような甘いフルーツの香りになります。どうやらベリー類の香りには微量の酸臭が欠かせないようです。
余談ですが、ギ酸エチルは引火点が-20℃と極めて引くく、常温で簡単に爆発性の蒸気を発生させる危険物です。

◆メチルメルカプタン(硫黄化合物)
原液は腐った玉ねぎや都市ガスのような、強烈な不快臭ですが、ごく少量なら「トロピカルフルーツ(マンゴー、パッションフルーツ)」のリアルな熟成感や、焼きたてのパンの芳ばしさを演出します。
ちなみに、都市ガスは本来無臭ですが、ガス漏れに気づくようにメチルメルカプタンで不快臭を付けてあります。もし都市ガスがトロピカルフルーツの香りなら危険だと思わないですからね。

◆イソ吉草酸
原液の臭いは、「強烈な足の裏の臭い」や「蒸れた靴下の臭い」と表現されます。しかし完熟したチーズやチョコレートの深いコク、リンゴのみずみずしい香りを付けたいときにはごく微量のイソ吉草酸が欠かせないそうです。実際に高級ココアやチーズ菓子に使われています。

◆酪酸
原液は「銀杏」や「吐写物」の臭いですが、ごく少量をお菓子に使うと「発酵バターの芳醇な香り」になります。酪酸を入れないとただの油臭になってしまいます。

◆ジメチルスルフィド(硫黄化合物)
原液は腐ったキャベツや、磯の生臭いニオイだと表現されますが、100万倍以上に薄めると、イチゴの甘酸っぱさや、炊きたてのご飯の香り、ビールの「麦っぽさ」を引き立てる重要なエッセンスになります。また、海鮮カップラーメンにも欠かせないそうです。

◆3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール(3M3SH)
いわゆる「ワキガ」の代表的な原因物質の一つで、原液は強烈なスパイシー臭や硫黄臭がします。しかし、グレープフルーツやパッションフルーツのような、苦みを含むフルーツの風味を再現するのに、ごく微量使われます。

臭いは旨い?
人工香料では悪臭を薄めて芳香に変えていますが、日本のクサヤや鮒ずし、中国の臭豆腐、スウェーデンのシュールストレミングなど、悪臭のまま食べる食品が世界中にあります。なぜヒトはわざわざ臭い食品を食べるのでしょうか?
もちろん、発酵プロセスによってタンパク質が分解され、旨味成分であるアミノ酸が大幅に増加するので「旨味」が強い → だから食べる。ということではあります。しかし筆者はただ「旨い」だけでは脳が満足しないのではないかと思います。
おそらく、口に入れた瞬間に鼻に抜ける悪臭と、舌で感じる旨味のギャップが大きいと、脳に強い快感をもたらすのではないかと妄想します。



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