敏感な人は3つの時空を同時に生きている

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敏感な人は、今この瞬間だけを生きていないのではないか、と私は思うことがあります。
誰かと話しているとき、相手の言葉を聞きながら、以前どこかで似たような空気があったことを同時に思い出しています。
このまま進むと少し先でどうなるか、という予感が、言葉より先に身体に届いています。
現在の出来事が過去の記憶と未来への感覚と、ほとんど同時に立ち上がってくる。それが、敏感な人の「今」なのだと思います。
皆さんは、まだ何も起きていないのに、なぜか不安になってしまうことがありますか。
多くの人が「大丈夫」と言っている場面で、ひとりだけ何かが引っかかって、でもうまく言葉にできなくて、黙っていたことはありますか。
そしてしばらくして、恐れていた通りの展開になったとき、それを誰かに言うこともできない、という経験が、私は繰り返しあります。
心理学に「フラッシュバック」という概念があります。
一般的にはトラウマの文脈で語られますが、広い意味では過去の経験が現在の感覚に侵入してくる現象全般を指します。
敏感な人は、この「侵入」が起きやすいのです。
過去に誰かが突然怒り出した場面を経験していると、今目の前の人がほんの少し眉をひそめただけで、身体がその記憶を呼び覚ましてしまいます。
これは考えすぎではなく、神経系が過去の情報を使って今を解釈しようとしている、ごく自然な働きなのです。
SPS(感覚処理感受性)の研究では、HSP傾向の高い人は感覚情報の処理が深く、過去の経験との照合が素早く行われることが示されています。
つまり敏感な人の「なんとなく嫌な感じ」は、単なる気分ではなく、長い時間をかけて蓄積されてきたものから引き出された、ひとつの判断なのです。
では、未来についてはどうでしょうか。
嫌な予感が当たる、という経験をしたことがある方は少なくないと思います。
これは予知能力ではなく、現在の細部をそれだけ丁寧に読んでいるから、その先に何が起きやすいかを無意識のうちに感じ取ってしまう、ということなのだと私は思っています。
敏感な人が未来を「予知」できるのは、今に対してそれだけ深く向き合っているからではないでしょうか。
しかし、日常生活が困難になることも多いです。
過去と現在と未来を同時に処理し続けるのは、ひどく疲れます。
「今この瞬間だけを生きる」ということが、こんなに難しいのか、と感じることもあるかもしれません。
けれどそこには、ひとつの知性があると私は思っています。
世界の細部を丁寧に拾い、記憶と照合しながら先を読む力は、誰にでも備わっているわけではありません。
「気にしすぎ」という言葉は、あなたのその知性にまだ気づいていない人から来る言葉なのかもしれません。

