Pull marine ‐Isabelle Adjani

Serge Gainsbourg(セルジュ・ゲンズブール)が作詞作曲し、女優Isabelle Adjani (イザベル・アジャーニ)が1983年に発表した楽曲で、彼女の唯一の本格的な音楽アルバム Pull marine に収録されています。「Pull marine」を直訳すると「紺色のセーター」。この曲は当時フランスで話題になり、日本ではおそらく邦題の「マリンブルーの瞳」というタイトルでご存じのフランス映画好きな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それでは解説してゆきましょう。

J'ai touché le fond de la piscine
Dans le petit pull marine
Tout déchiré aux coudes
Qu' j'ai pas voulu recoudre
Que tu m'avais donné
J' me sens tellement abandonnée

Y' a pas qu'au fond de la piscine
Que mes yeux sont bleu marine
Tu les avais repérés
Sans qu'il y ait un regard
Et t' avais rappliqué
Maintenant je paie l'effet retard

Avant de toucher le fond
Je descends à reculons
Sans trop savoir ce qui se passait dans le fond

C'est plein de chlore au fond de la piscine
J'ai bu la tasse tchin-tchin
Comme c'est pour toi je m'en fous
Je suis vraiment prête à tout
Avaler que m'importe
Si on me retrouve à moitié morte

Noyée au fond de la piscine
Personne ne te voyait
Sous mon petit pull marine
M'enlacer j' t'embrassais
Jusqu'au point de non-retour
Plutôt limite de notre amour

Avant de toucher le fond
Je descends à reculons
Sans trop savoir ce qui se passait dans le fond

Viens vite au fond de la piscine
Repêcher ta petite sardine
L'empêcher de se noyer
Au fond de toi la garder
Petite soeur traqueuse
De l'air de ton air amoureuse

Si nous deux c'est au fond dans la piscine
La deux des magazines
Se chargera de notre cas
Et je n'aurai plus qu'à
Mettre des verres fumés
Pour montrer tout ce que je veux cacher

Retrouve-moi au fond d' la piscine
Avant qu' ça m'assassine
De continuer sans toi
Tu peux compter sur moi
J' te referai plus l' plan d' la star
Qui a toujours ses coups de cafard

J'ai touché le fond de la piscine
Dans ton petit pull marine

私はプールの底まで沈んでしまった
あの小さな紺色のセーターを着たまま
ひじのところが破れていたのに
縫い直そうともしなかったセーター
あなたがくれたものだった
私はとても置き去りにされた気分

プールの底だけじゃない
私の瞳もマリンブルー
あなたはそれに気づいていた
目を合わせることもないまま
そして近づいてきた
いま私は遅れてきた代償を払っている

底にたどり着く前に
私は後ろ向きに沈んでいく
心の奥で何が起きているのかも
よくわからないまま

プールの底は塩素の匂いでいっぱい
私は水を飲み込んでしまった、乾杯みたいに
あなたのためなら構わない
本当に何でもする覚悟
どんなことだって飲み込める
たとえ半分死んだような姿で
見つけ出されることになっても

プールの底に沈んでいても
誰もあなたの姿は見ていなかった
私の小さな紺色のセーターの下で
あなたは私を抱きしめてくれていた
戻れないところまでキスをした
私たちの愛の限界まで

底にたどり着く前に
私は後ろ向きに沈んでいく
心の奥で何が起きているのかも
よくわからないまま

早くプールの底まで来て
あなたの小さなイワシを救い出して
溺れさせないで
あなたの心の奥に閉じ込めて
愛しい空気の中で
恋するあなたの息づかいの中で

もし私たち二人が
プールの底に沈んでしまったなら
ゴシップ雑誌が
私たちを取り上げるでしょう
私はただサングラスをかけて
隠したいものを隠すしかない

プールの底で私を見つけて
それが私を殺してしまう前に
あなたなしで生き続けることが
あなたは私を信じていい
もうスター気取りの
気まぐれな真似はしないから

私はプールの底まで沈んでしまった
あなたの小さな紺色のセーターを着たまま
私はプールの底まで沈んでしまった
あの小さなマリン色のセーターを着たまま
ひじのところが破れていたのに

縫い直そうともしなかったセーター
あなたがくれたものだった
私はとても置き去りにされた気分

プールの底だけじゃない
私の瞳もマリンブルー
あなたはそれに気づいていた
目を合わせることもないまま
そして近づいてきた
いま私は遅れてきた代償を払っている

底にたどり着く前に
私は後ろ向きに沈んでいく
心の奥で何が起きているのかも
よくわからないまま

プールの底は塩素の匂いでいっぱい
私は水を飲み込んでしまった、乾杯みたいに
あなたのためなら構わない
本当に何でもする覚悟
どんなことだって飲み込める
たとえ半分死んだような姿で
見つけ出されることになっても

プールの底に沈んでいても
誰もあなたの姿は見ていなかった
私の小さな紺色のセーターの下で
あなたは私を抱きしめてくれていた
戻れないところまでキスをした

私たちの愛の限界まで

底にたどり着く前に
私は後ろ向きに沈んでいく
心の奥で何が起きているのかも
よくわからないまま

早くプールの底まで来て
あなたの小さなイワシを救い出して
溺れさせないで
あなたの心の奥に閉じ込めて
愛しい空気の中で
恋するあなたの息づかいの中で

もし私たち二人が
プールの底に沈んでしまったなら
ゴシップ雑誌が
私たちを取り上げるでしょう
私はただサングラスをかけて
隠したいものを隠すしかない

プールの底で私を見つけて
それが私を殺してしまう前に
あなたなしで生き続けることが
あなたは私を信じていい

もうスター気取りの
気まぐれな真似はしないから

私はプールの底まで沈んでしまった
あなたの小さな紺色のセーターを着たまま

ゲンスブールはしばしば、ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキンなど、実在の女性像を前提に歌詞を書きました。この「Pull marine」も、“アジャーニのミステリアスな美しさ”そのものを題材にした作品となっています。

タイトル「Pull marine」とは、“pull”はセーターもしくはニット、“marine”は海軍の、濃紺の、を意味します。「濃紺のセーター」という意味です。
歌詞の中の「紺色のセーター」は、かつて恋人からもらったセーターで、肘が破れても繕えずにいる服として登場し、失われた恋の象徴です。
しかし、この曲の歌詞は象徴性を持ち、シュールでストーリーをはっきり語る曲ではありません。
歌の中の「私」は、取り残された感覚を持つ、恋人に去られた女性で、プールの底に沈んでいるような孤独を抱えています。
歌詞の中の「J’ai touché le fond de la piscine(私はプールの底に触れてしまった)」は、心がどん底に落ち、精神的に沈んでいるというメタファーです。
「あなたがくれた肘の破れた小さな紺のセーター。縫い直そうともしなかった」セーターはかつての恋人との思い出で、もう戻らない関係です。それでも捨てられない感情を象徴しています。
そして、この曲にも、服、香水、身体の細部といったフェティッシュな官能的イメージを断片的に配置している点で、ゲンスブール的な要素が見られますね。

ちなみに、アジャーニが出演している83年リリースのこのミュージックビデオですが、当時まだ若手だった映画監督Luc Besson(リュック・ベッソン)が手がけた映像で、後の彼の作風につながるスタイリッシュな美学がすでに表れています。




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