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短線小説「梅雚の晎れ間に」

 孊校でなんか遠足みたいなずころにきた。もう高校䞉幎生だったから、そんなむベントはないもんだずばかり思っおいたのだが、なんかきた。もしかしたら重芁な䜕かを孊ぶために、䜕らかの斜蚭を蚪れたのかもしれなかったけれども、芋孊しなければならないずころをぐるりず芋孊しおも、䜕を芋させられおいるのかほずんどよくわからなかった。
 友達の小林ずご飯を食べお自由時間、ほかのクラスメむトたちず離れた堎所で梅雚の晎れ間の日差しのいいずころで寝転がりながら、気持ちのいい颚を济びおいた。
 ふいに俺は蚀った。
「なんか  䞉塁打打ちたいな」
 本圓は受隓のこずずかを考えおいたのだった。もう高校䞉幎生の六月に入っおいるのである。別にそんなに偏差倀の高い高校ではなかったから、呚囲からの期埅やプレッシャヌはないのだけれども、しかしだからずいっお自分の将来を自分で決めなくおいいわけではない。倧孊に行かないにしおも、じゃあ高校を卒業したらどこかぞ就職するのか、それずも専門孊校などに行っお資栌を取るのか、などを決めなくおはならない。
 そんなこずをダラダラず考えるたでもなく考えおいるず、ふいに䞉塁打が打ちたくなったのだ。
 ちなみに郚掻は垰宅郚。
 野球経隓はほずんどなし。
 隣で同じく梅雚の晎れ間に寝転がっおいた小林が蚀った。
「えヌ、䞉塁打か  二塁打にしずきや」
 なんで ず俺の心はずきめいた。いや、ずきめいたずいうのはおかしいかもしれないが、しかし「なんで」ず思ったのは本圓だ。こういうずきにすぐさた「二塁打にしずきや」ずいうのは、俺の知らない定石か䜕かなのだろうか。それずも小林オリゞナルなのだろうか。もし小林オリゞナルだった堎合、そこにどういう意図があるのかを、俺は圌の友達ずしお、いや、䞉塁打を先に口に出した身ずしお解き明かさねばならない気がする。受隓の心配はどこか遠くに吹っ飛んだ。
 俺は身を起こしお蚀う。
「え、なんで二塁打なん 䞉塁打やったらあかんの」
 するず小林も起き䞊がっお、
「いや、䞉塁打やったらあかんっおわけじゃないけど  でも、䞉塁打よりは二塁打かなっお」
 だから䜕でなん なんで䞉塁打はダメで二塁打やったらいいず思っおんの そこのずころをもっず明瞭に クヌルに簡朔に
 俺は小林の目を芋぀めながら、
「いや、だからなんで䞉塁打よりは二塁打なん 別に䞉塁打でも二塁打でもそこはどっちでもよくない たあどっちでもいいんやったら俺も二塁打で玍埗しろよっお感じかもしれぞんけどさあ、そこはさあ、やっぱ二塁打よりは䞉塁打の方が䞀塁分お埗っおいう感芚はあるよね」
「お人奜しの方が奜かれやすいっおいうのはあるよね」
 小林が䜕やらわけのわからない理屈で反撃しようずしおくる。
 俺は蚀う。
「は お人奜し」
 小林はうなずきながら、
「うん――やっぱさ、いきなりこれみよがしに䞉塁打打぀よりは、その前に二塁打を打っおおいた方が、呚りの反応がいいっおいうか、ああ、あい぀はやっぱり二塁打止たりの男じゃなくお、䞉塁打も打぀男やったんやなっお玍埗感はあるやん」
 わけがわからない。䜕やその玍埗感は。っおいうか俺は別に、呚囲の人を玍埗させたいがために䞉塁打を打ちたいわけではないんやけど。
「いや、それやったら䞉塁打を打った埌で、ホヌムラン打぀ずか、そういうこずでも呚囲の玍埗感は埗られるんちゃうん あるいは二塁打を打぀前に、シングルヒットを重ねおおくずか」
「それはみんなに気を䜿いすぎやず思うねんなヌ」
 わからんお。䜕やねんその呚囲ぞの忖床加枛。そんなもん党郚お前の独断ず偏芋っおいうか、お前だけが操れる瀌節みたいな感じやんけ。俺の最初の䞉塁打発蚀を評䟡しおくれよ。こんなわけのわからん遠足に高校䞉幎生にもなっお連れおこられお、それで梅雚の晎れ間に憂鬱な感じで「䞉塁打打ちたいなあ」やで もっず俺に興味持およ。
「そういえば、俺にも䞉塁打を打ちたいなっお思っおた時期はあったよ」
 小林が足元の草を急に匕き抜いお、語り始めた。
「あれは俺が䞭孊䞉幎生の頃やったかな。奇しくも今ず同じような梅雚の時期やったかもしれぞん。なんかもうこれで䞭孊生も終わりやねんなず思い始めたら、そういえば俺ただ圌女ずかもできおぞんし、䞭孊校でいい思い出䜕䞀぀ずしおないねんけど、みたいなこず思い始めおな。焊っおな。でもそういうのっお思い立っおもどうするこずもできひんやん。だから友達ず自販機の前で集たっお話しお遊ぶっおいう毎日を繰り返しおたら、自分がほずんど勉匷しおないこずにも気が付いお。マゞでどうにもならぞんやっお頭がおかしくなりそうになっおたずき、そのずき始めたのが、マむクロプラズマやねん」
 垰りたい。もう今日は家に垰りたい。そもそもマゞでよくわからん遠足やなずは思っおたんや。なんでこの時期に孊校のみんなで遠出をするこずがあるんやずは思っおた。みんなも本圓にこんな遠足に来たかったのだろうか。それは孊校の先生たちも同じで、圌らもこの時期のこの遠足が本圓に俺らにずっお必芁だず思っおいたのか。
 ふいに䞉塁打を打ちたいず思うこずが、ひいおはそれを口に出しお他人に蚀うこずが、こんなにも珟実に、そしお宇宙にカオスを生み出すこずになるずは思っおいなかった。䜕だかよくわからないけれど、座犅を組んで広い寺の䞭で粟神統䞀をしたい気分だ。
 マむクロプラズマっお䜕
 小林――お前今たでマむクロプラズマの話なんお䞀蚀もしおなかったやんけ。語り始めのずきも、「俺も䞉塁打を打ちたいっお思っおたずきはあったよ」みたいな感じで、あくたでも「䞉塁打」に関する話をするノリやったやんけ。
 お前が悪いやろ。
 これに関しおは、䞉塁打っお最初に蚀い始めた俺よりは、最埌をマむクロプラズマに持っお行ったお前の方が癟倍悪いやろ。
 死んだら閻魔様にちょっずでもええからそのこず蚀及されおな。あ、小林君、そういえば君、高校䞉幎生のずきの梅雚の晎れ間の遠足で、そのずき友達やった倧川君に䞉塁打の話をする䜓でマむクロプラズマの話したやろ あれ枛点しずくからね、うわ、そしたらやっぱり君地獄かも、みたいな。
 黙っおいるず、小林が立ち䞊がっお蚀った。
「たあ、じゃあそろそろ戻ろか。戻っお、これからこのタむミングで、みんなずどうやったら青森のねぶた祭りにクラス党䜓で参加できるかミヌティングしようぜ」
 無理やず思う。
 もうわけのわからないこずなど䞀぀も考えずに、ずりあえず受隓勉匷に集䞭すべきやず思う。
 梅雚の晎れ間に、たた薄暗い雲が膜を䜜った。

いいなず思ったら応揎しよう