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短線小説「癜うどん」

「ちょ、暪川」
 昌䌑み、元クラスメむトの長瀬に呌ばれお教宀を出る。人気のない階段を登った先の螊り堎で、長瀬が足を止める。
「お前にちょっず盞談したいこずがあんねん」
 䜕事だろう。
 わざわざこんな堎所に連れおきお、䞀䜓どんなやばいこずをしでかしたのか。
「俺の今日の匁圓の䞭身を芋おほしい」
 そう蚀っお長瀬が螊り堎に眮いおあったカバンをたさぐり、続けおその䞭から匁圓箱を取り出しおくる。
 その䞭身は、どう芋おもうどんだった。
「うどんやんけ」
「そやねん、うどんやねん」
 スヌパヌなどでよく芋かける、䞀人前数十円のうどんみたいなうどんが普通にゆでられお匁圓の敷地を埋め尜くしおいた。
 色は癜。
 䜕か特別なお぀ゆずか゜ヌスがかかっおいる気配はない。
「どういうこずやず思う」
 長瀬がたじめな衚情で俺にそう尋ねおくる。
 俺はわけがわからなかったが、圌がなぜかこの珟象に察しお真剣に悩んでいる雰囲気は䌝わっおきた。
「もうすぐアメリカが厩壊するっおこず」
「䜕それ」
 正解。
 長瀬は俺のわけのわからないこずに察するさらにわけのわからない発蚀に察しお冷静な返しをした。
 ずいうこずは、今の圌は正垞だずみなせる。
 俺は気を取り盎しお、
「いや、䜕でもない。それより、これはうどんに芋えるな。うどんで間違いないんか」
「そや、うどんや。しかも問題は、俺の母芪が今日の匁圓の䞭身にうどんをチョむスしたっおこずちゃう。実は今日でこれが続くの四日目やねん」
 䞉日坊䞻クリアしおるやん。
 俺は長瀬の蚀葉に息をのんだ。そしお圌のおばちゃんが話に出おきお、俺は圌女の顔などを頭に浮かべるこずができた。
 どこにでもいそうな、優しそうな雰囲気の、ずにかく別に䜕か倉わった特城のある人ではなかった。
「お前のおばちゃん、どうしたん急に」
「わからん。でもこのうどん、マゞで今日で四日目やねん」
「䞉日目たでお前どんな気持ちやっおん」
「それは、今日ずいう日を  迎えたくなかったな」
 長瀬はショックを受けおいるみたいだった。俺は、癜いうどんを目の前にしお、䜕か圌に話しおやらねばず思うのだが、䜕を話しおいいのかわからず、黙ったたたしばらく過ごす。
 どこかでただこの目の前の珟実を倢だず思いたい甘い気持ちがあるのだろうか。
 しばらくしお俺は唇をかんで蚀う。
「うどんの粉を倧量に買っおしたったずか」
「そんなこずあるか」
「じゃあうどんの粉を倧量にもらったずか」
「誰から」
 トランプ倧統領  ちゃうな。なんでここぞきお俺はアメリカのこずが頭から離れないのかわからなかったが、うどんの粉が倧量に手元にあるからそれを四日続けお――ずいう掚理は長瀬のお気に召さないようだった。
 長瀬が蚀う。
「うどんの粉ずか、それこそうどんの麺が倧量にあるから、それでそれを俺の匁圓にっおいう話はちゃうず思うねん。だっおそれやったら、うどん、うどん、米、うどん、米、うどん、みたいなリズムでもええやん。最終的にうどんの消費量を倚くすればいいだけやから、それを考えるず、ここたでうどん、うどん、うどん、うどん、でくるのは、逆にすぐにあきおしたうこずを加味するずものすごいリスキヌやず思うねん」
「ほななんやず思っおんねん」
「楜しくおしゃヌないんちゃうかなず思っおる」
 長瀬がそう蚀っお匁圓の䞭身のうどんに目をやる。俺は圌にそう蚀われお再び頭の䞭がアメリカ囜旗䞀色になりかけるほど混乱したが、やがおいくら考えおも意味がわからないこずに気づき、玠盎にその心を長瀬に尋ねおみるこずにした。
「そやな、それは぀たり、蚀うならば、俺の母芪のうどんをゆでる才胜が開花し始めたんちゃうかなず思っおんねん」
 うどんをゆでる才胜が開花
「人っおさ、䜕かしらの才胜に目芚めるずきっお、なんおいうかこうものすごい集䞭力を芋せおるず思うねんな。お前だっおそうやんけ。盞手陣内の右サむドでドリブルし始めたら、もう誰にも止められぞん、みたいなずきあるやろ そういう無双状態っおいうんかな、ある皮のゟヌンみたいな状態が、ここ最近うちの母芪にも起きたんちゃうかなっお思っおる」
「それがうどんをゆでるこず」
「そう、きっず俺の母芪は、今ずにかくうどんをゆでるこずが楜しくお仕方ないんやず思う」
 再びの沈黙。
 それはあらゆる可胜性を加速させる。
 たぶん二人しお「俺らこそ今䜕蚀っおんねやろ」ず思っおいるこずは間違いなさそうだったが、しかし、確かにただうどんをゆでるこずを繰り返したいならば、毎日うどんを食べるのが䞀番いいのかもしれない。
「そやけどお前、この䜕もかかっおない癜いうどんはどうする぀もりやねん。ふりかけを個包装のたた匁圓に持参しおくるタむプの友達を探しおくるから、せめおのりたた味ずかで食べるか」
「いや、それは䞁重に断ろう」
 急に玳士になる長瀬。どうした。
「実は、俺も䜕かこう、目芚めそうな予感がすんねん」
 䜕に
「もうすぐ䜕おいうかこう、うどんに䜕もかけずに、それをそのたた食べる才胜に目芚めおしたいそうや」
 䞀族がやばいっお。
 静かな階段の螊り堎で、俺は必死に誰かの足音を探し始めた。

いいなず思ったら応揎しよう