日光にて①
夫たっての希望で日光に行った。
自宅から2時間半ほどのドライブ。
私は助手席で、調子よくペラペラ喋っているだけだ。

岩下の新生姜入りメンチカツ
かわいいやん、イワシカ♡
めずらしく渋滞もなく日光市に到着。
車を置き、世界遺産への道を行く。
新緑が濃い。
天気は薄曇りだが、雨が降ってきそうな気配はする。
木々と葉っぱとしっとりした土の匂いがそこらじゅうに立ち込める道。

日光は「ゆば」が有名だ。
しっかりした食感の日光ゆばの特徴から、「湯葉」ではなく「湯波」の字を当てるという。
予約はしていないが、人気の湯波料理店に向かってみる。
玄関で、レセプション的男性が、
30分ほど待って、それから1時間のランチなら席があると言う。
昼食に1時間あれば十分だ。
私たちはありがたく30分後の予約に滑り込ませてもらった。
時間まで周囲を散策する。
路地ごと緑で趣がある。
住宅地脇の水路にもごうごうと水が流れている。
時間になったので、お店へ。
まだ庭で待っているお客さまもいるし、待ち時間を聞いて引き返す人もいる。

生湯波丼のセットを注文していたので、着席したらお料理はすぐに出てきた。
作務衣姿のお兄さんがお料理の説明をしてくださる。
説明しながらお兄さんは、目の端で次のお客様やレセプション男性の動きを追っているのがよくわかる。
心はおそらくここにない。
しかし説明は澱みなく、口はつるつると動く。
アナウンスプロ級。
お兄さんが私たちの席を離れてから、私は可笑しくなって夫に言った。
「AIか?」
醤油麹をまぶしたご飯に湯波のどんぶり。
筍と豆腐のお味噌汁は筍腐汁(じゅんぷじる)という。
胡麻豆腐はもちろん、香の物までどれもこれもきちんと美味しい。
さくっと昼ビールを。
写真はない。
デザートは水羊羹とコーヒー。

次から次へとお客さまは入れ替わる。
コーヒーを持ってきてくださったのは、先ほどのAIお兄さんだった。
お兄さんは、
「お時間にゆとりがなく急がせてしまい、申し訳なかったです〜。」
と言った。
「そんなことないですよ、こちらこそお席を用意していただいてありがとうございました。」
と夫が言った。
私も同じくお礼を述べた。
お兄さんは私たちの席を離れた。
私はただただ恐縮した。
お兄さんに聞こえたんかな。
「AIか?」って。
AIなんかじゃなく、心遣いのある本物のシゴデキお兄さんだった。
飛びこみ客だけど、ビールを飲んで食事して、コーヒーもゆっくり飲めたのだ。
約束の時間前に席を立った。
これから日光東照宮を拝観する。
『見ざる言わざる聞かざる』の三猿をしかと見学しよう。
私の場合、特に言わザル。
お兄さんはどうか聞かざるであってほしい。
AIか?なんて言ってすみませんでした〜。
反省。
