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「すげえ」しか言えないGRヤリスと残された課題

 今週のテーマはGRヤリスの2025モデルである。袖ヶ浦フォレストレースウェイで4台のモデルに5周かける2スティント、つまり40周試乗した。正直なところ筆者は、すでに2024年モデルで相当な進化を遂げていたGRヤリスが「今更それほど変わるものか?」と思っていたのだが、これがまた予想の斜め上を行く進化っぷりで、おそらくは誰が乗ってもはっきりわかるほど良くなっていた。

 詳しくは記事の後半で詳細にインプレッションしようと思うのだが、筆者の役割を考えれば、そういう直接的な評価に文字を割くよりも、「このクルマはトヨタ全体の戦略の中で果たしてどういう意味を持つのか」という経営目的を明らかにすることこそが、多くの方々が期待することだと思う。なのでまずはGRの戦略のいろはから話を始めたい。


怖いクルマでは速く走れない

 GRが立ち上がった時、トヨタはその意義を「モータースポーツを起点とするクルマづくり」と説明した。

 モータースポーツとは何かを端的に言えば「一番速いことを競う」である。もちろん中には「速い」が物差しではない競技もあるにはあるが、一般的には速さを指標にしていると言っても良いだろう。

 このあたり誤解が多いので敢えて解説するけれど、「速い」ということは実は「安全であること」や「運転しやすい」ことを部分集合として内包している。他のあらゆるパラメーターを削って、リスクを取ってまで「速さ」に全振りしたピーキーなものこそ速いと思われがちだが、そんなクルマを人間は速く走らせられない。

タイで行われたGRイベントでGRヤリスラリー2を走らせるモリゾウ

 なぜか、そういうクルマは端的に言って「怖い」。怖いから踏めない。もちろん結果的に怖くても踏めないと勝てないシーンはあるのだが、そんなケースを頻発させる車両はモータースポーツのツールとして二流品である。故に、GRが果たすべきは「速いクルマを作ることをもって、結果的に安全と運転しやすさを向上させる」というミッションである。

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自動車経済評論家、池田直渡(いけだ・なおと)が、クルマ、自動車メーカー、政府の政策などについて、事実…

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