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「日本のEV元年」が見えてきたモビショー

 ジャパンモビリティショー(JMS、モビショー)の話もいまや少々過去のものになりつつあるが、何せこのnoteは週に1度の更新なので、掘り下げて書いているとあっという間に旧聞に属する話になってしまう。

 さて、タイトルの「日本のEV元年」とはなんのことかというところから話を始めたい。

700kmクラブの誕生

 日本メーカーのEVは静かに進化を続けている。象徴的なキーワードがあるとすれば「一充電航続距離700kmクラブ」なのではないかと思っている。

航続距離702kmを達成した日産の新型「リーフ」

 日産が送り出した新型「リーフ」はB7Xグレード(518.9万円)でWLTCモード702kmを達成。他にも、トヨタの「bZ4X」がマイナーチェンジで航続距離を伸ばし、FFで最も航続距離の長いZグレード(550万円)がついに746kmの航続距離を達成した。当然と言えば当然ながら、スバル版の「ソルテラ」ET-SS(517万円)も同様の航続距離を謳う。各自治体によって補助金制度が違うので一概には言えないが、雑な計算しかできないが、概ね税優遇額が100万円ほどなので、400万円台中盤で、これらのモデルが買えるようになったわけだ。

eアクスルの高効率化とわずかなバッテリー容量拡大で、航続距離を559kmから746km(FFモデル)に伸ばしたトヨタ「bZ4X」(写真:トヨタ)

 少し前のクルマの価格を知っていると、心のどこかに「普通のクルマは200〜250万円」みたいな相場観が染み付いているが、どうも昨今のそれとは少なくみても50万円くらいはズレが生じているのである。要するにクルマ好きの琴線に触れるようなクルマはすでにほぼ300万円では買えなくなっている。そう思うと最廉価モデルが300万円を切るマツダの「ロードスター」が如何にアフォーダブルかという話になるが、それは脱線もいいとこなので置く。

「ノウハウなく使えて400万円台」が見えてきた

 で、まあ要するにわれわれが、昨今のインフレに押されてて否応なく金銭感覚をアップデートして、検討範囲を300万円から450万円辺りに置くと、「現実的なBEV」が射程に入り始めたのが本年、2025年なのである。これをもって「日本のEV元年」と呼ばせてもらうわけだ。

 毎度のことだが、BEVを使うのであれば、自宅か職場に基礎充電が可能な(つまり長時間占有できる)普通充電器を設置できることが前提。出先(つまり経路)充電には様々なノウハウがいる(どこに高出力充電器があるとか、どういう時間帯が混んでいるとか、故障したまま放置されている機材の情報収集とか、そもそも自分のクルマや充電契約で使えるかとか)ので、あまり出先での充電を当てにしない使い方であることが前提ではあるが、そうした使い方であれば、カタログ上の航続距離が700kmあるなら、往復6時間程度のドライブに快適に使うことができる。

 700kmと言ってもエアコンを使えば航続距離は減るので、8掛けで560kmとして、片道280km程度の外出ならば満充電にしてあれば往復できる。東京駅を起点として、東北道ならば郡山、関越道なら長野(もうちょっと行けそうだが標高差の関係で少し手加減)、東名なら浜松くらいまでは無充電で電欠の心配なく往復できるはずだ。福島や名古屋だとかなりギリギリなので、エアコンを我慢したり、どこかでちょっと充電したりしないと往復無充電はちょっとチャレンジングになりそうだ。もっとも想定が700kmなので746kmのbZ4x/ソルテラならもう少し頑張れるかも。

スズキEV戦略の先鋒となる「eビターラ」(写真:筆者)

 もうひとつ、スズキの「eビターラ」のように、廉価グレード(X)で400万円を切るBEVも登場した。eビターラの航続距離は大容量バッテリー搭載のZのFFグレード(449万円)でも520km(Xは433km)と、700kmクラブの各車との比較ではだいぶ短いが、通勤や買い物用であれば十分以上。長距離ドライブはあまりしない人ならば補助金込みで300万円少々で手が届く様になった。ヤリスの高めのグレードに少し足せば買えるというのはスゴいと思う。

 一方で筆者は「全てのBEVが大容量バッテリーを積まなくても良い」と言ってきた。もう少し先に、EV経験値の高い人が増え、充電インフラが整えば、「普通のクルマはリーンバッテリー設計が正しい」という時代が来ると思っている。で、そのリーンバッテリー時代の先駆けとして、日常使いのシティーコミューターとしての回答が軽のBEVであり、今回のスズキとBYDの出展車両だ。「おいおい、モビショーの話じゃなかったのか」と我慢して読んでくださった方々、ここからが本番である。

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