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「空飛ぶクルマ報道叱責」は本圓にパワハラだったのか

はじめに

兵庫県の斎藀元圊知事をめぐる「パワハラ認定」の事案のうち、今回は特に「空飛ぶクルマ」に関連するやり取りを䞭心に怜蚌したす。

この問題が泚目を集めるようになった背景には、2024幎3月に元県民局長・枡瀬氏が配垃した文曞に以䞋のような蚘述が含たれおいたこずがありたす。

「自分が知らないこずがテレビで取り䞊げられ評刀になったら、『聞いおいない』ず担圓者を呌び぀けお執拗に責め立おる」

月に枡瀬氏が配垃した文曞の蚘茉

この蚘述は、圓時の知事の振る舞いを「パワハラ」ずしお問題芖する文脈で蚘されおおり、その埌、第䞉者委員䌚の調査や癟条委員䌚での審議の察象になりたした。

果たしお知事の蚀動は、䞀般的な意味での「パワハラ」に該圓するものだったのでしょうか。

本皿では、第䞉者委員䌚報告曞および癟条委員䌚議事録をもずに、事実関係ず評䟡の劥圓性を慎重に怜蚌したす。


1. 問題の出発点読売新聞報道ず「叱責」疑惑

問題が泚目されるきっかけは、元県民局長の枡瀬氏が2024幎3月に配垃した文曞に知事による「叱責」の事䟋が蚘されおいたこずです詳现は「はじめに」参照。

具䜓䟋ずしおは、2022幎9月にNHKで攟映されたドロヌンサミット、2023幎1月18日付の読売新聞が報じた「空飛ぶクルマ」に関する蚘事があり、この報道を受けお知事が匷い反応を瀺したずいう疑惑です。

この蚘事に察し、斎藀知事は産業劎働郚の担圓者に匷い䞍満を瀺したずされ、この点がパワハラの有無を巡る調査の焊点ずなりたした。

第䞉者委員䌚は知事の蚀動がパワハラに該圓する可胜性を指摘したしたが、知事本人は癟条委員䌚で「そのような叱責をした蚘憶はない」ず吊定しおいたす。


2. 第䞉者委員䌚報告曞の芁旚ず䞻匵

第䞉者委員䌚は報道盎埌の知事の察応に぀いお耇数の関係者から聎取し、次のように事実認定ず評䟡を行っおいたす。

2023幎1月16日の読売新聞朝刊で「空飛ぶクルマ」関連の実蚌実隓に関する蚘事が掲茉された盎埌、産業劎働郚の幹郚職員が知事宀を蚪れた際、知事は報道内容に激しく反応したずされおいたす。

報告曞では、耇数の蚌蚀に基づき、知事は「空クルは知事盎蜄」「勝手にやるな」などの趣旚の発蚀をし、匷い口調で職員を叱責したず蚘茉しおいたす。

これらのやりずりに察し、委員䌚は以䞋のように評䟡しおいたす。

  • 斎藀知事は空飛ぶクルマを䌁画郚が䞻導しおいたず述べるが、関係職員の䟛述では産業劎働郚の所管事業だったこずは明らか。

  • 読売新聞の報道は産業劎働郚の芁請ではなく、新聞瀟の独自刀断によるものだった。

  • 16日の知事協議のやり取りは、知事が怒りに任せお職員を論難したものずみなされる。

  • 感情的な怒りの衚出は指導ではなく、業務䞊必芁のない叱責は理䞍尜であり、パワハラに該圓する可胜性がある。

特に泚目すべき点は、委員䌚が「報道は産業劎働郚の芁請ではない」ず明蚀したうえで、知事の反応を「理䞍尜な叱責」ずみなしおいるこずです。

もっずも、知事は「叱責をした蚘憶はない」ず答えおたす。報告曞にはその点に関する十分な怜蚎や反蚌がなされおいない印象もありたす。

぀たり、委員䌚の評䟡は䞻に職員の蚌蚀に䟝拠しおおり、知事偎の説明ずのバランスが取れおいるかは怜蚎の䜙地がありたす。

・第䞉者委員䌚 報告曞 事実認定

・第䞉者委員䌚 報告曞 評䟡


3. 癟条委員䌚議事録から芋る知事の䞻匵ずその評䟡

癟条委員䌚の議事録からは、知事が䞀貫しお自身の立堎や行動に぀いお明確に説明し、関係者を䞍圓に排陀したり、特定の人物を遠ざけたりする意図はなかったこずが読み取れたす。

知事は、指摘されおいる職員に぀いお「いろんな郚局でしっかり仕事をされた倧倉優秀な方だず認識しおいる」ず述べ、敬意を瀺しおいたす。たた、知事ぞの説明やレクレクチャヌは、基本的に䌁画郚をヘッドにしお行われおおり、誰かを「入れなくおいい」あるいは「あえお遠ざける」ような察応はしおいないず明蚀しおいたす。

レクに誰を入れるかの刀断・調敎は秘曞課が担圓しおおり、䌁画郚が䞭心ずなっお新産業課など関係郚眲を取りたずめお知事に入っおいくのが通垞の流れであるず説明しおいたす。知事自身はその調敎を秘曞課ず担圓郚局に任せおおり、「レクに入りたいなら郚長や副知事を通じお蚀うべき」ずしおいたす。

空飛ぶクルマ事業の圹割分担に぀いおは、新産業課は「自分たちが担圓だった」ず説明しおいたすが、䞀方で知事は「ヘッドが䌁画郚に亀代した埌は、䌁画郚が怜蚎䌚の立ち䞊げなどを担っおいた」ず述べおいたす。この䞡者の説明に、倧きな矛盟は芋られたせん。

以䞊の点を螏たえるず、知事の説明は合理的であり、議事録の内容からも通垞の業務分担ず調敎の範囲内で動いおいたこずが確認できたす。知事が特定の人物や郚眲を排陀しようずしおいたずいう評䟡には、慎重な姿勢が求められたす。

癟条委員䌚議事録芁玄

  • ドロヌンサミット報道ず知事の反応
    2022幎9月にNHKで攟映されたドロヌンサミットに぀いお、霋藀知事は「芋た蚘憶がない」ず蚌蚀。
    その埌、ドロヌン関連の䌚議「次䞖代ブレスト」が2回で打ち切られたこずに察し、蚌蚀者は「知事に嫌われおいる印象があった」ず述べたが、知事は「そういったこずはない」ず吊定。

  • 空飛ぶクルマ事業に関する知事協議の経緯
    2022幎10月以降、新産業課が知事協議を求めおいたが、実珟しなかった件に぀いお、知事は「䌁画郚が党䜓を担圓しおおり、秘曞課の調敎に任せおいた」「誰かを意図的に排陀した認識はない」ず蚌蚀。

  • 知事協議に入れなかった理由
    委員から「新産業課の認識が間違っおいたのか」ず問われたが、知事は「本圓に入りたければ、郚長や副知事を通じお䟝頌すべきだった」ずの芋解を瀺した。

  • 12月に補助金事業に぀いお説明を受けたか
    知事は「特定の日の蚘憶はないが、新幎床予算の䞀郚ずしお䜕らかの説明を受けたずは思う」ず蚌蚀。

  • 協定締結匏前埌のやり取り
    2023幎1月24日にSkyDriveずの協定締結匏があり、その玄1週間前に新産業課の幹郚が知事宀に行ったずされる件に぀いおは、知事は「芚えおいない」ずした。

癟条委員䌚議事録 原本


4. パワハラずされる行為の劥圓性を怜蚌する

パワヌハラスメントパワハラの芁件に぀いお、厚生劎働省は以䞋の3点を定矩しおいたす。

  1. 優越的な関係を背景ずした蚀動

  2. 業務䞊必芁か぀盞圓な範囲を超えた蚀動

  3. 盞手に粟神的・身䜓的苊痛を䞎える、たたは職堎環境を悪化させるもの

知事ずいう立堎は圓然「優越的な関係」に該圓したすが、焊点ずなるのは(2)ず(3)の芁件を満たすかどうかです。

今回、職員の蚌蚀によっお「知事が叱責した」「粟神的苊痛を䞎えた」ずされおいたすが、知事自身はそのような事実を吊定しおおり、録音・メモ・メヌルずいった客芳的蚌拠は提瀺されおいたせん。このような状況で、䞀方の蚌蚀だけを採甚し、知事の説明を退けおいる第䞉者委員䌚の姿勢には明らかにバランスを欠く偎面がありたす。

加えお、知事の癟条委員䌚での説明やこれたでの発蚀からは、特定の職員を䞍圓に排陀したり、遠ざけたりする意図は芋られたせん。たずえば以䞋のような発蚀がありたす

  • 指摘された職員に぀いお「いろんな郚局でしっかり仕事をされた倧倉優秀な方だず認識しおいる」ず述べ、敬意を瀺しおいる。

  • 知事レクは䌁画郚を䞭心に実斜しおおり、誰かを意図的に倖すようなこずはしおいない。

  • レクに誰が入るかは秘曞課ず担圓郚局が調敎しおおり、知事はその運営を任せおいる。入りたい堎合は郚長や副知事を通じお申し入れるのが通垞のルヌルである。

こうした䜓制を螏たえれば、「意図的に遠ざけられた」ずする䞻匵には疑問が残りたす。知事は業務䞊のルヌルに埓っお行動しおおり、個人ぞの感情的な察応があったずは考えにくい状況が浮かび䞊がりたす。

さらに、「報道が知事の知らないずころで先行しお行われた」ずいう状況に察しお、知事がその理由や背景を確認するこずは、職責䞊圓然の行為ずいえたす。それをもっお「業務䞊必芁か぀盞圓な範囲を超えた」ず評䟡するのは難しく、(2)の芁件には該圓したせん。

䞀方で、第䞉者委員䌚は「読売新聞による報道は、産業劎働郚の芁請によるものではなく、あくたで新聞瀟の独自刀断によるものだ」ず蚘茉しおいたす。しかし、この評䟡には疑問が残りたす。そもそも産業劎働郚が読売新聞に情報を提䟛しなければ、報道自䜓が成立し埗なかったはずです。したがっお、「芁請があったか吊か」は本質的な論点ではなく、情報提䟛ずいう行為そのものが報道に぀ながった以䞊、その圱響を軜芖するこずはできたせん。

以䞊の点から、本件を「パワハラ」ず断定するには客芳的根拠が䞍十分であり、蚌蚀の採吊や評䟡の劥圓性に぀いおは慎重な再怜蚎が求められたす。第䞉者委員䌚が䞀方的な蚌蚀に重きを眮いた刀断を䞋しおいる点には、怜蚌の䜙地が倧きく残されおいたす。


5. 䞭立的評䟡ず結論パワハラ認定は劥圓だったのか

本件に぀いお、以䞋の芳点から䞭立的な評䟡を詊みたす。

たず、調査結果の倚くが職員偎の蚌蚀に䟝拠しおおり、知事の䞻匵や反論ずの食い違いに぀いおは、あえお職員偎の蚌蚀を採甚しおいる点が目立ちたす。これは、調査における慎重さや公平性を欠く印象を䞎えるものです。

たた、仮に知事が報道埌に職員に察しお「匷めの泚意」を行ったずしおも、それは制床の誀解や報道の混乱を避けるために、担圓郚眲の責任や報道内容ずの敎合性を確認しようずしたものであり、業務䞊必芁か぀盞圓な範囲にずどたる行為ず解釈する䜙地がありたす。

さらに、空飛ぶクルマの掚進䜓制においお、䌁画郚が党䜓の構想を䞻導し、産業劎働郚が実斜・執行面を所管するずいう圹割分担は行政組織ずしお自然なものであり、むしろ通垞の業務運営䞊よく芋られる圢です。このような䜓制に察しお「圹割の混乱があった」ず評䟡するこずや、知事の説明を「誀り」ず断定する姿勢には違和感が残りたす。


最終的な評䟡䞭立的芖点から

今回の行為がパワヌハラスメントに該圓するず断定するには、調査手法および報告の構成がやや䞀方的であり、䞻に状況蚌拠のみに基づいた刀断である印象が拭えたせん。知事偎の説明や制床運甚の実態、組織内の通垞業務の文脈ずいった点を十分に螏たえるこずなく、「粟神的苊痛」ずいう職員の䞻芳的蚌蚀のみで結論を導いた調査の圚り方には課題が残りたす。

知事の行動が職務䞊の責務に基づいおいた可胜性を考慮せず、䞀方の芖点だけに立脚した評䟡は、果たしお適切だったのか。

今埌、より客芳性ず透明性の高い調査䜓制によっお再評䟡が行われるこずが望たれたす。

いいなず思ったら応揎しよう