TSMCの最高機密CoPoS投資の本命 | 対価は層の底へ沈んでいた
2026年6月、TSMCの次世代の先進パッケージCoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)をめぐって、二つの資料が立て続けにXのタイムラインに流れてきた。
一枚目は、CoPoSの試作ラインに入る、装置メーカーの一覧だった。露光、研削、モールド、検査。工程ごとに、どのメーカーのどの型番が選ばれたか。
このリストを上から読むと、露光はキヤノン、コーティングは東京エレクトロンとSCREEN、研削はディスコがほぼ総取り、モールドはTOWA。最先端AIチップのパッケージングラインの骨格が、日本に上場する会社で埋まっている。
台湾の投資家がこのリストに群がり、台湾の中小型株を物色するなか、日本人投資家にも投資の入り口が開いている。それだけでも、十分に面白い話ではある。
だが、半導体アナリストの郭明錤 (Ming-Chi Kuo) がシェアした二枚目の資料を見て私は考え込んだ。
Breaking down TSMC's glass core substrate slide
— 郭明錤|Ming-Chi Kuo (@mingchikuo) June 18, 2026
On June 11, at JPCA Show 2026 in Japan, TSMC gave a roughly 40-slide presentation titled "Advanced Packaging Technology Essential to the Evolution of AI" (AIの進化に不可欠な先端パッケージング技術). One slide from the deck, titled… pic.twitter.com/QegDEOM6Nd
6月11日、日本のJPCA Showで、TSMCが見せた一枚の技術スライド。
「Glass Substrate Development for CoWoS」
装置ではなく、材料の話だ。地味で、専門的で、投資家の食指も動きにくい。誰もリストほどには騒がなかった。
長く半導体に投資していると、こういうときに嗅覚が働く。
派手なリストではなく、地味なスライドのほうに、本当の利益の流れが書いてあるんじゃないか、と。

何度も同じ構図を見てきた。受動部品のMLCCでも、後工程のOSATでも、表面のシリコンより、その下で物理がどうしても必要とする層のほうへ、利益は静かに溜まっていった。値段が派手に動くのは表面で、利益がしぶとく残るのは、たいてい誰も見ていない下の層だった。
(装置リストに載った、で株が動いてる。でも、利益がいちばんしぶとく残るのは違う場所では…)
CoPoSという名前を、頭から分解してみる。Chip-on-Panel-on-Substrate。チップを、パネルの上に、基板の上に載せる。市場が群がる装置リストは、真ん中の「P」、四角いパネルを作る工程の話だった。だが流出した二枚目のスライドが映していたのは、最後の「S」、ガラスの基板のほうだった。
先に結論を言う。CoPoSで顧客が進んで対価を払うのは、丸を四角にする「P」ではない。チップの計算能力を引き上げる「S」だ。そして、その「S」を支える物理的な希少性は、AIに「生成して」と頼んでも出てこない。しかも、その担い手もまた、多くが日本に上場している。
本稿ではまず、装置リストの「P」を6つの層に分けて、一社ずつ点検する。そのうえで本丸の「S」へ、さらにその底のメタライゼーションへと降り、対価が最後にどの層へ染み込むのかを突き止める。企業リストという入口ではなく、顧客が何に対価を払うのか、という出口から、このテーマを設計し直したい。
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