飾らない声で|詩
マンションの朝 各戸から
くしゃみやら えづきやら ご下風やら
さながら 動物園か
音のしない車が こわいように
音のしないマンションも こわい
音のしない人間は もっとこわい
だから 時には 大きな声を
腹の底から 出したらいい
そんな時に人は なぜ海に行くのだろう
海は 全部を受け止めてくれるような
淡い期待が あるかもしれない
ただ都会では カラオケボックスくらい
声を出すにも お金がいる
大きな声を出そうと オロオロ歩く
声をあげる場所を 選ぶ時代
息を大きく吸うこと そして
ワッと オオッと アーアーと
吐き出すこと 忘れないで
案外と その声を待つ人が
すぐ側に いるかもしれない
さぁ 腰に手をおいて ワアッといこう
その飾らない声で
