【サステナ担当のための実務ガイド】国内で使える主な「証書」の違い、どう使い分ければよいのか?
脱炭素・再エネ調達を進める企業にとって、
「証書」をどう選び、どの基準に活用できるのかは日常的な悩みどころです。
日本国内では現在、主に次の5種類が存在します。
非FIT非化石証(固定価格期間満了の非FIT電源)
FIT非化石証書
グリーン電力証書
再エネ由来のJ-クレジット
I-REC
名前は似ていますが、「使える場面」「認められる国際基準」「環境価値の扱い」はそれぞれ大きく異なります。
この記事では、各証書の特徴を、読み物としてスッキリ整理します。
■1|証書が増えた理由:電力の「環境価値」を切り分けて取引するため
発電された電力には、
・物理的な“電気そのもの”
・発電方法に応じて生まれる”環境価値(CO2ゼロなど)”
の2つがあります。
電力小売りは環境価値だけを切り出して販売することができ、企業はこの“環境価値”を取得することで、CDP・SBTi・RE100などの国際基準に対応できます。
(余談ですが、私はこの「価値を切り離す」という概念を知ったとき目から鱗でした。なんならしばらく受け入れられませんでした。笑)
ただし、基準ごとに認められる証が違うため、正しい選択が必要になります。
■2|国内の代表的な証書とその違い
◎非FIT 非化石証書(再エネ+非FITの電源)
対象電源:FIT期間が終わった再エネ(太陽光・風力など)
主体:発電事業者
環境価値の種類:環境価値(CO2削減価値)
転売/ストック:不可
活用できる枠組み:
電気事業法(省エネ法)
CDP
SBTi
RE1OO
→実務的には、再エネ100%の証明にも使える最も扱いやすい国内証書。
◎FIT非化石証書(FIT電源由来のもの)
FIT電源には「一部国費」を含むため、利用価値に制限があります。
対象電源:FIT認定の太陽光・風力・バイオマス等
主体:広域機関(JEPX経由)
環境価値:環境価値
転売/ストック:不可
国際基準での扱い:
CDP・SBTi:NG(認められない)
RE100 : NG
→ FIT証書は「国内制度向け」であり、国際開示(CDP・RE100)では使えないことが最大の注意点。
◎グリーン電力証書(太陽光・風力など)
主体:日本自然エネルギー、各証書発行団体
環境価値:環境価値
転売/ストック:不可
活用可能:国内制度・CDP・SBTi・RE100
→非FIT非化石証書と同様、国際基準で問題なく使えるのが強み。
◎再エネ由来のJ-クレジット
環境価値ではなく「削減量(クレジット)」として扱うのが特徴
活用可能:CDP、SBTi
RE100では利用不可
→電気由来排出の代わりにクレジットを使用する用途に適している。
◎I-REC(国際再エネ証書)
主体:I-REC標準に基づく民間発行
環境価値:環境価値
転売:可(柔軟性が高い)
活用可能:CDP、SBTi、 RE100
国内法(省エネ法)には非対応
→外資系企業・グローバル企業で利用が多く、海外電源との組合わせや、海外拠点の排出削減証明でよく使われる証書。
■3|結局どれを使うべき?
サステナ担当者がよく悩む「基準ごとの違い」を整理
①国際ルール(CDP・SBTi・RE100)対応が必要なら...
非FIT非化石証書
グリーン電力証書
I-REC
この3つが確実。
特にRE100はFIT証書を認めていないため要注意。
②国内制度(省エネ法・温対法)のみで使うなら....
FIT非化石証書も利用できる。
ただし・国際開示も見据える企業”は、FIT依存は将来的に不利。
③CO2削減量として扱いたい企業は...
J-クレジットが選択肢。
■4|サステナ担当の実務で重要なポイント
◎ 証書には“環境価値”と”削減クレジット”の2タイプがある
非FIT/グリーン電力証書/REC →環境価値
Jクレジット→削減量(クレジット)
この違いを理解しておくと、認証要件とのミスマッチを避けられます。
◎ FIT証書は「国際的な再エネ証明」には使えない
理由:国費(賦課金)が含まれるため、「追加性」が弱いとされる。
◎I-RECは万能に見えるが、国内制度には使えない
外資・多国籍企業向けのソリューション。
◎証書は「アセット」ではなく「使い切り」
多くは転売不可、年度内使い切りであり、在庫資産として残せない。
■5|まとめ:証書は「目的別に選ぶ」ことで初めて価値が出る
サステナ担当として押さえておくべきポイントはこれです!
証者選びは“目的(どの基準に使うか)”から逆算することが最適解
国際開示が必要 → 非FIT・CDP・I-REC
国内制度だけ→FITも可
削減量を使いたいーノークレジット
海外拠点やグローバル展開 → I-REC
国際基準を見据え、長期的に追加性を高めたい→非FITまたはPPAとの併用
証書は、電力調達戦略のひとつのツールにすぎません。
最終的には「自社の排出削減戦略整合合するか」がすべてです。
