過去の肩書も、結果もいらない、「ありのまま」にシフトチェンジしたきっかけとは
私にこれまで積み上げてきたものがあるとすれば、それは、絵を描くことです。
油彩やパステル、パソコンでもイラストを描いてきました。
SNSで繋がる今の世の中、絵を描ける人は星の数ほどいるので、大したことはありませんが…😅
それでも、57歳の時のこと、
パートとして働いた学童保育で。
「これまで担当していた、美大卒のパートさんがお産で辞めちゃったから、お便りを作る人がいないのよね」
それを聞いて、思わず手を挙げました。
「ぜひ、やらせてください」
イラストソフトを使えば、自分にも出来ると思ったのです。
美大卒ではありませんが、似たものは作れるはず。
さっそくお便りをHPにアップすると、周りに驚かれました。
特技を活かせたことが嬉しくて、
「これが私のやりたかった仕事だ」
なんて思っていたら、主任がいきなり、
「一人じゃ大変でしょ」
「え?」
「もう1人やりたいって人がいるから、来月号は彼女に任せて」
驚きました。
彼女というのは28歳、
在宅ワークの合間に、週二日だけ働いているパートさんです。
「パソコンは専門学校で学んだので」
という彼女が作ったお便りは、Wordで作成されていました。
イラストは無料素材を使い、しっかりとした出来栄え。
悔しいような、悲しいような。
私の技術も、練習の積み重ねの上にあるんだけどなぁ…
彼女の自信にすっかりやる気を失った私は、彼女に担当を譲りました。
その後も色々あって、結局、仕事を辞めたのですが。
一月ほど経った頃、
仲良くしていた60代のロングパートのカオリさん(仮名)から連絡がありました。
「ちょっと会って話さない?」
カオリさんは、堂々とした雰囲気のある女性です。
学童保育の経験はないけれど、定年まで会社員をやっていた主婦さん。
ドリンクバーの紅茶をたっぷり入れ、じっくり話す気満々の彼女は、シートに深く寄りかかり、
「それでね、あの後、反乱があったのよ」
「反乱ですか?」
「主任に仕事を邪魔されるって、他の社員が社長に文句を言ったの」
主任を除いて、社員は男性も含めて3人。
「パートがでしゃばりすぎて、やりにくいってね」
主任は、権力が一人に偏るのは良くないと言い、
「パートも社員も関係なく、みんな同じ仕事をやりましょう」
というスタンスだったので、それが気に入らなかったようです。
「それで主任が〇〇さんに変わったわけ。」
「〇〇さんですかぁ」
彼女はなかなかにクセのある人です。
「私は折り紙が得意たから、子供たちとよくやってたじゃない?」
「はいはい」
「そしたら、新たに『折り紙専用コーナー』ができちゃって、〇〇さんが仕切るようになったの」
「へえー」
「おかげで私、活躍する場を失っちゃった」
紅茶を片手に、カオリさんは大きくため息をつきました。
そこで私も、
「お便りの仕事を二人でやって」
と言われて悔しかった話をしました。
「そうなんだ」
「なんで彼女は、『やりたい』って言ったんでしょう」
「それはやっぱり、負けたくないからじゃない?」
確かに、そんな雰囲気は感じたけれど…
「六十坂さんは、若い頃に塾講師をやってたって言ってたでしょ」
「はい」
「彼女、教員免許を持ってるから、プライドが許さなかったのかも」
そうは言っても、私はもうおばあちゃんです。
「あのさ、怒らないでね。六十坂さんて、『下に見られがち』なタイプだと思うのよ」
びっくりしました。
まさにその通り…
「自分より下だと思ってた相手が、自分より目立つと気になるものよ」
もはや、頷くしかありません。
「私もカオリさんみたいに堂々としていたいんですけど」
するとカオリさんはアハハと笑って、
「だって、私は隠さないもの。内でも外でもあまり変わらない。」
「そのまんまでも、いいんですか?」
「むしろ、歳をとったからこそ、そのままでいいんじゃないの?」
その言葉に、何かがふっきれました。
隠したいことも、
自慢したいことも、
こだわっても苦しいだけ。
「過去にこだわらない、ありのままでいい」
それが、その後の人生の転機になりました。
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