劇場で観る「グラン・ブルー完全版4K」
【 1989年8月 】
「〇〇さん「グラン・ブルー」は観ました?」
「いやまだ観てませんね、その映画」
「この夏一押しですよ、リュック・ベッソン」
「そうですかぁ…、今度借りて観てみます」
某量販店の女性バイヤーの工場視察をアテンドし、
視察終了後に一緒に食事をした帰りの車中で
こんな取り留めのない会話をしていた。
(グラン・ブルーかぁ…)
次の休日にレンタルビデオ屋に走った。
VHSテープをビデオデッキに挿入する。
2時間半後・・・
「私のお気に入り映画ベスト10」の一本になった。
【 リュック・ベッソン初期作品のオープニング 】
「Subway」の地下道、「Le Grand bleu」の海面、
「Nikita」の歩道、「Leon」のセントラルパーク。
カメラが足元や地面、海面など地表に近い部分を前へ前へと
高速で移動しながら映し出し、徐々に画角が上がって行って
そこがどこか、何に向かっているかが分かってくる。
どの作品もワクワクするオープニングだ。
【 劇場で初めて観る「Le Grand Bleu」】
「グラン・ブルー」は “My Best Movie” の一本となり
繰り返し見たかったので後にDVDも購入した。

しかし実は映画館で一度も観たことはなかった。
先日「エレファント」か「キング・オブ・ニューヨーク」を観ようと
シネマート新宿のHPを見ていたら、なんと「グラン・ブルー」の文字が
目に飛び込んできた。それも完全版4Kでの上映。即決こっちにした。
【 2025年9月3日 】
午前中から映画を観る幸せ。
罹病前は昼間から蕎麦屋で一杯やる幸せがあった。
色々な幸せのかたちがあっていい。



【 何度見ても泣いてしまうシーンが… 】
また、涙が出てしまった・・・
エンゾとジャックがどちらが長く息が続くかプールで我慢比べをやり、
二人とも溺れそうになってホテルの部屋に担ぎ込まれる。
呆れるジョアンナにジャックがイルカの写真を見せて「僕の家族だ」と
紹介する。「こんな家族がいるのは、僕だけだ」そう言って
ベッドに顔を埋めて泣き始める。
ジョアンナは優しくジャックの頭をなでながら
「泣かないで。私がいるわ」とささやく。



だめだ、また泣いてしまった。
映画館は暗くて助かる。だから好きなんだ。
【 この映画は・・・ 】
この映画は最初から最後まで海の物語だが、その海は
広く青い海原ではなく、深く暗い人間の限界深度の海だ。
海面上を水平に疾走などせず、垂直に潜り浮上する。
その深度は精々110m前後。地上ならハードル走一本分の深さしかない。
その深度を1m単位で命を賭けて競う。
タオルミナで記録を出したジャックを讃えながらエンゾが手に持った
1mのメジャーを見せながら言う。「お前が勝ったのはたったこれだけだ。
次に俺が記録を出すまで持っていろ。」メジャーをジャックに手渡す。
そんなフリーダイビング競争の物語以上に家族の物語でもある。
理由は不明だがジャックの母親は夫と子供を残して
生まれ故郷のアメリカへ戻ってしまっている。
その父親も海の事故で死んでしまった。
叔父以外に血縁者はおらず友人もいない。
エンゾは典型的なイタリアの大家族の長男だ。
母親にはからっきし頭が上がらないが、
いつも家族のことを気遣い心配りをしている。
保険会社手配のダイバーを座礁船から救出したことで
大金を得て、弟が「何に使おうか?」と言った時、
「車を塗り替えろ。安ければ二度塗りしろ。
ママにはロザリオ、妹にはドレス、おまえはスーツを買え」
と自分は何も買おうとしない。その代わりに一つ指示を出す。
「フランス人を探せ」と。23年経ってもエンゾは忘れていない。
エンゾとジャックは幼馴染でライバルで兄弟なのだろう。
そうこの映画は、海(居場所)と家族と親友の話だ。
この三つの糸を撚って一本の縦糸にしたところに
ジャックとジョアンナの関係性を横糸に織り込んで
複雑で繊細、鮮やかな色彩の美しい模様を描き出している。
そこにエリック・セラの美しい旋律が重なり、観る者の心情を
時に大きく、時に小刻みに揺さぶってくる。
冒頭のシーンでまるで海の中にいるような感覚に包まれるのは
そんなエリック・セラの音楽の成せる技だ。
【 映画を観ながら独り言を 】
・さすが4K、発色がきれい。ルックがまるで違う。
・シネマートの音響、好き。会話が明瞭で聞きやすい。
・1965年、子供のジャックがギリシャの海の中でウツボに餌を
与えるシーンは音を小さく少なくしている。海の中にいるよう。

・子供時代はモノクロ
・ジャックの父親が潜水装置が壊れて水漏れし、海底へ沈む。船上に
ジャックの悲鳴が響き渡る。それを目撃したエンゾが頭を抱えるアップ

場面転換 → 1988年シシリアのとあるタベルナに一人の男が座っている。
後ろからカメラが迫り、横に回り正面の顔を映す。大人になったエンゾだ

・人生に大切なモノは 1.健康 2.家族 3.少しの友人(個人的見解です)
・とにかくパスタ。それも超シンプルパスタ。ペペロンチーノかな?
どのパスタ皿にも超大盛でサーブされてくる。食べてみたい。
海の幸パスタのレシピが書かれている皿がほしい

・この映画、ギリシャに始まりギリシャに戻る
・その同じ海に父親と親友を奪われるという悲劇
・海とイルカに愛された男の、人間世界で起こる悲劇にも見える
・ジャックを一番愛していたのはエンゾではないか?
ある意味ジャックとエンゾは兄弟以上の兄弟だ
・エンゾ兄弟のルパン三世感は半端ない

→ ボロボロのフィアット500(チンクエチェント)を
金持ちになっても再塗装(真っ赤)して乗り続けている

・「20年間であの1回だけ一緒にいなかった…」と悔やむロベルト。
・イルカに誘われて深く暗い海に入っていくジャック。
身重のジョアンナの元には帰らないの?
男はホント、勝手だなぁ・・・
・そういえばこの映画では海に沈んでいくのは「エンゾ」
タイタニックでは「ジャック」だったな(頭をよぎっただけ)
【 リュック・ベッソン考 】
「レオン」をピークとしてその後については
個人的には好きな作品にはめぐり会えていない。
エレナ、ジョアンナ、ニキータ、マチルダと
各作品に魅力的で個性的な女性を登場させて
物語をミルフィーユの如く薄く多層に重ねて
密度濃く、しかししつこくならないように
描き切る手腕はすごいなと感心した。
どの作品も互いに求めあう愛とは裏腹な、
どこか人間の寂しさや悲しさが滲むような
そんな湿った情感を感じさせられる。
ハリウッドに寄りすぎない若い頃の作品のような
仏 or 伊映画チックな作品はもう作らないのかなぁ…
【 暑いとこんなメニューばかり食べてしまう 】

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