帰省しない若者と中国式家庭怪談
中国では今週末から、一年で最も大切な祝日である春節が始まります。街には大きなスーツケースを転がし、一足先に帰省する人々の姿が目立つようになりました。
しかし、この数年、この伝統行事にも変化が起きています。あえて実家に帰らない若者が増えているのです。
都会で働く地方出身の若者の間で、帰省したくない人が急速に増えている。近年、「恐帰族」(帰省恐怖症候群)や春節を「迷惑行事」と表現する新しい言葉が生まれている。そして、今年は新たに「断親」という言葉がSNSで注目を集め、話題となった。「断親」とは、漢字通り「親族との関係を断絶」のようだが、実際は「親戚との付き合いを嫌って、交流をしたくない」という解釈である
なぜ実家に帰らない若者が増えているのか。そのヒントになるのは、いま中国のショート動画プラットフォームで話題を読んでいる、中国式家庭怪談(中式家庭規則怪談)です。
現代の家庭が抱える「息苦しさ」。これらの作品を見終わる頃には実家に帰る意欲すら失せると言われています。

高鉄の切符を買って実家に戻ろうと思ったけど
見終わって切符をキャンセルした
この動画には一体何が表現されているのか。今回の記事では中国の怪談から見える、家庭の断絶を解説します。
恐怖のヘチマスープ
この家庭怪談というジャンルが確立されたのは @累子 という投稿者が世に送り出した『ヘチマスープ』シリーズです。
動画の主役は「ヘチマおばあちゃん」。彼女はヘチマスープを煮るのが大好きで、息子にスープを飲ませるためにあらゆる理由を並べ立てます。
「ヘチマスープは体にいい」「ヘチマは安い」「夏にヘチマスープを飲むのは最高…」。そして息子の拒絶に対して、彼女は耳を貸しません。

「いらない」
「夏にヘチマスープを飲むと最高よ」
「いらない」
繰り返される勧誘に息子が苛立ち、思わず怒鳴りつけると、彼女はこう結論付けます。「息子はイライラが強すぎる。イライラを鎮めるためにヘチマスープを飲ませなきゃ」
時には息子に対しヘソを曲げることもあります。
「勝手にしなさい。もう二度とあんたの世話なんて焼かないから」
しかし翌日になると何事もなかったかのように、また飽きることなく息子にヘチマスープを勧めるのです。
この「ヘチマおばあちゃん」と息子のやり取りは多くの反響と共感を生みました。

私の母も全く同じことを言いました。私は抗うつ薬や抗不安薬を飲んでいる状態なのに、ある時どうしても感情が抑えられなくて怒ったら、彼女はすかさず「あんたはイライラが強すぎる」と言い放ったのです。もうお手上げ

「ネットが発達していない時代に、どうして全国の親たちの教育観がこれほど一致したのか、今でも理解できない」
「本当に怖い。これほど広大な中国なのに、親たちはみんな同じ思考パターンを持ったNPC(ノンプレイヤーキャラ)のようだ」

「保存した。ホームシックになるたび見ます」
「見終わると、ホームシックが一瞬で治る」
「すごくリアル」
ヒットすると、すぐさまミーム化されるのも現代中国社会の特徴です。

「ヘチマおばあちゃん」の行動の本質は、親による子供への自己愛的な養育です。
彼女は、息子が本当にヘチマスープを必要としているかを気にしているわけではなく、ヘチマスープを愛の象徴として扱っています。
彼女は一方で母親としての価値を確認し、もう一方では、自分の中の満たされない「誰かに認められたい」「必要とされたい」という渇望を満たそうとしています。
そして現在、ヘチマスープという言葉は親が善意で押し付けてくる、子供にとっては苦痛でしかないモノの代名詞として使われています。

私の子供の頃のヘチマスープはナツメとホウレンソウでした。そして今の私のヘチマスープは、男を見つけて結婚すること
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