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PTAの業務効率化 〜Codexに過去資料を一括で読み込ませて今年の計画を作成〜

PTA業務は「資料を読ませてから実行する」と一気に楽になる

CodexをPTA業務で使うなら、いきなり「今年の計画を作って」と頼むより、過去資料の読み込み、Planモードでの合意、実行の3段階に分けるのがうまくいく。

今回、卒業式に向けた記念品準備を題材に、この流れを試した。Google Driveの対象フォルダーへプラグイン経由でアクセスし、過去のPDF・Word・Excelを横断的に確認した。その内容を基に今年度のToDoと記念品の削減案を作り、別フォルダーへGoogleスプレッドシートとして保存した。

学校名、地域、フォルダーURL、正確な人数・金額・日付はこの記事では伏せている。ただし、作業手順はそのまま再現できるように整理した。

2026年8月時点で、ChatGPTデスクトップアプリはファイル、ブラウザー、プラグインを同じ作業空間で扱える。ChatGPT desktop app さらにMCP(Model Context Protocol)は、Codexを外部ツールやコンテキストへ接続する仕組みとして公式に説明されている。Model Context Protocol 今回のような「資料を読む→判断する→スプレッドシートを更新する」は、まさに相性のいい仕事だ。

今回やったことは、単なる表作成ではない

完成したのは、次の2タブだけのシンプルなスプレッドシートだ。

  • 年間の主なToDo、担当、期限、完了条件

  • 過去の記念品、参考単価、個数、合計、廃止予定

見た目だけなら普通の表だが、その前段でCodexに任せた作業はかなり多い。

  1. 誰が何を担当していたか

  2. いつ募集・見積り・承認・発注していたか

  3. どんな品目に、どの程度の費用がかかっていたか

  4. 包装、名入れ、仕分け、学校への引渡しなど、表に出にくい作業は何か

  5. 資料同士で数字や手順が食い違っていないか

ポイントは、AIに判断まで丸投げしなかったことだ。残す記念品、やめる記念品、学校へ確認する事項はPTA側で決める。一方、資料探しや転記、比較、表の整形はCodexへ寄せた。この線引きがあると、AIが一気に実務ツールになる。

Step 1|Google Driveの過去資料をまとめて読ませる

最初に、過去資料を格納したGoogle DriveフォルダーのURLをCodexへ渡した。プラグインでフォルダーへアクセスできることを確認し、ファイル一覧を表示させたうえで、編集禁止を明示してから中身を読み込ませた。

Google Drive APIは、ファイルやフォルダーの一覧取得と検索を正式にサポートしている。フォルダーIDを親として絞り込むことも可能だ。Google Drive API:ファイルとフォルダーの検索

ここで大事なのは、「全部要約して」だけで終わらせないこと。私は次の観点で比較させた。

  1. 誰が何を担当していたか

  2. いつ募集・見積り・承認・発注していたか

  3. どんな品目に、どの程度の費用がかかっていたか

  4. 包装、名入れ、仕分け、学校への引渡しなど、表に出にくい作業は何か

  5. 資料同士で数字や手順が食い違っていないか

実際に比較してみると、思わぬ発見もあった。過去の予算資料には、総額・主要品目合計・詳細合計で一致しない箇所があった。人が一つずつファイルを開いていると見落としやすいが、横断的に比較すると「会計へ確認すべきToDo」として拾える。これは単なる要約より価値が高かった。

途中で、最初のフォルダーには係の選出資料が多く、実際の進め方が十分に分からないことも判明した。そこで、別に見つかったスケジュール、マニュアル、打合せ資料、予算表も追加で読ませた。AIに渡す資料は、最初から完璧に揃っていなくてもいい。不足が見えた時点で、後から足していけばいい。

Step 2|Planモードで「やらないこと」を決める

資料を読み終えた後、すぐにはスプレッドシートを更新せず、Planモードで今年度版の設計を作った。

最初のドラフトは、承認ログ、ロードマップ、候補品のスコア評価なども含む立派なものだった。しかし、PTAの実働メンバーは少人数だ。全部運用すると、表を管理するための仕事が増えてしまう。それでは自動化どころか、仕事を増やしているだけだ。

そこで次の条件まで削った。

  • タブは「ToDo」と「記念品候補」の2つだけ

  • ToDoは細かな作業ではなく、主要タスクだけ

  • 候補品のスコア評価はしない

  • 廃止予定年度を候補一覧に直接持たせる

  • 個別の連絡担当は置かず、グループチャットで全体共有する

  • 数年かけて現物記念品を段階的にゼロへ近づける

Planモードが効いたのは、AIの案を実行前に遠慮なく削れたことだ。ここで担当区分、期限、廃止順序、承認方法まで固めたため、実行段階では迷いがなかった。

同じ仕事を再現するなら、次のように制約を先に書くとよい。

入力フォルダーの資料は編集しない。
出力は別フォルダーに新規作成する。
実働メンバーは少人数なので、主タスクだけに絞る。
今年度の方針をPlanモードで確定してから実行する。
作成後は、タブ数・期限・数式・保存先を再確認する。

Step 3|別フォルダーへ実行し、元資料を守る

計画が固まった後、Codexに実行を依頼した。元資料は読み取り専用のままにし、今年度用の別フォルダーへ新しいGoogleスプレッドシートを作成した。

この「入力と出力を分ける」は地味だが大事だ。過去資料を直接編集すると、何が原本で何が今年の判断か分からなくなる。特にPTAは担当者が毎年交代するため、原本を残すこと自体が引継ぎになる。

Google Sheets APIのbatchUpdateは、複数の更新を順番に適用し、無効なリクエストがあれば全体を失敗させる。更新はまとめて原子的に適用されるため、表の値、書式、入力規則を一貫して変更しやすい。Google Sheets API:spreadsheets.batchUpdate

実行後は、次を読み戻して検証した。

  • 指定した2タブだけになっているか

  • 主タスクが予定数に絞られているか

  • 個別連絡担当が残っていないか

  • 廃止予定年度が一覧で見えるか

  • 元資料ではなく、指定した出力フォルダーへ保存されたか

「作りました」で終わらず、完成物をもう一度読み込ませる。これだけで、かなり安心感が違う。

一度作って終わりではなく、会話で改善できる

最初の記念品一覧では、参考金額が「単価×人数」の文章になっていた。見た目は分かるが、個数を変えても合計を再計算できない。

そこで、単価・個数・合計を別列へ分離し、合計は数式に変更した。小計も自動集計にしたため、児童数や単価が変われば総額も更新される。Google Sheets APIでは値だけでなく数式もセルへ書き込める。Google Sheets API:セル値の読み書き

この修正は小さいが、実務ではかなり重要だ。生成AIの初稿は「完成品」ではなく、現場で使って初めて改善点が見える。違和感をそのまま返せば、列構成や数式まで直せる。使ってみて初めて見える改善点は、意外と多い。

自動化の本当の効果は、作業を減らす判断まで進められること

今回いちばん良かったのは、スプレッドシートが早く作れたことではない。過去資料を整理した結果、記念品そのものを段階的に減らし、作業量と費用を下げる議論まで進められたことだ。

従来の業務改善は、今ある作業を効率化しがちだ。しかし本当に効く順番はこうなる。

  1. その作業は必要か

  2. 残すなら、どこまで簡素化できるか

  3. 最後に、残った作業を自動化する

AIは3番だけの道具ではない。過去資料を横断的に読み、重複や不整合、作業負担を見える化すれば、1番と2番の議論にも使える。

PTAで試すなら、まず一つの定型業務から

CodexをPTAで使うなら、いきなり全業務を自動化する必要はない。卒業記念品、会議準備、年間行事、引継ぎ資料など、過去ファイルがまとまっている一つの業務から始めるのがよい。

手順はシンプルだ。

  1. 過去資料を一つのフォルダーへ集める

  2. 入力資料を編集しないと明記する

  3. Codexに一覧化と差分整理を依頼する

  4. Planモードで今年度の運用を絞る

  5. 別フォルダーへ実行する

  6. 完成物を読み戻して確認する

Codexには、手順や品質基準をSKILL.mdへまとめて再利用する「Skills」の仕組みもある。公式ドキュメントでは、スキルは必要になった時点で完全な手順を読み込む設計とされている。PTA向けの資料整理が毎年発生するなら、今回の手順を専用スキルにするのも次の一手だ。OpenAI:Build skills

PTA業務は、善意で引き受けた人に細かな事務作業が集まりやすい。だからこそ、AIで速くするだけでなく、やめる作業を決めるところまで進めたい。過去資料を読む、計画を人とAIで絞る、安全に実行する。 この3段階なら、専門知識がなくても始められる。


参考文献

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