幸せなのに切なくて、どうしたらいいんだろうね…夏
違うふたり
河川敷で、通り過ぎてく人々を眺めながらした会話。
私「みんな偉いなぁ」
彼「うん?」
私「みんな頑張ってそうに見える」
彼「えりちゃんも頑張ってるよ。僕が花丸あげる!
は・な・ま・る(手で花丸を描きながら)」
なんか泣けたし嬉しかったし、
やっぱり彼は私とは正反対の人だなぁと切なくもなった。
その日の夜、お風呂に入りながら
どうして嬉しかったのに切なくなったんだろう?と考えていた。

彼は責任感がとても強いので、彼氏として、男として、みたいな、役割を果たすことに意識が向いているように感じる。だから私のことも、「彼女として大切にする」という意識が強いのかもしれない。
それも彼の素敵なところで、私が惹かれた部分なんだけど、もう少し役割意識を外して
親友のようにただの人間同士の会話がしたかったんだなぁと思う。
「なんでそう思ったの?」
「そういう感覚、自分もなったことあるなぁ」
「それでいうと、こういう気持ちになったことはある?」
励まさなくてもいいから、
褒めてもらわなくてもいいから、
ただただ、気持ちを語り合いたかった。
彼といると、そういう切なさを感じることがよくある。
このことを伝えてみたりしてきたんだけど、
なるほど、と納得はしてくれつつも
深いところでは理解するのが難しそうな感じだった。
真面目な人だから、何を言ったら正解なのか
会話の正解不正解を考えてしまうようだった。
違うんだよなぁ、そういう表面的な話じゃなくて
ただ、「気持ちを語り合いたい」ってだけなんだけどなぁ。
届かないもどかしさ。
でもそりゃそうだよね、経験してきたことも考えることも全然違うわけだし
理解するのが難しいのは当然だと思う。
それなら私はそんな彼のことも受け入れるべきなのに、
彼は私に何も求めず、全てを包み込んでくれているのに、
私は彼に、もっとこうだったらいいなと思ったりしてしまう。
そんな自分が嫌な奴に思えて苦しくなる時がある。

結婚するということは
たったひとりの人生のパートナーを決めるということ。
そう考えた時に、私にとっては
同じ深さで語り合える人であることがとても大切なことだった。
彼は、私と出会ってから
自分の気持ちに目を向けたり、言葉にすることとか、そういう部分を意識するようになったと言ってくれた。
映画の感想を話す時も、
「あのシーンが良くて、えっと…ちょっと待ってね…!」
と一生懸命言葉を絞り出そうとしている姿を見て、彼は私のために変わろうとしてくれているんだと感じて泣けてきた。
でもそれを嬉しいと思うと同時に、
無理をさせてしまっているのではないか
無理しなくても頑張らなくても、彼は彼のままでいられる人と一緒にいた方がいいのではないか。
お互い、頑張らなくても自分らしくいられる相手が他にいるのではないか。
そう思ってしまう時もある。
幸せなのに切なくて、どうしたらいいんだろう…夏。
でも、希望なのは
お互いに向き合う姿勢を持っているということ。
たぶん、彼の方が全然大人だ。
分かり合えない部分があっても、
いつも逃げずに向き合おうとしてくれる。
それに、少なくとも今
私にとって彼は必要不可欠な存在で、
それを実感した出来事があった。
ある日の就寝前、横になって目を瞑った1分後ぐらいに
ふと、「男性の平均寿命は女性より少し短い」という情報を急に思い出した。
そしてその時、なぜか彼が先にいなくなることを想像してしまい
自分でも驚くほど涙がボロボロ溢れて、嗚咽するくらい泣いてしまった。
このことを友達に話したら、
「死んでほしくないって究極じゃない?」と言われて
私はこんなにも彼を必要としていたのか、
と気づいた。
彼がくれる愛は、無償の愛に近い気がする。
存在自体を肯定してくれるような感覚。
自分の存在自体を肯定してくれるってすごいことで、そこに私はものすごく救われている。
数ヶ月前、私の誕生日に彼とお出かけしたときのこと。
彼はずっと「今日は誕生日だねぇ」と、
ことあるごとに嬉しそうに言っていた。
私の家に迎えにきてくれた時も、駅のホームでも、電車の中でも。
その日は水族館みたいな場所に行ったのだけど、魚が私の方を向いて泳いできたときも
「ほら、魚も誕生日おめでとうって言ってるよ!」とか言う。
最初は、めっちゃ誕生日って言うやん!と面白くなってたけど
だんだんと、泣きそうになっている自分がいた。
自分以上に自分の誕生日を嬉しそうにしている人がいる。
自分の誕生日をこんなに喜んでくれる人がいる。
なんで…?
じーんとした。こんな体験は初めてだった。

私が欲しいものを、
彼は今は持っていないかもしれない。
でも、私が知らなかったものを
彼からたくさんもらっている。
彼と初めて出会ったとき、私はメンタルがかなり落ちていた時期だったから
彼と出会えたことで本当に救われたのだ。
ここ1年ほどかけて、少しずつメンタルが回復していたことに気づく。それは間違いなく彼のおかげだと思う。
今は関係を育てている途中。
どんな形であれ、いつかこの人とお別れする日は来る。
それはどちらかがこの世を去るときかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
今後のことはまだ分からないけれど、
彼が先にいなくなることを想像しただけであんなに泣いてしまったので
本当に大切に想っているということ、必要としていることは確かなんだと思う。
それが全てじゃん!と言われたら、確かにそうなのかもしれないけれど。
今度、初めて手紙を書いてみようと思う。
あなたは自覚してないと思うけど、
私がどれだけあなたに救われたか、ということもちゃんと伝えたい。

セミが鳴く理由
私はこのドラマが結構好きで、数年前に放送されてたんだけど
先月TVerで配信されていて久々に観たらやっぱり良かった。

恩返しのために人間の姿(山田涼介)になったセミが、さえない日々を送るアラサー女子(木南晴夏)の前に突然現れる。
地上で過ごせる最後の7日間、ふたりが心を通わせていく物語。
コメディーに見えて、意外と名言が多いのだ。
セミが人間の姿になって現れて、
「人間が生きているこの世界って、こんなに素晴らしいんだよ」って教えてくれるのだ。
このドラマの中で、セミ(山田涼介)はこう語っていた。
セミにとって、地上に出て生きられることは、とても幸運で幸せなこと。
だからこそ、生きられなかった仲間たちや、
これから外に出てくる仲間たちに、この世界の素晴らしさを伝えるために鳴いているのだという。
「なんて素晴らしい世界なんだ」
「生きることは素晴らしい」
そう歌うことが、世界に出ることができたセミたちの使命なのだと。
暑い夏、セミの声が鬱陶しく感じてしまっていたけれど、
こんな意図があるんだと思いながらセミたちの声に耳を傾けてみると、なんだか心が明るくなった。
生きているからこそ悩んだり、悲しんだり、切なくなったり、感動したり、幸せを感じたり、ワクワクしたり、色んな感情を感じることができる。
生きてるってすごいことだなぁと思う。
関わってくれる人がいるって、ありがたいことだなぁと思う。
二度と来ないこの瞬間瞬間を、
私は今日も、誰かと生きている。

