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いじめから離れても心の傷は消えない

「いじめがなくなったから、もう大丈夫。」
周囲の大人は、ついそう思ってしまうことがあるのではないでしょうか。

転校した。
進学した。
クラスが変わった。
新しい友達ができた。

いじめのあった環境から離れ、以前のような生活を取り戻したように見える。そして、大人も少し安心する。
でも、本当にそれで大丈夫なのでしょうか。

いじめの後遺症について、もっと多くの人に知ってほしいと思っています。いじめそのものがどれほど苦しいかは、想像できる人も多いでしょう。
けれど、その苦しみが、いじめが終わった後も長く続くことについては、まだ十分に知られていないのではないでしょうか。

環境を変えれば、目の前のいじめからは離れることができます。
でも、心に残った恐怖や不安まで、一緒に消えてくれるとは限りません。
ふとした言葉で当時のことを思い出したり、似たような場面に強い不安を感じたりすることもあります。
そして、何より難しいのは、子どもがその苦しみを大人に見せないことです。
被害に遭った子どもは、周囲の空気をとても敏感に感じ取ります。
「もう終わったことにしなければいけない。」
「心配をかけてはいけない。」
「普通にしていなければいけない。」
そんなふうに考えて、上手に振る舞うことがあります。

笑っているから大丈夫。
学校に行けているから大丈夫。
友達と話しているから大丈夫。
そんなふうに判断してはいけないのだと思います。

子どもは、傷ついた心を隠すことができます。
むしろ、周囲に心配をかけないように、一生懸命「普通の自分」を演じていることさえあるのではないでしょうか。
だからこそ、大人には見守る姿勢が必要なのだと思います。
「もう終わったんだから忘れなさい」ではなく、
「つらいことがあったら、いつでも話していいんだよ。」
そう伝えておくこと。
何も話さなくても、安心していられる場所をつくっておくこと。

いじめから解放されたことと、心の傷が癒えたことは、必ずしも同じではありません。
表面的には元気になったように見えても、その心の中では、まだ過去と闘っているかもしれない。
いじめが終わった「その後」も、子どもを見守ってほしいと思います。
周囲の大人が、長い目で寄り添っていくことが大切なのだと思います。


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