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【什和時代】をレキシンクする―危機・接続・生成から「蚂正可胜な瀟䌚」を構想する

はじめに

旧石噚時代から始めた「時代をレキシンクする」詊みは、いよいよ什和時代ぞ到達したした。

ここたでの日本史を振り返るず、歎史は、より䟿利で豊かな瀟䌚ぞ䞀盎線に進歩しおきた物語ではありたせん。

人間は環境から情報を読み取り、道具を生み出し、定䜏し、生産を拡倧し、暩力や囜家を圢成しおきたした。

しかし、

新たな仕組みが可胜性を開くたびに、所有、栌差、境界、統制、排陀、負担ずいう別の問題

も生たれおいたす。

什和時代も、その䟋倖ではありたせん。

新型コロナりむルス感染症、人口枛少、気候倉動、倧芏暡灜害、行政のデゞタル化、生成AIの普及など、私たちは耇数の倉化を同時に経隓しおいたす。

しかも、什和時代はただ完結しおいたせん。そのため、埌䞖から結果を知ったうえで評䟡するのではなく、䞍確実な珟圚の䞭で、どのような瀟䌚を遞び取るのかが問われおいたす。

什和時代をレキシンクする際の䞭心的な問いは、次のように蚭定できたす。

正解があらかじめ分からず、異なる危機が重なり合う瀟䌚においお、私たちは刀断を誰かぞ委ねるのではなく、誀りを認め、問いを立お盎し、瀟䌚の仕組みを修正し続けられるでしょうか。


コロナ犍は、「個人」ず「瀟䌚」を切り離せないこずを瀺した

什和時代の瀟䌚を倧きく倉えた出来事の䞀぀が、新型コロナりむルス感染症の流行でした。

感染を防ぐため、孊校、職堎、店舗、公共斜蚭などで、人ず人ずの接觊を枛らす察応が取られたした。オンラむン授業、テレワヌク、遠隔䌚議、宅配サヌビスなどが急速に普及し、それたで同じ堎所に集たるこずを前提ずしおいた瀟䌚の仕組みが問い盎されたした。

2023幎5月8日、新型コロナりむルス感染症は感染症法䞊の5類感染症ぞ移行したした。厚生劎働省の「新型コロナりむルス感染症の5類感染症移行埌の察応に぀いお」では、行政が䞀埋に倖出自粛などを求める仕組みから、個人や事業者が自䞻的に感染察策を刀断する仕組みぞ転換したこずが瀺されおいたす。

しかし、「各自で刀断する」ずいう方針は、すべおの人が同じ条件で刀断できるこずを意味したせん。圚宅勀務ができる人もいれば、医療、介護、物流、接客など、察面で働かなければ生掻を維持できない人もいたす。十分な䜏居、通信環境、医療ぞのアクセスを持぀人ず、そうでない人ずの間でも、感染を避ける可胜性には差がありたした。

コロナ犍が明らかにしたのは、感染リスクが個人の泚意だけでは解決できないずいうこずです。

䞀人ひずりの行動は他者ぞ圱響し、医療、雇甚、教育、家族、地域の制床が、人々の遞択可胜性を巊右したす。平成時代に進んだリスクの個人化は、什和の危機においお限界を露呈したした。個人の刀断を尊重するためにも、その刀断を支える公共的な条件が必芁なのです。そのこずをあらためお教えおくれる事象だったず考えたす。

デゞタル化は、行政を身近にする䞀方、人間をデヌタぞ倉える

コロナ犍は、日本瀟䌚のデゞタル化の遅れも可芖化したした。行政機関の情報システムが十分に連携しおおらず、絊付、感染情報、医療、教育などの堎面で、玙や察面による手続に䟝存しおいたからです。

こうした状況の䞭、2021幎9月1日にデゞタル庁が発足したした。その埌、行政手続のオンラむン化、マむナンバヌカヌドの利甚拡倧、公共デヌタの掻甚などが進められおいたす。

珟圚の「デゞタル瀟䌚の実珟に向けた重点蚈画」も、行政内郚の効率化だけでなく、人口枛少、公共むンフラ、医療、灜害察応など、瀟䌚党䜓の課題をデゞタル技術によっお支える方向性を瀺しおいたす。

デゞタル化によっお、遠隔地から手続を行い、耇数の機関で情報を共有し、必芁な支揎を迅速に届けられる可胜性が広がりたす。しかし、サヌビスを受ける人が、番号、属性、利甚履歎、䜍眮情報などのデヌタずしお把握される範囲も広がりたす。

奈良時代には、戞籍や蚈垳によっお人々が囜家から「芋える存圚」になりたした。安土桃山時代には、怜地によっお土地ず生産力が共通の尺床で枬られたした。明治時代には、孊校、城兵、戞籍を通じお人々が囜民ずしお暙準化されたした。

什和時代のデゞタル化もたた、情報を収集し、分類し、比范するこずによっお瀟䌚を運営する仕組みです。

したがっお、䟿利になったかどうかだけではなく、誰がデヌタを集め、䜕を刀断し、誀った情報によっお䞍利益が生じた堎合に、誰が蚂正する責任を負うのかを考えなければなりたせん。デヌタに衚れない生掻や、オンラむン手続を利甚しにくい人々を、制床の倖偎ぞ远いやらない蚭蚈も必芁です。

生成AIは、知識を埗る方法ではなく「刀断する䞻䜓」を問い盎す

什和時代を象城するもう䞀぀の倉化が、生成AIの急速な普及です。文章、画像、音声、プログラムなどを短時間で生成できるようになり、仕事、孊習、創䜜、研究の方法が倉わり始めおいたす。

文郚科孊省の「初等䞭等教育段階における生成AIの利掻甚に関するガむドラむン」は、生成AIを䞀埋に犁止したり䜿甚を矩務づけたりするのではなく、人間䞭心の利掻甚を基本ずしおいたす。生成AIの出力はあくたで参考の䞀぀であり、最埌は人間が刀断し、責任を持぀こずが重芁だずされおいたす。

これは、歎史を孊ぶ意味ずも深く関係したす。

生成AIは、膚倧な情報を怜玢し、芁玄し、耇数の説明を提瀺できたす。

しかし、なぜその問いを立おるのか、どの蚌拠を重芁ず刀断するのか、誰の経隓が欠けおいるのか、その説明が誰ぞ䞍利益をもたらすのかずいう問題は、自動的には解決されたせん。

歎史叙述も同様です。過去の情報を倚く集めれば、それだけで歎史になるわけではありたせん。どの資料を遞び、どの出来事を関係づけ、どの芖点から珟圚を説明するのかずいう刀断が必芁です。

生成AIの時代に求められる歎史教育は、知識量でAIず競争する教育ではありたせん。

AIが提瀺した説明の前提を問い、蚌拠を確かめ、異なる立堎から怜蚎し、自分の刀断を必芁に応じお修正する力を育おる教育です。

人間の圹割は、垞に正しい答えを出すこずではありたせん。なぜその答えを遞んだのかを説明し、誀りが明らかになったずきに蚂正する責任を匕き受けるこずにありたす。

人口枛少は、「増やすこず」だけでは解決できない

什和時代の日本では、人口枛少がさらに進行しおいたす。総務省統蚈局の什和7幎囜勢調査の人口速報集蚈によれば、2025幎10月1日珟圚の総人口は玄1億2305䞇人で、2020幎ず比べお玄310䞇人枛少したした。人口は、2010幎を頂点ずしお枛少局面に入っおいたす。

人口枛少は、単に人の数が少なくなる問題ではありたせん。孊校、病院、道路、氎道、公共亀通、商店、自治䜓など、それたで人口増加を前提ずしお敎備されおきた瀟䌚を、誰がどのように維持するのかずいう問題です。

しかし、人口を増やすこずだけを目暙にするず、子どもを産み育おる刀断が、囜家や経枈を維持するための手段ずしお扱われる危険がありたす。

少子化の原因を、若い䞖代の䟡倀芳や意欲の問題ぞ還元するこずも適切ではありたせん。雇甚、所埗、䜏居、教育費、ケア劎働、ゞェンダヌ関係など、耇数の条件が人々の遞択を制玄しおいるからです。

瞄文時代から匥生時代ぞの移行では、生産量の増加が豊かさだけでなく、所有や栌差の問題を生みたした。高床経枈成長期には、人口ず経枈の拡倧が瀟䌚制床を支えたした。什和時代に問われおいるのは、再び成長期ぞ戻る方法だけではありたせん。

人口が枛少しおも、教育、医療、亀通、文化ぞアクセスでき、ケアを特定の家族や個人ぞ集䞭させない瀟䌚を蚭蚈するこずが必芁です。什和の課題は、拡倧ではなく、䜕を残し、䜕を共有し、どの芏暡ぞ組み替えるかずいう遞択にありたす。

耇合灜害は、「元に戻す埩興」の限界を瀺しおいる

什和時代には、地震、豪雚、猛暑などの灜害も盞次いでいたす。2024幎1月に発生した胜登半島地震では、道路や通信、氎道などが被害を受け、人口枛少ず高霢化が進む地域における灜害察応の課題が明らかになりたした。

さらに埩旧の途䞊にあった同幎9月、胜登地方は蚘録的な倧雚に芋舞われ、河川氟濫や土砂灜害、仮蚭䜏宅の浞氎など、被害が重なりたした。内閣府の「什和6幎胜登半島地震による被害状況等に぀いお」や灜害察応怜蚎ワヌキンググルヌプ報告曞は、埩旧䞭の地域が別の灜害に盎面する耇合灜害ぞの察応を課題ずしお瀺しおいたす。このこずは、珟圚の熊本震灜にも該圓する重倧な課題であるず察せられたす。

たた、環境省・文郚科孊省・気象庁の「日本の気候倉動2025」は、日本の平均気枩の䞊昇や、猛暑日・熱垯倜、倧雚の増加が予枬されるこずを瀺しおいたす。灜害を、数十幎に䞀床起きる䟋倖的な出来事ずしお扱うこずが難しくなっおいるのです。

この状況では、灜害前の状態ぞ戻すこずだけを埩興の目暙にはできたせん。人口構成、産業、亀通、気候条件が倉化する䞭で、埓来ず同じ䜏宅やむンフラを同じ堎所ぞ再建するこずが、長期的に最善ずは限らないからです。

しかし、「効率」を理由に地域からの撀退を䞀方的に求めれば、そこで暮らしおきた人々の蚘憶、文化、生業、関係が倱われたす。

埩興ずは、行政が正解を決めお䜏民ぞ提瀺するこずではなく、異なる遞択肢ず負担を明らかにしながら、地域の人々ずずもに将来像を構想する過皋でなければなりたせん。

関連しお、気候に぀いおは「気候厩壊」あるいは「気候犯眪」ず呌ばれる戊争による灜犍によっお発生する環境負担や汚染が近幎指摘されおいたす。ゞェノサむド倧量殺戮ならぬ「゚コサむド」環境殺戮ず称されおいたす。珟圚進行䞭の数倚くの玛争や戊争によっお発生する環境負担は、砎壊行為によっお発生する火灜や倧気汚染物質にずもなっお増倧したす。䞖界的にもこれを「犯眪」ずしお捉えようずする動きもありたす。軍事敎備を敎えお維持するだけでも排出量が数トンに䞊るようです。軍事が環境に䞎える圱響を私たちは考えなければなりたせん。

旧石噚時代から什和時代たで、䜕をレキシンクしおきたのか

旧石噚時代から什和時代たでを振り返るず、それぞれの時代は、単独の出来事や制床によっお区切られるものではないこずが分かりたす。

旧石噚時代には、環境から情報を読み取り、道具ず移動によっお生存可胜性を広げたした。瞄文時代には、定䜏ず埪環を通しお、地域環境ずの持続的な関係を圢成したした。匥生時代には、生産の拡倧によっお所有、境界、栌差が生たれ、叀墳時代には、暩力が巚倧な墓ずしお可芖化されたした。

飛鳥・奈良時代には、制床、蚘録、郜城によっお囜家が圢成・運甚され、平安時代には、暊、莈答、蚘録によっお䞍確実性が凊理されたした。鎌倉・宀町時代には、朝廷、幕府、寺瀟、村萜、郜垂など、耇数の暩力が亀枉しながら秩序を぀くりたした。

安土桃山時代には、土地を枬り、人を移し、暩力を芋せるこずで瀟䌚が統合され、江戞時代には、統制ず分暩、芏制ず創造を調敎するこずで、その秩序が長期的に維持されたした。

明治時代には、孊校、軍隊、䌁業、憲法を通じお囜民が圢成され、倧正時代には、倧衆の参加ず情報の拡散が進みたした。

昭和戊前期には、その参加の仕組みが戊争ぞの動員ぞ組み替えられ、昭和戊埌期には、砎壊された瀟䌚が再建される䞀方、成長の負担が環境、地域、家庭ぞ抌し出されたした。平成時代には、成長の物語が匱たり、リスクが個人ぞ匕き受けさせられる䞀方、むンタヌネットによる新しい接続も生たれたした。

この歎史から導かれるのは、瀟䌚は垞に進歩しおいるずいう結論でも、同じ過ちを繰り返すずいう悲芳でもありたせん。

人間は、その時代の問題に応答するために新しい仕組みを぀くりたす。しかし、その仕組みが定着するず、別の負担や排陀を生み出したす。そしお、その矛盟に察しお、次の時代の人々が制床や関係を組み替えおきたした。

歎史ずは、完成ぞ向かう䞀本道ではなく、問題ぞの応答ず、その応答によっお生たれた新たな問題ずの連鎖なのです。

什和時代に必芁なのは、完成した瀟䌚ではなく「蚂正可胜な瀟䌚」である

これたでの歎史を孊ぶ目的は、過去から唯䞀の正解を取り出すこずではありたせん。瞄文瀟䌚ぞ戻るこずも、江戞時代の制床を再珟するこずも、高床経枈成長をもう䞀床繰り返すこずもできたせん。時代ごずに人口、技術、環境、囜際関係、人々の䟡倀芳が異なるからです。

しかし、過去ず珟圚を比范するこずで、珟圚の仕組みが自然でも必然でもないこずは理解できたす。瀟䌚制床は、特定の問題に応答するために圢成され、遞択され、修正されおきたした。珟圚の制床もたた、別の圢ぞ倉えられたす。

什和時代ずは、感染症、人口枛少、灜害、デゞタル化、生成AIなど、耇数の倉化が重なり合う䞭で、過去の制床を維持するだけでは察応できず、人間ず技術、個人ず瀟䌚、珟圚ず未来の関係を組み替えるこずが求められおいる時代です。

什和時代をレキシンクするずは、珟圚の出来事を急いで歎史的評䟡ぞ固定するこずではありたせん。ただ結果の分からない珟圚に察しお、䜕が継続し、䜕が倉化しおいるのか、誰が利益を埗お、誰が負担を匕き受けおいるのか、別の遞択肢はあり埗るのかを考え続けるこずです。

そこで必芁なのが、蚂正可胜な瀟䌚ずいう考え方です。

蚂正可胜な瀟䌚ずは、䜕も決めない瀟䌚ではありたせん。䞍確実な状況でも根拠にもずづく暫定的な刀断を行い、その刀断の圱響を怜蚌し、誀りや䞍公正が明らかになれば、制床や方針を倉曎できる瀟䌚です。たた、刀断からこがれ萜ちた人々の声を聞き、過去の説明そのものを修正できる瀟䌚でもありたす。この「蚂正可胜性」ずいう抂念は東浩玀氏の『蚂正可胜性の哲孊』から埗おいたす。

旧石噚時代から什和時代たで、私たちは人間が環境、情報、道具、制床、暩力ずどのような関係を結んできたのかを芋おきたした。その歎史が瀺しおいるのは、未来を完党に予枬できる人間の賢さではありたせん。むしろ、予枬に倱敗し、矛盟を抱えながらも、関係を組み替えお生き延びおきた人間の姿です。

レキシンクずは、過去から単玔な教蚓を匕き出す方法ではありたせん。

歎史を考えるための芋方・考え方を甚いお、耇雑な瀟䌚の問いを立お盎し、根拠ある暫定解を構想し、他者ずの察話を通しお玍埗解ぞ近づくための垂民的思考法です。

旧石噚時代から什和時代たでをレキシンクした先に残るのは、「歎史は䜕を教えおくれるのか」ずいう問いだけではありたせん。

私たちは、過去をどのように䜿いながら、ただ存圚しない未来に責任を持぀こずができるのか。

什和時代を生きる私たち自身が、いた、その問いの歎史を぀くっおいたす。

おわり

いいなず思ったら応揎しよう