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魔法の時間

私は今、魔法の時間を生きています。
今までに経験したことのない時間です。
ゆったりと、おだやかにその時間は流れています。
せわしない時間を過ごしてきた私にとっては、慣れない時間の流れです。
こんな時間の流れのなかで、生きることが出来るなんて。
まるで夢の中にいるようです。

7月1日からグループホームに入居する予定だった、知的障害の長女ほかろんが、1日に体調を崩し、週末は自宅で静養、ああ、もはや、ほかろんはこのまま、自宅生活になるのかと、おどおどしていましたが、なんと、週明けにしっかりと立ち直り、送迎サービスの迎えの車に乗り、生活介護に向かったのでした。
そして夕方には、グループホームへ。

その前の日、ほかろんが聞きました。
「あしたおとまりじゃないよね。」
私はドキッとしましたが、平静を装い、
「明日からグループホームにお泊りです。金曜日に帰ります。」とさりげなくはっきりと言ったのです。
ほかろんは何も答えず、黙ってましたが、次の朝、金曜日までの薬の袋を持って、出かけました。
「荷物は持って帰ってこなくていいよ。もう、あそこはあなたのお部屋だから。」と言ったのですが、
「もってかえってくるよ。」などど言うものですから、今回も体験お泊りだと勘違いしているのかしら。
「7月からグループホームで生活して、月曜日に行って金曜日に帰ります。」と説明していたのです。
私の説明がよくわからなかったのかしらと少し心配になりましたが、まあ、その辺は、また金曜日に帰ってきたときに、考えよう。

というわけで、ほかろんがグループホームで生活しているものですから、私は、自分のペースで、自分の歩調で、生活しているわけです。
これまで、3カ月にわたって、グループホーム体験お泊り、四泊五日を繰り返してきたことで、ほかろんはもちろんのこと、なんと私まで、しっかりと一人での生活に慣れることができ、このゆったりした魔法の時間を過ごせているというわけです。

一番初めの体験のときは、もう、私は胸が張り裂けそうで、罪悪感に押しつぶされそうで、心がひりひりして、のんびりなんてしていられなかったものですが、いまや、自分の心をのびのびさせて、ぼーっとして、ゆったりできるようになりました。

障害者の母の心はいつもせわしなく、はらはらしていて、落ち着いていることが出来ないものだと思っていましたが、信頼できる支援の方々に恵まれ、ほかろんを手放すことが出来た今、自分の生活ができるようになったのです。

そしてほかろんは、グループホームでとてもがんばって、一人でできることは一人でやっているそうです。
私が思っているよりも、ずっと、大人なんですね。

これまでの私は、白か黒か、0か100かみたいな、思考しかできず、自分が自由になれるのは、ほかろんか私が死ぬときだけかもなどと、悲観的でした。
でも、「ほかろんはほかろんの生活をする」、「私は私の生活をする」、「週末は親子で生活をするという」パターンを、作り上げていくことで、新しい形の生活ができるというところにたどり着きました。

新しいこと、環境の変化が苦手なほかろん、まだまだ、落ち着くまでに時間はかかることでしょうが、何でも始めて見ないと始まらないのです。
ゆっくりおだやかな時間を過ごせている私は、心にすこーし余裕が出来て、ゆったりおだやかに進めて行こうと思えるようになりました。

新しい老障介護の形です。
これからどうなりますやら。
楽しみでもあり、すこしどきどき。

ヘッダーは「モモと時間泥棒」より

今日の気持ちの音楽

ミスターロンリー  溝口肇version

ジェットストリームのテーマ曲、ミスターロンリー。
色々な、versionがあるけれど、私はチェロの溝口肇さんのが好き。
「世界の車窓から」の溝口さんも好き。

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