おさがりの着物から見えた、タイパとコスパの反対側| #未来のためにできること
今だけでなく、自分だけでなく、お金だけでもなく。
価値観の物差しを広げた先に、新たな豊かさがあることを私は知った。
きっかけは、義母から届くおさがりの着物だ。
面倒くさがりな私にとって、着物なんて「タイパもコスパも悪いもの」でしかない。成人式さえ、親が勧めた振袖を断ってスーツで出席した。
二百人近い参加者で、スーツ姿は私だけだったが、むしろ清々しかったくらいだ。
しかし私は貧乏性でもあり、おさがりが四十着を超えてくると、「これはさすがにもったいないのでは…」と思うようになった。
そんな頃に、「着物でおでかけしようよ」という同僚のお誘いなど小さなきっかけも重なって、今年ついに着付けを習い始めた。
洋服なら十秒で済む着替えは、着物だとうまくいっても二十五分はかかる。正絹の着物なら、クリーニング代でファストファッションの服が数着買えてしまう。
タイパやコスパは相変わらず悪い。
それでも着物の奥深さ、そこに息づく日本文化や職人さんの想いに触れることは、思いのほか楽しい。新しく学ぶ知識や新しい趣味で出会う人など、少しずつ自分の世界も広がっていく。
ふと私は仕事でも、同じようなことをしていると気づいた。
私が関わるEarth Companyでは、企業や学校に越境体験を通じた研修を届けている。効率よく知識を得る研修ではなく、身体で感じ、価値観そのものが揺さぶられるような体験だ。参加者はそこで自分の物差しを問い直し、新たな価値に気づいて帰っていく。
現代はタイパやコスパ以外にも、「●●パ」が次々と生まれるように、効率や費用対効果が大人気だ。でもその土台にあるのは、「今だけ、自分だけ、お金だけ」という物差しだ。
着物も、その物差しでは価値を見出すのは難しい。だから街でも着物姿はほとんど見かけない。
でも着物は、効率や費用対効果を超えて、今私の心を彩ってくれている。
いつもの価値観、いつもの物差しの外には、いつもは気づかない「豊かさ」があった。
「今だけでなく、自分だけでなく、お金だけでもない物差し」で語り、そこにある豊かさを体現して未来につないでいくのは、私にできる小さな一歩ではないだろうか。
そんなことを思いながら、私は次に着物をいつ着ようか考えている。
20歳の私が知ったら、驚いて声も出ないだろう。
vol.2は、Earth Company インパクトアカデミー担当 小松でした👋
次のバトンへ、続きます。

