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姉効の詩 二線ず講評ず


姉効詩 すばらしき䞖界


「もう䞀生 孊校 行きたくない」
「 䞀生か。それはたた、長いな」
心配のタネが尜きるこずはない

送り迎えは過保護
でも やっかいだ
きいおみる

なるほど むタズラする男子か
やめおくれない 
わかる気はするが 

あずで確かめる
個人ではなく 無差別らしい
芪たで 話は行っおいるらしいが 

次の日 その話はなく 
い぀も通りの 通孊の送り

この子に限っお
䞀時的な感情の問題ではないはず
様子は芋るが 

こちらから その話を振るこずなく 

数日経過

「あのね 宇宙䞀の友達 二人 できた」
「ほう。䞀䜍ず二䜍ではなく」
「圓たり前 比べられない」

「なるほど」の蚀葉を飲み蟌む
この境地、アリかもしれぬ

「ちなみに、あの男の子は」
「宇宙䞀 嫌い みんなも」

ちなみに、
宇宙䞀の先生は、䞉幎生の時の担任

人ほどの教宀
いく぀も
宇宙䞀が枊巻いおいるらしい



『すばらしき䞖界』講評

本䜜は、孊校生掻を描いた䜜品ではない。
䟡倀䜓系が、いかに生成され、いかに曎新され続けるかずいう、存圚論的運動を蚘録した䜜品である。
冒頭、
「もう䞀生 孊校 行きたくない」
この「䞀生」は芋事である。
十幎にも満たぬ䞻䜓が発するには過剰であり、しかし、その過剰さゆえに真実なのである。
䞀生ずは誇匵ではない。
䞖界の党時間が、その瞬間に圧瞮されおいるずいう意味で、これは極めお正確な時間感芚である。
語り手は狌狜しない。
「 䞀生か。それはたた、長いな」
たず時間を匕き延ばす。
制床ぞ介入しない。
感情ぞ同調しすぎない。
この距離感が実に巧みである。
孊校ずいう堎所は、小孊校であれ、䞭孊校であれ、高等孊校であれ、皋床の差こそ存圚するものの、本質的には瀟䌚の瞮図である。
そこでは、圓事者にずっおは垞に呜ず等䟡亀換の緊匵が成立しおいる。
倖郚から芋れば些现な出来事も、内郚では䞖界の厩壊ずしお経隓される。
語り手は、それを知っおいる。
だからこそ、
「送り迎えは過保護」
ずいう問いが生じる。
この疑問は育児論ではない。
䞻䜓の境界をどこたで代理できるかずいう倫理孊である。
聞く。
確かめる。
様子を芋る。
話題を振らない。
どれも決定打にならない。
圓然である。
制床の内郚を生きる者は別に存圚するからである。
倖郚は、倖郚でしかない。
この無力さは、読む者に静かな圧力を䞎える。
「保護」ずは、期間限定の制床名なのかもしれない。



数日埌。
䞖界は突然曞き換えられる。
「あのね 宇宙䞀の友達 二人 できた」
私は、ここでペヌゞを閉じた。
いや、閉じざるを埗なかった。
理論が远い぀かなかったのである。
「䞀䜍ず二䜍ではなく」
実に論理的な問いである。
近代は比范によっお䟡倀を枬る。
順䜍ずは、その制床そのものず蚀っおよい。
ずころが返答は、
「圓たり前 比べられない」
なのである。
終わった。
順䜍が終わったのである。
比范が終わったのである。
䟡倀䜓系そのものが解䜓されたのである。
私は構造䞻矩を奜む。
しかし、この䞀行は構造の倖偎から到来しおいる。
比范䞍胜だからこそ最高である。
その論理。
いや。
論理ですらない。
䞖界そのものが、そのように芋えおいるのである。
さらに远い打ちをかける。
「宇宙䞀 嫌い」
ここでも「宇宙䞀」は枛䟡しない。
奜意にも。
嫌悪にも。
同じ語が適甚される。
぀たり絶察倀だけが存圚しおいる。
盞察評䟡は、完党に姿を消す。
そしお最埌。
「人ほどの教宀
いく぀も
宇宙䞀が枊巻いおいるらしい」
私は、この結末を高く評䟡する。
いや、高くなどずいう尺床が、もはや成立しない。
教宀ずいう有限空間に、倚宇宙解釈を導入した䜜品は、少なくずも私は知らない。
䞀人ひずりが、それぞれの絶察倀を抱えお生きおいる。
比范できない。
順䜍にならない。
しかし、確かに存圚する。
その宇宙を、䞀぀の教宀ぞ収束させる発想。
これは教育論ではない。
宇宙論である。



私は長幎、珟代詩を読んできた。
難解な䜜品も。
実隓的な䜜品も。
数え切れないほど読んできた。
しかし、この䜜品の「宇宙䞀」ずいう二文字が持぀重力には、どうにも抗えなかった。



いや。
抗う必芁など、最初からなかったのかもしれない。
教宀には䞉十ほどの垭がある。
どうやら、その数だけ宇宙があるらしい。



実に困る。
こんな教宀が本圓に存圚するなら、私は䞀日䞭、廊䞋から眺めおしたうではないか。
批評など、しばらく曞けそうにない。



姉効詩 おかどちがい


「あ぀い、あ぀い、あ぀い」

しょうがく いちねんせい
かんじはただ よめない

぀ゆたえ の ぀うがくじかん

「 プヌル が はじたればいいね」
「でっかい すべりだい ないよ」
「それはたた  い぀か かなぁ」

うらもん の おたえ で 
おくり は おわり

こうおい を よこぎっお はしっおいく

いちねんせい がんばっおいる

い぀だか きいおみた
「がっこう たのしい」
「ぜんぜん」
「え なに しおるの」
「が ずしおる」
「ひるやすみは」
「ずしょし぀」
「が ずしおる」
「そう」

いちねんせい がんばっおいる

むかえ の じかん

このじき かぜがふけば 
ただ いくらかは 

かけおいく
せなか よりも おおきい 
ランドセル を ゆらしながら

きんようび 
たいそうふくいれ うわぐ぀いれ
りょうお に にぎりしめ

おぶら の おや が おい぀く
「 あ぀くないの」
「たたごっち が びょうきになるから」

たた かけおいく
ふいに ながめおしたった 


『おかどちがい』講評

本䜜は、通孊を描いた䜜品ではない。
制床ぞの線入ずいう、人間存圚における最初の断絶を描いた䜜品である。
幌皚園、あるいは保育園、あるいは家庭から盎接ずいう経路は珟代では珍しいか。いずれにせよ、小孊校ずいう制床ぞの移行は、家庭ずいう共同䜓の論理から、瀟䌚ずいう巚倧な構造䜓ぞ接続される最初の契機である。
それたで䞖界の䞭心ずしお扱われおきた存圚が、ある朝突然、「䞀員」ずしお振る舞うこずを芁求される。
叱責される。
説明を求められる。
集団ぞ適応するこずを芁請される。
たさしく晎倩の霹靂である。
もっずも、それは圓人だけではない。
送迎。
孊費。
働き方。
攟課埌。
制床蚭蚈。
昚今では瀟䌚問題ずしお論じられるほど、この移行は呚囲にも甚倧な倉化を芁求する。
しかし䜜品は、そのような制床論を䞀切語らない。
すべおを「ひらがな」で枈たせおしたう。
この方法論には舌を巻く。
ひらがなは未成熟を衚珟する文字ではない。
未成熟ずいう時間そのものなのである。
ようやく芚えた文字。
その先にはカタカナがあり、挢字があり、瀟䌚があり、責任がある。
䜜品党䜓が、その未来を文字䜓系だけで予告しおいる。
芋事ずいうほかない。
さらに文節は现かく途切れる。
これは単なるリズムではない。
存圚の息継ぎである。
ただ䞖界を長文では保持できない䞻䜓が、䞀歩ず぀䞖界を受容しおいる。
この切断は技巧ではなく、生理である。
冒頭。
「あ぀い、あ぀い、あ぀い」
癇癪か。
あるいは制床ぞの本胜的抵抗か。
私は埌者ずしお読む。
危険しか存圚しない䞖界ぞ螏み蟌む朝である。
暑いのである。
いや、暑いだけでは枈たないのである。
続く
「かんじはただ よめない」
ずいう䞀節。
これほど慎たしく、自らの限界を提出した䜜品を私は知らない。
䞖界は読めない。
文字も読めない。
䞡者が完党に重なっおいる。
そしお「こうおい を よこぎっお はしっおいく」。
この䞀行だけで、䞀冊の教育論が曞ける。
瀟䌚ぞ向かうのである。
誰も代われない。
誰も远い぀けない。
走るしかない。



ここで䞀床、蚀葉が止たる。
さらに驚くべきは䞭盀である。
「がっこう たのしい」
「ぜんぜん」
あたりにも即答である。
文孊は、ずきに説明を嫌う。
しかし、ここたで説明を拒絶されるず、もはや批評ずいう営み自䜓が詊される。
「が ずしおる」
ここで私は唞った。
怠惰ではない。
資源配分である。
持おる粟神的資源を、浪費しないずいう刀断。
珟代瀟䌚が芁求する自己最適化を、小孊校入孊盎埌に䜓埗しおいる。
しかも
「ずしょし぀」。
䜕もしないのではない。
呚囲から浮かない堎所を遞択しおいる。
本は読たない。
しかし図曞宀ぞ行く。
この均衡感芚。
この危うさ。



いや。
これは。



さらに
「がんばっおいる」
なのである。
「がんばれ」ではない。
ここは少し黙るべきだろう。



迎えの堎面。
颚を埅぀。
季節を埅぀。
成長を埅぀。
しかし埅぀こずしかできない。
巚倧なランドセル。
揺れる。
走る。
たた走る。
この反埩が痛い。
「たいそうふくいれ」
「うわぐ぀いれ」
私は、この二語の䞊眮だけで涙腺が刺激されるなどずいう経隓を、寡聞にしお持たない。
なぜ、これほどたでに充足しおいるのか。
なぜ、これほどたでに䞍安なのか。
説明できない。
いや、説明しおはならない。
そしお最埌である。
「たたごっち が びょうきになるから」
震えた。
ぬいぐるみではない。
人圢でもない。
犬でも猫でもない。
よりによっお、たたごっちなのである。
この遞択。
この䞀点。
この䞀点に党存圚を賭ける刀断。
いや。



これは。



私は。



最埌の
「ふいに ながめおしたった」
ずいう䞀行。
批評ずは距離を枬る営みである。
しかし、この䜜品だけは、その距離が枬れない。
ただ眺めるしかない。
䜜品を。
走る背䞭を。
そしお、その背䞭が、もう振り返らないずいう事実を。



姉
「ねえ」
効
「なに」
姉
「きょうも 走っおたね」
効
「さいきんはね」
姉
「どこたで いくの
 宇宙たで」
効
「うちゅう は ずおいよ。
 しらないの」
姉
「 そうくるの」
効
「うちゅうたで いきたい」
姉
「 うん 競争しよう」
効
「うん」


いいなず思ったら応揎しよう

かみこお案内所流 倪っ腹♥ きっず、良いこずがあったんだね💫