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ディズニー『若者離れ』報道の元データを検証したら別の数字が出てきた

7月9日、ITmediaが「客単価が約1.5倍!なぜディズニーは高価格路線にかじを切ったのか」という記事を出しました。Yahoo!ニュースに転載され、コメントは4,500件を超えています。

同じページのアンケートでは、「行くのを控えたい」が74.6%。統計的な世論調査ではないにせよ、値上げ報道に反応した読者の温度はこの数字に出ています。

記事の論旨はこうです。18歳未満の来園者が2019年3月期の900万人以上から、2025年度は672万人まで減った。少子高齢化では説明できないペースだ。将来の「大人の女性」客が育たなくなる。

数字の出所は、オリエンタルランドが公表する入園者数と年代別来園比率。記事の筆者が自分で掛け算したと書いてあります。二次情報の引き写しが多い経済記事の中で、この一手間は評価されていい。

なので、同じ計算を追ってみました。


672万人は再現できる

ファクトブック2026を開きます。誰でもダウンロードできる資料です。

2026年3月期の年代別来園者比率は、中人(12〜17歳)11.5%、小人(4〜11歳)12.9%。合計24.4%。入園者数2,753万人に掛けると、約672万人。

一致しました。起点の900万人も、旧年度のファクトブックで再現できます。2019年3月期は中人12.9%+小人15.2%=28.1%、入園者数3,256万人。掛けると約915万人。記事が中間値として挙げる翌2020年3月期の772万人も、26.6%×2,901万人で再現できる。計算はすべて正しい。

問題は、新しい表の下にある一行です。

脚注が比較を壊す

「2024年3月期ならびに2025年3月期より、年代別来園者比率の集計方法を変更しました」

比較の起点である915万人も、中間値の772万人も、旧集計。終点の672万人は新集計。「900万→672万」という減少は、測り方の異なる二つの調査を跨いでいます。

減少幅のうち、どれだけが実態で、どれだけが集計方法の差なのか。外部からは分離できません。OLC自身が「繋げて読むな」と脚注で断っている数字を、繋げて読んだ結果が「若者離れ」でした。

では、新集計の内側だけで見るとどうなるか。

2024年3月期: 25.8%×2,750万人=約710万人
2025年3月期: 24.9%×2,756万人=約686万人
2026年3月期: 24.4%×2,753万人=約672万人

減ってはいます。2年で38万人、年率2.7%。この年代の人口自体が縮んでいることを考えると、「少子化では片付けられないペース」と言い切れるかは怪しくなる。

偉そうに書いていますが、私も今年の2月、この会社の決算について「4〜11歳と12〜18歳の比率はほぼ横ばい。ファミリー層は減っていない」と書きました。比率のグラフだけを見て、実数を確かめなかった。比率が横ばいでも、総数が3,256万人から2,753万人に減っていれば、実数は大きく減ります。比率と実数は別物で、実数の比較は集計の連続性が担保されて初めて成立する。自分が踏んだ穴なので、この記事は同じ穴の点検でもあります。

同じ見開きに、誰も書かない数字がある

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