なぜ小選挙区は削られないのか〜定数削減の党利を読む〜
比例だけが消える理由
衆院定数を45減らす。自民の公約に書かれていたのは、それだけだ。「比例代表のみ」という四文字は、どこにもなかった。
報道ステーションで大越健介氏が問うた。議員定数45を比例のみで削減、これを白紙委任するほど有権者は高市に託したのか。X上では「公約に書いてある」「白紙委任ではない」という反論が並ぶ。確かに削減は公約だ。問題は、何が公約で、何が公約でなかったか、である。
2月の衆院選で自民は単独316議席を得た。立憲と公明が合流した中道改革連合は伸びず、野党再編は道半ばで止まっている。これから削られる比例で最も打撃を受けるのが、その中小政党だ。
公約に書いてあったこと
自民党の2026年衆院選公約。「1割を目標に衆院議員定数を削減する」。配分は「衆院議長の下に設けられた協議会で結論を得て必要な法改正を実施する」とある。削減幅は明示。だが小選挙区を削るのか比例を削るのか、公約本文は触れていない。
比例で議席を得る政党にとって、比例削減は議席の直接の目減りに直結する。どこを削るかは、どの政党を残すかと同義だ。公約は、その肝心の部分を協議会送りにしていた。
有権者が投票時に判断材料にできたのは、ここまでだ。
選挙の前にあった案
連立の段階から、維新は比例を狙っていた。吉村洋文代表は2025年10月17日、削減するのは比例ではないかと公言している。比例選出が他党より少なく、地盤の大阪では小選挙区に強い。比例を削っても自党の痛みは小さい。
その維新と自民が、2025年12月5日に法案を提出する。自動削減条項はこうだった。協議が1年以内にまとまらなければ、小選挙区25・比例20、計45を自動的に減らす。維新の比例偏重に慎重論が重なり、折衷点として両方に振り分けた形だ。(サムネイル参照)
ここが時系列の肝になる。この法案は選挙の3か月前に存在した。1月の衆院解散で廃案にはなったが、有権者が投票前に見ていた具体案は、小選挙区も削るものだった。
選挙の後に変わった配分
衆院定数は30年で削られ続けてきた。1983年に511、93年に500、2000年に480、2014年に475、2017年に465。減らすたびに、小選挙区と比例の両方から削ってきた。
2月8日の投開票。自民は単独316議席、3分の2を超えた。そして6月9日、自民党は政治制度改革本部の総会で新方針を示す。協議不調の場合に自動削減する対象を、比例代表45のみとした。
小選挙区はゼロ。両方から削ってきた30年の流れの中で、初めて比例だけを狙う案になった。選挙前の案は両方だった。比例へ寄ったのは、3分の2を得た後である。
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