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特発性肺線維症(IPF)及び進行性肺線維症(PPF)治療薬・一般名:ネランドミラストが承認されました

こんにちは。おまたせしました

厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は4月27日、日本ベーリンガーインゲルハイムの特発性肺線維症(IPF)及び進行性肺線維症(PPF)治療薬・ジャスケイド錠(一般名:ネランドミラスト)の承認を了承しました。

ネランドミラスト(一般名:Nerandomilast、商品名:Jascayd®)は、ベーリンガーインゲルハイムが開発した、新規の経口ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤です。2025年10月に米国FDAから特発性肺線維症(IPF)および進行性肺線維症(PPF)の治療薬として承認された、10年ぶりの新しい線維症治療薬です。

肺の炎症と線維化(組織が硬くなること)を抑える、1日2回服用の経口薬です

特発性肺線維症(IPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD/PPF)で、既存の治療薬が効きにくい、または副作用で使えないかたにとって、新しい選択肢となります

副作用は下痢、体重減少、食欲減退、吐気などが報告されています

作用機序


1. cAMP(サイクリックAMP)の濃度を高める

私たちの体内にある「cAMP」という物質は、炎症を抑えたり、細胞の過剰な増殖を鎮めたりする大切な信号(セカンドメッセンジャー)として働いています。通常、PDE4という酵素はこのcAMPを分解してしまいますが、ネランドミラストがPDE4を邪魔することで、細胞内のcAMP濃度が高い状態に保たれます

2. 炎症と線維化のダブルブロック

cAMPの濃度が高まることで、主に2つの効果が期待されます。

  • 抗炎症作用: 肺の組織にダメージを与える炎症細胞(マクロファージや好中球など)の活動を抑え、炎症性物質(サイトカイン)が作られるのを防ぎます。

  • 抗線維化作用: 肺を硬くしてしまう原因となる「線維芽細胞」が過剰に増えるのを防ぎ、コラーゲンなどが肺に溜まっていくのを抑制します。

具体的には選択的ホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase:PDE)4B阻害薬で,炎症細胞のcAMPを上昇させ,TNF-α・IL-17・IL-23といった炎症性サイトカインやTGF-β/Smadシグナルを抑制することで線維化を制御すると考えられています。4/28/2026作成

詳しく

進行性肺線維症(PPF)は、肺機能が継続的に低下する、生命を脅かす進行性の肺疾患です。PPFは、自己免疫性間質性肺疾患(ILD)や過敏性肺炎などの基礎疾患である間質性肺疾患(ILD)と関連しています。

ベーリンガーインゲルハイム社のネランドミラスト錠は、免疫調節作用と抗線維化作用を有する、この適応症で承認された最初で唯一の選択的ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬です。

2025年秋のFDAの承認は、PPFにおけるこれまでの最大規模の臨床試験プログラムである、重要な第III相臨床試験FIBRONEER™-ILD試験の結果に基づいています

試験結果では、ネランドミラストはPPF患者の肺機能低下を効果的に抑制し、プラセボと同程度の投与中止率を示しました。

FIBRONEER™-ILD試験の主要評価項目は、肺機能の指標である努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL)であり、52.5週時点で測定されました。ネランドミラストは、プラセボと比較して、ベースラインからのFVC低下の抑制が有意に小さいことが示されました。具体的には、ネランドミラスト18mgまたは9mgを投与された患者におけるベースラインからのFVCの絶対変化量の調整平均低下量は、それぞれ-86mLおよび-69mLであり、プラセボ群では-152mLでした。プラセボ群との治療差は、それぞれ65mL(95%信頼区間:30~101)および83mL(95%信頼区間:48~118)でした。ネランドミラストで治療された進行性肺線維症(PPF)患者で最も多くみられた副作用は、特発性肺線維症(IPF)患者で観察されたものと概ね一致していました

FIBRONEER™-ILD臨床試験において、主要副次複合エンドポイントは、試験の盲検期間(最長109週間)中に、複合エンドポイントの構成要素(急性ILD増悪、呼吸器疾患による入院、または死亡)のいずれかが最初に発生するまでの期間でした。全体として、主要副次複合エンドポイントに関して、ネランドミラスト18mg群または9mg群とプラセボ群との間で、ハザード比(HR)に統計的に有意な差は認められませんでした(ネランドミラスト18mg群および9mg群とプラセボ群との比較:HR 0.77 [95%信頼区間:0.59, 1.01]、HR 0.88 [95%信頼区間:0.68, 1.14])。探索的解析による、主要副次エンドポイントの構成要素に関するネランドミラスト18mgのその他の結果は以下のとおりです。

ネランドミラスト18mg mg投与群では、プラセボ群と比較して、盲検試験期間(最長109週間)における急性ILD増悪のリスクが名目上有意に減少した(HR 0.60 [95% CI: 0.38, 0.94])

臨床医の方へ、臨床雑誌内科 137巻3号 (2026年3月発行)に特集がくまれています

患者の方へ、非選択的PDE4阻害薬で問題となってきた消化器症状などの副作用を,サブタイプ選択性によって軽減できるとされています。肺内の肺胞上皮細胞や免疫細胞の機能が健常者と同様に復する治療法が開発されるともっと良いのですが、それはまだなので感染症にはくれぐれもお気をつけください

Nerandomilast in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
N Engl J Med 2025;392:2193-22 IPF試験の結果です

Nerandomilast in Patients with Progressive Pulmonary Fibrosis.
N Engl J Med 2025;392:2203-2214 ILD試験の結果です

以上です

#進行性肺線維症 #特発性肺線維症 #選択的ホスホジエステラーゼ4B阻害薬 #ネランドミラスト  

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