【読書メモ】最強の電力調達完全ガイド
久保 欣也、三宅 成也、山根 小雪 共著
誰も教えてくれなかった「電力の正しい買い方」を徹底ガイド
企業が利用する高圧と工場などの特別高圧の電力調達をについて解説。
はじめに
どんな企業でも電気料金は安くなる
東日本大震災を機に電力シスで改革が起こり、新電力が増え続けている(2020年で700社超)電力会社から適正水準の価格を引き出すスキルが必要
業種によっては電気料金は販管費の10%を占める
しかし電力の見直しをしている企業は少ない
電気料金のメニューは複雑で、ユーザー企業に専門知識がないため交渉に苦労する
企業価値を高めるためにサスティナブルである必要性がある
電力調達の基礎知識
電力自由化とは?
2000年から特別高圧と高圧の電力は自由に販売できるようになった
調達担当者が様々な電気料金メニューの良し悪しを見抜く力と交渉能力を高めないといけない
電力は作る、送る、売る、使うの4ステップ
電力を販売するにはライセンスがいる
電力自由化の目的
電気料金を安くする
ユーザーの選択肢を増やす
参入企業の事業機会拡大
電力の安定供給
使用電力の構成比
特別高圧26%
高圧36%
低圧38%
2020年4月より大手電力会社の送配電部門を別会社にし、新電力であっても送配電網を中立に使えるようになった
新電力でも電力の質は同じ。どの会社経由で買うかの違いのみ
停電の起こりやすさや復旧も同じ
電力会社が倒産しても停電しない。バックアップルールがある。
第三者機関による監視委員会がある
新電力に切り替えても供給に関して不利益を被ることはない
東日本大震災後、電気料金は30%上昇
今後も電気料金は高くなる
電気料金は高くなっている
第二次世界大戦後と比べて今は5倍以上
1kWhあたり3円から13円に推移
東日本大震災後は一時期19円になり、その後17円/kWh程度に
電気料金は基本料金+従量課金+燃料費調整額+再エネ賦課金
燃料費調整額=航空機の燃油サーチャージ的なもので、毎月変動する
再エネ賦課金=FIT電気のコストを国民が負担する
なぜ電力調達改革が必要なのか
多くの企業がコスト削減に励んでいるが、電気料金については手をつけてない企業が多い
原材料などの直接材については熱心に取り組んでいる企業が多い
電気料金が占める割合は大きいはずなのに取り組めていないのは、専門性が高く、どう最適化していいのかわからないから
知識がないから、電力会社を変えると電気が止まるのでは?などと不安になる
電力の管理を徹底しデータ化することで、大きなコスト削減、利益増加につながる
再エネの調達にはさらに知識が必要
SDGsやESG対策として再エネを導入する企業が必須
再エネによるブランディング戦略を考える場合にも
大手か新電力か
大手は自社発電所を保有しているため、基本料金が高いが電力量料金(従量課金)が安い傾向にある
新電力は自社発電所を保有してない傾向にあるため、基本料金が安いが電力量料金(従量課金)が高い傾向にある
使用量が少なければ新電力、多ければ大手電力会社という選択肢になる
大手と新電力と3社〜5社程度で相見積もりを取ってみることがおすすめ
調達ステップ
まずは各拠点の電力データを集め、分析する
電力会社に相見積もりを行う
見積もり内容の協議、契約内容のすり合わせ
申し込み
実績モニタリング・評価
契約更新・切り替え
調達のコツ
各拠点でバラバラの電力会社に依頼するよりもまとめる方がメリットが大きい
契約タイミングなども統一すると管理しやすい
電力会社の切り替えは意外と時間がかかる
5~6ヶ月を目安に見ておくべき
最低契約期間や違約金、最低利用料などもあるので確認しておく
見積もりは条件を必ず揃える
消費税
契約電力
使用電力量
燃料費調整額
再エネ賦課金
条件がずれると正しい見積もりにならないので注意
現状のデータは現契約の電力会社に依頼できる
大事なのは調達後のモニタリング
外部要因なども鑑みて最適な調達ができているのかを分析
燃料調整や再エネ賦課金の変動もあるので、総額だけで安くなったかを判断しない
高度な専門性を取り入れるならコンサルタントを外注するのもアリ
SDGS / ESGへの対応
再エネ調達に取り組む企業が増えている
再エネ調達は電力調達改革の延長線上にある
日本は2030年で50%削減に挑戦(2013年と比べて)
2050年には実質ゼロ(カーボンニュートラル)
そもそも再生可能エネルギーとは
太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界に存在するエネルギーのこと
枯渇しない、どこにでも存在する、CO2を排出しない、という3つの特徴を備えた環境にやさしいエネルギー
石油、石炭・天然ガスは有限でありCO2を排出している
原子力はCO2は排出しないが、ウランが有限資源であり、自然循環しないので再エネではない
FIT導入で太陽光が劇的に増えた
「再エネ」を買うという言葉の意味
基本、物理的に再エネ電力を区別して購入することはできない
発電所の様々な発電方法で発電された電力は、全てがごちゃ混ぜになった状態で需要家(企業や工場など)に届いている
だから「環境価値(再エネであるという証明書)」を購入することで、「実質再エネ」を購入している
とある電力会社が全体の50%を再エネで発電しているとして、再エネを買いたい企業で50%分の電力と「環境価値」を購入する
再エネの買い方
電力会社の再エネメニューを購入する
電力+環境価値のセットメニューで契約
電力はそのままで環境価値だけを単体購入
自社で再エネに投資する
工場の屋上に太陽光パネルを設置したり、TPO(第三者保有モデル)でレンタルするなど
RE100に対応するのであれば電源をトラッキングできるメニューを選択する
再エネは通常の調達メニューと比べると割高になってしまう
今すぐ100%再エネ稼働は難しいので、長期的なロードマップを組んでコスト調整していく
PRやブランディングにつなげる
再エネを導入する目的がPRやブランディングにあるならば、再エネ調達と並行して告知スケジュールやブランディングストーリーを設計しておく
プレスリリースだけでなく、環境イベント、カンファレンス、マスメディア、広告など、アピールできる場はたくさんある
再エネでも環境負荷は考える必要あり
メガソーラーやバイオマスなどで森林破壊をしていたらクリーンなイメージではなくなる可能性も
BEAMSでは店舗を再エネにし、来場者に再エネを感じてもらうイベントなども実施している
読んでみての感想
今までは電力について考えたことがなく、地域で指定された電力会社に、契約内容もわからず電気料金を支払っていたことを痛感。
企業や大規模の工場となれば年間の電気代は数1000万〜数億円単位になるため、コスト削減としての電気代見直しはマストであると感じた。
本書は電力のコスト削減に取り組みたい、何かコスト削減できるところはないか?と考え始めた方にぜひ読んでいただきたい。
また再エネに興味を持っている方や、再エネに取り組みたいけどどうしたらいいのかわからない方の最初の1冊としてもおすすめ。
企業向けの電力調達ガイドではあるが、電力の仕組みを理解する基礎や事例が記載されているので、個人法人関わらず一般的な知識として活用できるのではないだろうか。
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