【技術士 建設部門】二次試験 業務経歴票の書き方|「業務内容の詳細」720字の作り方
こんな人におすすめ
受験申込で業務経歴票の前に手が止まっている人
「業務内容の詳細」720字に何を書けばいいか分からない人
発注者(公務員)の業務で技術士の経歴になるか不安な人
申込書づくりが口頭試験にどうつながるのか知りたい人
この記事でわかること
業務経歴票が「業務経歴」と「業務内容の詳細」の2パートでできていること
720字に盛り込む4要素と、立場・役割を強く出す書き方
申込時の720字が半年先の口頭試験の土台になる理由
技術士第二次試験(建設部門)の受験申込で、論文対策の前に多くの人が手を止めるのが業務経歴票、とりわけ「業務内容の詳細」720字です。
筆記試験に合格しても、この720字と業務経歴が弱いと口頭試験で苦しむため、申込段階での作り込みが合否を左右します。
この記事では、業務経歴票の構造、技術士にふさわしい立場・役割の示し方、720字へのコンピテンシーの織り込み方を、建設部門の業務例とともに整理します。
受験手数料20,500円を払って臨む申込を、口頭試験まで見据えた形で固めるのが狙いです。
なお、記載様式・字数・受付期間は年度ごとに更新されます。提出前に日本技術士会(engineer.or.jp)の最新の受験申込書様式と実施案内を必ず確認してください。本記事は令和8年度時点の様式を前提に解説しています。
建設部門は「必須科目I+選択科目」の組み合わせで合否が決まります。全受験者共通の必須科目I 模範解答集(R03-R07+R8予想)がまず1冊目。あなたの選択科目の模範解答集は建設部門もくじから選べます(単品を1本ずつ買うより約8割お得)。
業務経歴票は2つのパートでできている
業務経歴票(実務経験証明書)は、大きく「業務経歴」と「業務内容の詳細」の2つで構成されます。前者は職歴に近い一覧、後者はその中の1件を掘り下げる小論文です。
業務経歴には、これまで従事した業務を期間・地位職名とともに複数行で記入します。そのうち代表する1件を選んで「詳細」欄に「○」を付け、その業務について720字の詳細を書く、という関係になっています。
つまり経歴一覧は詳細欄の「前振り」です。受験する選択科目(道路、河川・砂防及び海岸・海洋、都市計画など)や「専門とする事項」とかけ離れた業務ばかりが並ぶと、詳細欄や口頭試験との整合が取りにくくなります。
経歴の段階から、専門とする事項に向かって筋を通しておくのが定石です。
「業務内容の詳細」720字に書く4要素
日本技術士会の様式では、業務内容の詳細に「目的」「立場と役割」「技術的内容及び課題」「技術的成果」を盛り込み、専門とする事項を踏まえて720字以内で整理するよう求められています。
図表は使えず、半角文字も1字と数えるため、実質的にかなり凝縮した文章になります。
書き分けの目安は次のとおりです。
目的・立場と役割:何のための業務か、その中で自分がどの責任を担ったか
技術的内容・課題・成果:どんな技術的問題をどう解決し、何が改善したか
ここで最も問われるのは「立場と役割」です。技術士にふさわしいのは「自ら考え責任を持つ立場」であり、補助・サポート的な関与では弱いとされます。
「指示された」ではなく「自分が判断した」が伝わる主語で書くことが、720字全体の説得力を決めます。
工事や事業の概要説明に字数を使いすぎ、自分の技術的判断が薄くなるのは典型的な失敗です。背景は最小限にとどめ、課題に対してあなたが下した判断と、その結果としての成果に字数を厚く配分してください。
コンピテンシーを720字に織り込む
業務内容の詳細は、口頭試験で確認されるコンピテンシーの「証拠」を先に提示する場でもあります。
専門的学識に加えて、課題を多面的に捉える視点、関係者との調整(コミュニケーション・リーダーシップ)、得失の評価とマネジメントが文章からにじむと、口頭試験の質問が自然な深掘りになります。
令和8年度のコンピテンシー改訂では、データ・情報技術の活用、ステークホルダーの意見を取り入れた多角的な検討、包摂的な協働が明文化されました。
技術者倫理についても、予見すべき影響の対象が「社会、文化及び環境」から「社会、経済及び環境」へと改められています。
古い業務であっても、関係者との合意形成の過程や、経済・環境・社会の面から成果の持続性に触れられる余地がないかを見直すと、改訂後の評価軸に沿った詳細に仕上がります。
この改訂の中身は別記事の令和8年度 コンピテンシー改訂のポイントで詳しく整理しています。
発注者(自治体土木職)の業務も技術士の経歴になる
「公務員の発注者業務は技術士の経歴にならないのでは」という不安はよく聞きますが、これは誤解です。技術士にふさわしいのは責任ある技術的判断を担う立場であり、所属や肩書ではありません。
私自身は地方自治体の土木職として、工事の発注・監督・積算審査に従事し、道路・河川・都市計画の3科目で建設部門に合格しました。その経験から言えるのは、発注者の業務には書ける論点が多いということです。たとえば、
事業計画・路線比較における技術的判断
設計成果の照査・審査と手戻り防止
積算審査による工事費の妥当性確保
住民対応・関係機関との総合調整
これらは受注者側の受験者が見落としがちな領域で、「自ら考え責任を持つ立場」をむしろ示しやすい題材です。施工そのものを自分の手で行っていなくても、技術的な意思決定の主体であったことを具体的に書けば、十分に通用します。
口頭試験まで一本の筋を通す
口頭試験は、筆記の論文と業務経歴票を基にした約20分の面接で、技術士にふさわしいコンピテンシーと技術者倫理を体得しているかを対話で最終確認する場です。試験官の手元にあるのは、あなたが申込時に書いた720字です。
だからこそ、詳細欄には「聞かれたら答えられること」だけを書きます。背伸びして盛った成果や、自分の判断とは言いにくい役割を書くと、口頭試験で深掘りされた瞬間に崩れます。
逆に、立場・課題・工夫・成果が一貫した720字は、そのまま想定問答の骨格になります。申込書づくりは、半年先の口頭試験対策の第一歩だと捉えてください。
筆記そのものの組み立て方は、建設部門 記述式答案の書き方ガイドにまとめています。
あわせて読むと、申込から筆記・口頭までの流れがつながります。
さらに深く学ぶには
業務経歴票で自分の立場と判断を言語化できたら、次は筆記試験の必須科目Iです。問われるのは結局のところ「課題を多面的に捉え、判断し、成果に責任を持つ」という同じ姿勢を、1,800字の論文で示せるかどうかです。
過去5年分の必須科目Iと令和8年度の予想問題について、設問分解から課題抽出、解決策の組み立て、フル模範解答までを通しで収録した模範解答集です。
発注者として工事を審査してきた立場から、採点者が読みたくなる論理の運び方を具体例で示しました。
この無料記事で押さえた「立場・課題・成果を一本の筋で書く」考え方を、そのまま本番の答案へ伸ばしたい人に向いています。
よくある質問
Q. 業務内容の詳細720字には何を書きますか?
A. 日本技術士会の様式では「目的」「立場と役割」「技術的内容及び課題」「技術的成果」を、申込書に書いた「専門とする事項」を踏まえて720字以内で整理して記入します。図表は使えず、半角文字も1字と数えます。
単なる工事概要ではなく、あなた自身が何を考え、どう判断し、どんな成果を出したかが伝わるように書くのが要点です。
Q. 発注者(公務員)の業務でも技術士の業務経歴になりますか?
A. なります。技術士にふさわしい立場とは「自ら考え責任を持つ立場」であり、設計審査・積算審査・事業計画・関係者間の総合調整など発注者特有の技術業務はこれに該当します。
重要なのは所属や肩書ではなく、技術的な判断と責任をあなたが担っていたことを具体的に示せるかどうかです。
Q. 業務経歴票は口頭試験でどう使われますか?
A. 口頭試験は筆記の論文と業務経歴票を基にした約20分の面接で、技術士にふさわしいコンピテンシーと技術者倫理を体得しているかを対話で最終確認します。
業務内容の詳細はその出発点となり、立場・役割・技術的工夫・成果について深掘りの質問が想定されます。つまり申込時の720字が口頭試験の土台になります。
Q. 業務経歴は何件書けばよいですか?
A. 業務経歴は複数行を記入したうえで、そのうち1件を選んで「詳細」欄に「○」を付け、その業務について業務内容の詳細を720字で記述します。
経歴は受験部門・選択科目との整合が取れるよう、専門とする事項につながる業務を中心に並べると、詳細欄や口頭試験との一貫性が生まれます。
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